第27話 役に立つ
是非最後までお楽しみください!
これは俺が小学四年生だった時。
「お母さん行ってきまーす!」
「はーい。行ってらっしゃい。ご飯までには帰ってくるよ」
俺の前世の名前は池上廣。
両親は俺が物心着く前に離婚しており母親1人に育てられてきた。
やっぱり子どもの時はお父さんがいないのは悲しかったし周りの友達が羨ましかった。
でもお母さんはそんな事思わせないようにか大切に育ててくれた。
運動会も演劇祭も合唱祭も絶対に最前列でカメラを構えてくれ手を振ってくれた。
だから俺は幸せに暮らせていた。
「廣! 遅いぞ!」
「ごめんごめん。サッカーしよう!」
小学生の俺は意外とたくさん友達がいた。
友達って言っても大きなグループに居ただけだけど。
その中でのカーストは多分真ん中くらい。
でも別に上も下も関係無かった。
みんなでサッカーした帰り。
「あ、やべ! 明日の算数の宿題やってなかった……廣やった?」
「やってるよ。家寄ってくれたら見せてあげられるけど」
「まじ!? サンキュー!! ありがとう!!」
俺は人の役に立つことが好きだった。
小さいながら誰かのためになりたいってずっと思ってた。
まぁいいように使われてたって言われたら多分そうだ。
でも、友達も街の人も杖ついた老人もみんななにかしてあげると揃って「ありがとう」と言ってくれた。
俺はそれが嬉しくて嬉しくてたまらなかったんだ。
ーーあの出来事が起きるまでは。
──────
それはある休日。いつも通り遊んでいた時のこと。
「うぇーーーん」
友達と遊んでいると近くの木の影で泣いている子どもがいた。
俺たちの集団よりもずっと小さい子どもだった。
俺はいつも通り話しかけた。
「どうしたの?」
「……風船が……木に……」
俺は指さされた方向を見ると、木に風船が引っかかってしまっていた。
俺はここで判断を見誤った。
絶対に無理。なのに。
「よし。僕が取ってきてあげる」
そう言って俺は見切り発車で木登りを始めた。
俺は運動神経が悪かったわけじゃないが木登りは初めてだった。
なんせ高いところが苦手だからだ。
「あと……少し……」
風船がもう手の届くところまで登り詰めた。
後は取るだけ……
あ。
どん
鈍い音は公園中に響き渡った。
俺は木から落ちて意識を失ってしまった。
「あれ……? みんな……? いててて」
木の下は砂場が広がっていたおかげで打撲で済んだ。
でも夕日に照らされる公園には誰もいなかった。
いるのは俺と木にかかった風船だけだった。
──────
次の日。
何の変哲もない月曜日。
ーー俺へのいじめが始まった。
いじめと言っても殴る蹴ると言った暴力はなかった。
小学生特有の精神的ないじめだった。
「なぁ廣! あれ取ってくれよ!」
友達は木に引っかかったボールを指さしていた。
「む、無理だよ……」
俺がそう言うと周りの人達はゲラゲラと笑った。
それだけならまだ良かった。
でもなんでだろう。
俺はハブられ始めた。
小学生ってのは単純だ。
何かあるとすぐ変わってしまう。
たとえ悪気がなくても。
でも俺はお母さんに心配かけないように必死に隠した。
夜中に泣いて日中は遊びに行くふりをして図書館に行った。
そんな俺は俺が惨めに見えて仕方なかった。
中学校は何かと理由をつけてお母さんを説得し、学区域外の学校を選んだ。
そこは小学校から同じ人は1人しかいなかった。
だから小学校からのいじめはなくなった。
中学校生活は意外と充実していた。
小学校の時の失敗を糧に友達はたくさん作らないことにした。
唯一同じ小学校からの人は全く関わりのなかった人だったのだが、中学生になり同じクラスになってから仲良くなった。
こいつは高校生の時彼女を紹介してくれたアイツだ。
そんな中学校生活中、もうひとつ人生のターニングポイントがあった。
「……お母さん! ねぇ! お母さん!」
お母さんが亡くなった。
持病だ。
俺が中学生になった頃に悪化し始めた。
必死に俺は病院や治療法を探した。
でも、俺の努力は報われなかった。
亡くなったあとはずっと考えていた。
あーすれば良かったのかな。あっちだったら助かったかなって。
そっか。俺はもう……誰の役にも立てないんだ。
俺は母方の祖母に引き取られることになった。
祖父はもう亡くなっており祖母との2人暮らしになった。
それは1番最悪な時間だった。
ビンタされるわこき使われるわもうさんざんだった。
祖母との話はまた今度にしよう。
今はもう思い出したくもない。
色々あってから唯一の友達にも冷たくしてしまっていた。
1回ここでも死のうかと考えた。
でもそいつは親身に寄り添ってくれた。
高校も同じところを目指そうと言ってくれた。
でも俺は……死ぬまで何もそいつにしてやれなかった。
こうして役に立てない俺が完成した。
思い出したくもない過去。でも忘れちゃいけない過去。
俺はこうして今新しい人生を歩ませてもらっている。
「俺はここで生きて役に立たなきゃ行けないんだ」
「お兄ちゃん……? どうしたの?」
「え、あぁ……ちょっと考え事しててな。また明日お母さんの様子見にくるよ」
そうだ。俺は最低なことして今ここで生きてる。
もう死んでごめんは終わりだ。
きっとあいつも彼女も今の俺を見たらこういうんだ。
「絶対に死んじゃダメ」
俺はこんなこと言われてばっかだった。
彼女には言ってやれなかったのに。
そんな無責任なこと言わないでくれとか思っていたのに。
今は違う。
もう何も無駄にはしない。
あの二人のためにも。二人のためになるのかは分からないけど。
だってもう役に立てるのだから。
どうだったでしょうか!
良かった感想、ブックマークの方よろしくお願いします!
たくさんの人にこの作品が届いて欲しいので是非!星一でも良いので評価の方よろしくお願いします!!!