番外編2 新しい家族リューネ・ストラス①
番外編です!
是非最後までお楽しみください!
私の名前はリューネ・ストラス。
訳あってバルコット家の家族となった。
家の第一印象は、愛想の良いお父さん、優しいお母さん、気の利くメイドと言った感じで割と好印象だった。
ーー彼が現れるまで。
「エイミー説明ありがとう。俺の名前はグラリス。今年で五歳だ。魔力属性は……あんまり使いこなせてなくて言いたくはないが【全属性】だ。とりあえずこれからよろしくね」
彼が私に向かって手を伸ばし握手を求めてきた。
こんな時間まで寝てて【全属性】? こんなポンコツ見たいな男が? 信じられない。私なんか……
「こんな時間に起きるなんてその【全属性】が勿体ないわね」
気が付いたら私はこんなことを言ってしまっていた。
でも、本当に思っている。
多分街の人に私と彼が二人で「私たちどっちかが【全属性】なんです! どっちだと思いますか?」見たいな街頭インタビューをしたらぜっっっっったいに! 私が全ての表を勝ち取るはずだわ。
なのに私は【風属性】。本当に彼と取り替えて欲しいくらいだわ。
「ま、まぁリューネちゃん。うちは部屋が少なくてグラリスの部屋とエイミーの部屋どっちかに2人で寝てもらおうと思うんだけど……」
「エイミーさんでお願いします」
私は即答した。誰がなんと言おうとこれは即答だ。
それからなんやかんやあって、私は一人でエイミーさんの部屋で寝ることになった。
あのポンコツの彼はとても悲しそうな顔をして居たが、正直何も思うことは無かった。
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ーーこれは……夢?
私の身体は産まれたての子どものような身体をしている。
その身体を見知らぬ女性が抱き抱え、どこかに向かっている様子だった。
私は必死に何かを伝えようとした。でも、夢だからか、赤ん坊だからか、女性は見向きをせず歩き続けた。
どれくらい経っただろうか。女性はやっと足を止めた。
女性が足を止めたそこはーー崖だった。
高さは軽く50m位はあるだろう。真下は海だ。
やだやだやだやだやだやだ。怖い怖い怖い怖い怖い。
やめてやめてやめて!! やめて……
女性は私に何かを言って、崖の外に放り投げた。
私はただひたすら手を伸ばす。こんな小さな身体で届く訳もなく私は海へと落ちていったーー
……!!
私は海に落ちる寸前に目を覚ました。
「良かった……夢……」
最近になって同じ夢を何回も見るようになった。
夢を見ている時は夢だとは気付かない。でも、目を覚ますとまたこれか、となる。
でも、この崖から海に放り投げられる夢はどことなく夢じゃないんじゃないかと思い始めてもいた。
私の中に眠る古い記憶ーー
……まぁ、でも、あんな高さから放り投げられたら命も無いだろうし、そんなことも無いか。
今の時刻は6時半。あーあ、今日もあまり眠れなかったわ。
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私は今、グラディウスさんに剣術を習っている。
私は【風属性】。普通の魔法使いになんてなれやしない。
だから私は魔剣士を目指すことにした。
「よ〜し。まず剣術からだな。グラリス、リューネ2人で実力を確かめ合ってみろ」
「……と言いますと?」
「2人で決闘だ!!」
「決闘……? ですか?」
決闘……いいじゃない。このポンコツに格の違いを見せつけてやるわ。
けちょんけちょんにしてやるわ。
「いいですよ。いい機会です。分からせてあげます」
こうして決闘は始まった。
始まって直ぐに、彼はなにか仕掛けようとしていた。
木刀での試合で魔力を発生させようとしている?
彼は一体何を……!
「おりゃぁぁぁあ!!」
私が考えていると、彼は【風属性】の魔法を駆使し、ものすごいスピードで私に近付いてきた。
私は咄嗟に木刀で彼の攻撃を受け流した。
今のは少し危なかったわ。でもそんなことができるなんで……くそっ! 知らなかったじゃない! 悔しいわ!!
彼は「す、すまん」と、何故か謝ってきたがもうそんなのどうでもいい!
「……あなた思ったよりもやるみたいね」
私より´凄い´のは初めて見た。だから、その分悔しかった。
彼はさっき【風属性】の魔法を足元に発生させていた。
……やってみる価値しかないわ。
私は彼の見よう見まねで足元に魔力を発生させた。
すると、彼は何か話していたが、ものすごいスピードで一発、仕返しをすることに成功した。
「……なるほど。こうやってあなたは使ったのね」
私の攻撃をもろに受け、みぞおちを抑えながら彼は立ち上がった。
「ちょ、ちょっといきなり過ぎませんか?」
「なによ、あなただってそうだったでしょ。つくづくあなたには勿体ない魔力属性だわ」
その力があれば私だって……今そんなこと考えても仕方がない!
今私……少し……楽しんでる!!
私は興奮していた。そして、また、足元に魔力を発生させる。さっきよりもたくさんの魔力を。
私は彼の周りを猛スピードでまわり続けた。
これで……終わりよ!!
猛スピードで後ろから彼に近付き、木刀を振り下ろした……が、彼は私が近付くと、それと同時に振り返り、私の木刀に彼の木刀が振り下ろされた。
その時、ガコンッ!! っと大きな音が鳴り響いた。
「この決闘、武器破損により、グラリスの負け。勝者リューネ!!」
……危ないところだった。
完全に私の攻撃は読まれていた。あのスピードを読まれるなんて……彼、本当は……
私は心の中でガッツポーズをしてしまっていた。
多分笑っていたと思う。何年ぶりに笑っただろうか。そんなの数えてないから分からない。
「あなた、本当に少しだけ意外とやるじゃない。褒めてあげるわ。ふふ」
ーーグラリス・バルコット
彼はとんでもない実力を持っているわ。
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次はエイミーさんに魔法を教えて貰っていた。
私はそこで現実を思い出す。そう、私の魔力属性は
【風属性】なのだ。
「分かってるわ……さっき見たもの。でも、そーゆー使い方があるなんて気付けなかったのが悔しいの。こんなポンコツ見たいなやつに負けた気分だったわ」
悔しくて、でもどうな風に言えばいいのか分からなくて。
私はこんなことを言ってしまった。
「リューネ様!! ポンコツは言い過ぎですよ!! リューネ様もとっても優秀でございますが!! 魔法ならうちのグラリス様も負けてません!! そこまで言うなら勝負です!!」
分かってるわよ!! グラリスが十分凄いのなんて!!
「リューネ。俺と魔法での勝負、受けてくれるのか?」
「……いいわ。やってあげる」
こんなのどっちが勝つかやる前から決まってる。
絶対にグラリスだ。
あの底知れない魔力。私が勝てるわけない。
案の定、私の魔法は負けてしまった。完敗だった。
「リューネ! これで一体一だな」
「……そうね……で、でも……まだ私はあなたを認めたわけじゃないから!」
いーや? そんなことありませんよリューネさん?
私はまたこんな嘘をついてしまった。
私の前に一つとても大きな目標が現れたのだった。
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