プロローグ 03
※本作品には、グロテスク・暴力的な表現(行為、言動)表現が含まれています。(1つのシーンとしては存在しませんが、性的な表現も含まれています)これらが苦手な方は、ご遠慮ください。
※作中での描写のように殺傷行為を行うことは犯罪となります。どのような事態となっても当方は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体等は全て架空のものです。
(一部登場する実在するまたは実在した人物・地域等もございますが、あくまで設定上のものです)
※本作品には悪魔などが登場します。このテーマは宗教・思想によって解釈が異なりますので、これによって不快感を感じられる方はご遠慮ください。
長々と書きましたが上記をふまえた上で楽しんでいただければ幸いです。
「――っと、ここね」
そうこうしている内に目的地へと到着した。
電話の彼女の詳細によると、このアパートは鉄骨コンクリート作りで築45年の4階建て、各部屋3LDKの全体的に立派な建物なのだか、なにぶん古い建物なので老朽化が進み、今では廃屋となっているそうだ。
ざっとアパートを見渡してみる――
建物は全体的にやや縦長で、ガラス窓はほとんど割れてしまっている。かつてはクリーム色だったと思われる壁は薄汚れており、ところどころに薄っすらとひび割れが走っている。出入り口は向かって右側に一つ。
ぱっと見た感じ、どことなく日本の団地の作りにも似ていて、どこにでもありそうな感じがした。
ただ、他と違うのは、まがまがしいまでに異質な何かを放っているという点だけ。
「……しっかし、いかにもって雰囲気ね」
本当にいかにもって感じがした……
心霊特集の番組に出てくる心霊スポットチックな建物だ。ここまであからさまに“それっぽい”と恐怖を通り越して唖然としてしまう。
私は悪態をつきながら、左手に持ったカバンを地面に下ろした。カバンを横に倒して止め具をはずす。蓋を開けたカバンの中には、聖書や聖水、十字架といった基本的な装備品。そして、リボルバー式の拳銃が収められている。
リボルバー式の拳銃を手に取る。357マグナム弾を使用する、シルバーメタリックのコルトパイソン6インチ。私の命を預ける大事な相棒だ。
ロングバレルに357マグナム弾を私用するので、その反動は結構なものだ、女の細腕で扱うのはなかなかに大変な代物だ。しかし、38口径の弾丸、38スペシャルを使用することにより、威力はマグナム弾に随分と劣るもの、比較的反動を極力軽減し、扱いやすいようにしている。
最近の拳銃はオートマティックで弾数も多く、プラスティックパーツで構成されている物もあり、非常に軽く女性でも簡単に扱うことができるものも少なくはない。
弾数も少なくリロードも遅い、しまいには、弾丸の威力を落としてまで使う。私にとってはデメリットだらけのこの拳銃にこうまでしてこだわるのは、父の形見の品であり、父から譲り受けた大切なものだからだ。
パイソンのシリンダを横に押し出し、退魔の刻印を弾頭に刻んだ、特殊な弾を6発込める。そして、予備の弾と聖水の入った瓶をコートの左ポケットへ入れ、最後にとっておきのお守りであるチョーカーを首に提げて準備完了……
再び、カバンを左手に持ち、ふぅ、と一呼吸し、アパートの出入り口へと足を向ける。
ご感想・ご指摘いただけたら幸いです。
今後とも宜しく御願い申し上げます。
秋山時雨