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私のことを第一に考えてくれないの?

「え?」


 私は思わずそう言葉がこぼれた。


「どうしましたか? マスター」


 私の声が聞こえたのか、その子は可愛い顔で、こてんと銀の髪を揺らしながら首を傾げた。


「……鉄格子が吹き飛んでる」

「はい! マスターはここから出たいんですよね?」

「え……うん」


 それは、そうなんだけど。……この子がやったの? ……だとしたらどこにそんな力があったんだろう。


「マスター、上から誰か来ますよ。倒しますか?」

「……倒せるの?」

「はい! マスターの願いならなんでも叶えてみせます!」


 多分、降りてきてるのは騎士……じゃなかったとしても、領主の関係者であることは間違いない。……この子が本当に倒せるのかは一旦置いといて、もし、倒しちゃったら私は完全に領主と敵対することになっちゃう。

 かと言って話し合いなんてできるとも思わない。……いや、そもそも逃げる時点で敵対してるのか。

 だったら……


「倒せるのなら倒して。でも、無理そうなら私を連れて今いる場所から逃げて」

「分かりました!」


 ……あ。言ってから気がついたけど、私のスキルでもっと味方を作ったらいいんじゃないの? だって強いようにイメージしたら、少なくとも鉄格子は吹き飛ばせるくらいには強い人を作れる訳だし。うん。どうせなら目の保養に美少女をイメージして作ろう。

 

「スキル、キャラメ――」


 そう思った私は、またさっきみたいにスキルを使おうと、スキルを口にしようとしたところで、さっき作り出した子に手で口を塞がれた。


「ッ!?」


 いきなり何!? 

 私はまた裏切られるのかと、思わず涙目になりそうなのを「……大丈夫。裏切ることは無いはずだから」と無理やり自分に言い聞かせ、落ち着く。


「マスター? 大丈夫ですよ。不安なんですよね? 大丈夫ですよ。私がいれば、私さえいれば大丈夫ですから。……だから、私以外の子なんて作ろうとしないでくださいね? 私以外の愛はマスターには必要ありませんから」


 その子は安心させるような声で優しくそう言って私の口から手を退けた。


 何を言ってるの? ……おかしい。だって、私のことを第一に考えるように生み出したはず。やっぱり私の精神状態がおかしかったから? 


「私のことを第一に考えてくれないの?」


 私は思わずそう聞いた。


「? ……私はマスターのこと以外考えていませんよ?」

「……でも、味方は多い方が良いと思うんだけど」

「ダメですよ。私以外の子からのマスターへの愛なんて偽物です。害にしかなりません。だから、私だけで十分ですよ」


 ……理解した。この子が本気でこう思って言ってるんだと。

 ……絶対私の精神状態が不安定だったから、変な感じに生まれて来ちゃったんだ。

 それは理解した。でも、これだけは聞いておかないと


「一人で大丈夫?」

「もし、本当に仮にですが、私だけでどうにもならない場合はマスターのことが最優先ですから、害虫を作り出して貰ってましたよ」


 害虫って……ま、まぁ、とにかくこの子だけで大丈夫って事だよね。

 

「じゃあ、助けて」

「もちろんです!」


 そこでちょうど騎士の格好をした人達が5人くらいで降りてきた。

 ……大丈夫、なんだよね?

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