第5話 グラリス・バルコットの魔力属性
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最後までお楽しみください!
「グラリス。四歳のお誕生日おめでとう」
「グラリス。おめでとう」
「グラリス様! おめでとうございます!」
晴れて俺は四歳になった。
四歳……そう! 魔力属性がわかる歳だ!!
俺はこの数年間毎日毎日この日を楽しみにしていたのだ!
ワクワクワクワク!
「ありがとう! お母さん! お父さん! エイミー!」
ついでに言うのもなんだが、こんな感じに言葉を話すことができるようになった。お母さんお父さんもしっかり発音できるくらいにまではレベルアップできたかな。
今年の誕生日もお母さんの手作りケーキだ。安定の美味しさ。ほっぺが落ちるとはこう言うことなのだと俺はこのケーキで知った。
ケーキも食べ終え、魔力属性の判定をすることになった。
魔力属性の判定は魔力を持つ人なら誰でも出来るらしく、今回はお父さんがしてくれることになった。
「よし……じゃぁグラリス。いくぞ」
「お父さんよろしくね」
俺は上半身裸の状態になり、背中にお父さんが手を当てた。
2、3秒ほど経つとぶわっ! と身体の奥底から手を当てている背中の方に何かが飛び出してくるような感覚がして少しビクッとしてしまった。
「ちょ、おいおい……待ってくれ……なんだこれは!」
お父さんがそう呟くと見ていたお母さんとエイミーも「ええ!」「なんでしょうこれは!」と驚いた様子だった。
「一体どうしたんですか?」と俺が後ろを振り向いた。
そこに拡がっていたのは赤でもなく青でもなく、虹色に輝いた無数の光が舞っていた。厳密に言えば虹ではなく、赤も青もその他諸々様々ないろが混ざり飛び交っていた。
これはどういうことだ? 魔力属性の判定をしてたはずだが……! もしかして……!
「……これは……魔力属性……全属性だ!! 10年近く冒険者としてやってきたがこれは見た事ないぞ!!」
そのもしかしてだった。【全属性】それは名の通り全ての魔力を備え、全ての魔法を使えるということだ。
「……やっぱりグラリス! あなたは天才だったのよ!」
「グラリス様! すごいです!」
ここまで来たら本当に僕は天才なのかもしれない。
と、まぁこんな感じでクールに決めている俺なのだが……
やばいやばい!! 全ての魔法!? それってもう最強じゃん!! S級まっしぐらじゃん!! 天才じゃん!!
かなり舞い上がっていた。
「お父さん。全属性? ってそんなに凄いことなんですか?」
俺は「当たり前だ!」と言われるのを分かっておきながらそんな質問をした。そしたらまぁ案の定
「当たり前だ! 全属性はとっても珍しいし、魔力のかけあわせで色んな応用が効くんだ。圧倒的に単体属性よりも使いやすいし……強いぞ!!」
「そ……そうなんですか!!」
あたかも初めて知ったように驚き、俺は続けて質問をした。
「応用って言ってましたが例えばどんなことが出来るのでしょうか」
俺は脱いだシャツを着ながらそう聞いた。
「うーん。俺も全属性は見たことないから分からんが【火属性】と【水属性】を合わせて温水シャワーを作ったり【火属性】と【風属性】を合わせて温風を出したりとかかなぁ……」
それめっちゃサバイバル向きやないかい! 戦えないよ! 外で有意義に過ごせる人だよそれ!
まぁそんな感じにも思ったが応用が効くのはめちゃくちゃいい事じゃないか。さっきの話でも片方の魔力を調整すれば熱湯にも熱風にもなりそうだし意外と使えそうだ。
「そうなんだぁ……あ、ねぇエイミー! 明日俺の魔法特訓してよ!!」
急に話題を振られたエイミーはちょっとピクっと驚いた様子を見せたが直ぐに気を取り直し「構いませんよ! 最近は魔法も魔力も使っていませんがまだまだ現役ですから!」と答えてくれた。
よし……! これからが俺の異世界生活の本番だ!
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翌日。俺とエイミーは昼ごはんを食べたあと、家の庭に出てきていた。
「ところでエイミーの魔力属性は何なのですか?」
この四年間。エイミーとは魔法や魔力の話は全くと言っていいほどして来なかった。特にあの一件があってからはわざと避けて通ってきた。A級魔法使いのエイミーがあそこまで暗い顔をしたのはあれが最初で最後であった。
でも昨日の俺の要望も聞いてくれたし意外と大丈夫なのかなー? といった心持ちで聞いてみることにした。
「確かにグラリス様には見せたこと無かったですよね。では……いいでしょう! 見せて差し上げましょう!」
エイミーは元気よくそう言ってくれた。大丈夫そうだ。良かった良かった。
エイミーは一歩前に出て、俺に「あそこの木を見ててください」と言ってかなり遠くの木を指さしてそう伝えてきた。
……あれをか? 数十メートルは離れている木に何をするのだろうか。
「エイミーあそこの木って……あそこの木でいいんだよね?」「はい。何かおかしいことでも言いましたか?」「い、いいえ。言ってません」「では!」
そう言ってエイミーは、右手を遠く離れた木に向かって伸ばした。
ゴロゴロ.....
すると、その木の上部に黒みがかった雲が発生した。いや……あれは……雲ではない。雷雲だ!!
それに気が付いた頃にはもう、エイミーはなにか詠唱を始めていた。
「神よ。その力を奮いこの地に雷を! 神雷!」
その詠唱が終わったその時……
ビリビリ……ドゴォォォン!!!!!
雷雲は瞬く間に電気を纏い、それは大きな雷となって遠く離れた木に落ちた。その衝撃で周りの木に止まっていた鳥は一斉にバサッ! と飛び立った。
雷が落ちると雷雲はサーっと消えていった。
……かっけぇ!!!
「エイミー……かっこいい!!」
心に秘めた言葉は直ぐに言語化された。
「いやぁ〜それほどでも……ありますよね〜」
と照れた様子で頭を掻くエイミー。
でも本当に凄かった。小さい手から放たれたこの魔法は俺には一生真似出来ないんじゃないかと思うくらい素晴らしいものだった。
「あ、質問に答えるの忘れてましたね! 私の魔力属性は【雷属性】です!」
そう言ってエイミーはバチバチっと少量の雷を指先から出した。
「さっき見せたのは私の全力ですけど本当はもう少し小回りもきく優秀な属性なんですよ!」
雷属性か……。ギャップ凄いな!! またもやこれがギャップ萌え……。
しかし今の見た感じ破壊力はピカイチと言ってもいいのではないかと思った。エイミーが雷属性の魔法を使えるとなると教えて貰えば俺もできるのかもしれない。
そう思って俺はエイミーに「俺も雷出したい! 教えてください!」と申し出ると「私にできることならなんでもお申し付け下さい!」とまたまたこころよく了承してくれた。
3時間後……
「エイミー!! 全く魔法が使えません!!」
何故だ!! なんでなんだ!! 魔法が全く使えない!! 静電気の一つや二つも出やしない!! 魔法が使えなかったら全属性だったとしても意味ないじゃないか!!
「グラリス様焦っちゃダメです! 誰でも初めはコツを掴めず魔力の出力ができないことが多いいのです。だから大丈夫ですよ!」
と励まされるが実はこの言葉今日で五回目! いやぁ五回も聞くと本当に焦らなくて大丈夫だって思ってきちゃったよ……ってなるかーー!!!
「で、でもエイミー……。かれこれ3時間静電気レベルの魔法も使えてないのですが……」
凹む俺を見たエイミーは慌てた様子で
「お、恐らく雷属性の魔法が少し難しかったのかもしれません! グラリス様は色んな魔力をお持ちですので、少なくとも善し悪しがあるんだと思います! だ、だから一度他の魔法を試してみましょう!」
エイミー、フォローありがとう。もう分かったよ俺に魔法の実力がないのは。はぁ、宝の持ち腐れを初めて感じる瞬間だなぁ……。
まぁエイミーが提案してくれた事だし簡単なものから試してみるとするか。
「じゃぁ……一番簡単な魔法ってなんですか? エイミー」
「よく聞くのは【風属性】は習得はかなり楽って聞いたことあります! 試してみましょう……って思ったんですけど、グラリス様は色んな魔力をお持ちですから……どうやって使い分けするのでしょうか」
確かに。俺はまだ魔法とやらを使ったことがないから考えてもいなかったが、魔法にも使い方があるのだろうか。
「エイミーは魔法を使う時どんな感じで使っているのですか?」
「うーん。難しいですけど、なんか身体の中に引き出しがあるイメージで、そこから黄色く光る魔力を引き出して、手に集中させてばーん! みたいな感じですかね」
難しい。とても。
その引き出しのイメージで行くのであれば俺はその引き出しから使いたい魔力を選んで放出する必要があるのか……もっと難しそうだ。
「と、とりあえず風属性やってみます」
俺は右手をエイミーの方に向け、「風が来たら教えてください!」と伝えた目を瞑った。
考えろ考えろ感じろ感じろ。身体の中の引き出しを……
身体に意識を集中させるとあるイメージが浮かび上がった。
引き出しだ。引き出しがある!
俺はその中から白く光る【風属性】の魔力を引き出し、その魔力を伸ばした右手に集中させた。すると……
ぶわっ!!
「きゃ!」
エイミーの悲鳴を聞いてすかさず目を開けると俺が出したのか分からないが強風でエイミーのスカートがかなり大きくぶわっとめくれ上がっていた。……水色だ。ありよりのあり!
っとそんなことはどうでもいい……訳では無いが俺はすぐにエイミーの方へと走って近付いた。
「エイミー! 今の風って……」
「はい! グラリス様の魔力でした! しかも私と同じくらいの……いや! それ以上の魔力量を感じました!」
俺は嬉しかった。めちゃくちゃ嬉しかった。飛び上がりそうなくらい嬉しかった。
「やりました! エイミー!」
「はい! やりましたね! グラリス様!」
俺はエイミーと大きくハイタッチをした。
できる。俺にもできる。魔法ってやつが!!
どうだったでしょうか!
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