表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
使える魔法はセーブとロードとリセットです。  作者: ちさめす
小説世界 貴船町編
44/45

貴船町Cパート④

「しんぶんし」の逆さ言葉は「いすんぬぶんにす」

家へと急ぐレイリンに敷いていた魔方陣の感覚がよみがえる。


(良かった!時間の反転で跳躍時計の魔方陣は元に戻ったみたい。これでいざとなればもう一度跳躍が出来る!)


◇◇◇


レイリンは家の前に着くと箒から降りた。


(この気配・・・誰かいる!)


箒を地面に置き、家の側に駆け寄る。


屈折マントからはみ出た箒は、太陽の光が当たると無色透明ではなくなった。


◇◇◇


レイリンは玄関のドアを蹴り開くと同時に勢いよく中に入った。


「あていく、いく」


中にいたゴロウがそう喋った。


レイリンはこちらを見ているクモンに襲い掛かろうとするが、寸でのところで攻撃をやめた。


「なんであんた達がここにいるのよ」


レイリンはゆっくりと被っていた屈折マントを取っ払った。


ゴロウとクモンは驚いた表情をしており、同じ部屋にいる()()()()()()()()()はクモンを見ていた。


「おなのとくいうおぢあっちあへろこみろいぇろす!おたあひえむてす!のむく」


()()()()()()()()()がそう喋る。


「あったににらつへって・・・おなてらわらああらここど!?にりえれ!ええ」


続けてクモンがそう喋る。


屈折マントを片手に、レイリンはもう片方の手で懐中時計を取り出す。


そして、意識を集中するとレイリンは白く輝き、懐中時計の矢印の刻印が()()()から()()()へと変わった。


◇◇◇


レイリンの家にて。


SPRIスプリによればあの魔物は昨日に白城町を襲った魔物と大きさは違うけど同じ魔物よ」


「ならまじで関係おおありじゃねえのか!?」


「町の中に突如として現れたことも全く同じなの。なのでそう考えて・・・」


「あんた達!こんなところでなにしてるの!」


クモンはゴロウとの会話の最中、突然現れたレイリンに驚いた。


「ええ!レイリン!?どこから現れたの!?・・・って()()になった!?」


「クモン!説明は後!それよりもこれは一体どういうことなの!」


クモンは答えず、ゴロウとともにただ唖然としながら、()()()()()()()()()が屈折マントを被る姿を見つめている。


「およぬりいのこがいたたたんなえでんなん」


屈折マントを被ったレイリンはそう喋ると、すごい速さでクモンから遠ざかり、開いたドアから外へ飛び出る。


外に出て日の光を浴びた瞬間、屈折マントを被ったレイリンは見えなくなった。


「き、消えた!?」


そして間もなくドアは音を立てて閉まった。


「ね、ねえレイリン・・・い、今のはなに、かな・・・」


◇◇◇


リビングルームにて。


レイリンは包丁を片手に4人を正座させている。


「さあ答えてもらおうかしら!あんた達!私の家で一体なにをしてたのかなあ~!」


「トイチがドアをぶち破ったんじゃ~!トイチが悪いんじゃ~!」


「おいこら!アホぬかせ!一緒に入ってきたお前も同罪やろ?なに責任転嫁しようとしてんねん!」


「トイチ~どういうことか説明してくれる~?」


「おい待てってレイリン!な?と、とにかく落ち着いてその包丁収めてくれや~!怖すぎるんやて~!」


◇◇◇


「・・・イエカゼ先生が私を探してるって?」


「そうよ。レイリンの魔法が必要だって言ってたわよ」


「それでわざわざ私の家に侵入したってわけね」


「・・・ごめんなさい。謝るわ」


「なにも盗ってないんでしょ?敵じゃないって分かったから別に良いよ。ああ!でももう勝手に侵入するのはダメだからね?次は許さないんだから!」


「良かったな~トイチ~!許してもらえて!もう勝手に人の家に入るのはやめるんじゃぞ~」


「あのなルーリー、お前はどの目線で話をしよるんや!?」


「まあまあ、今は抑えてトイチ・・・」


「はっはっは」


ルーリーに怒るトイチをなだめるクモンと、それを見て笑っているゴロウをそっちのけでレイリンは考える。


(おっかしいなあ。跳躍前にイエカゼ先生が私を探すなんてこと無かったのに。・・・見えないところでなにか変化が起きてるのかな?)


◇◇◇


「そんなことよりレイリンよ~、聞きたいことがいっぱいあるんじゃ!なんでさっきレイリンが2人もいたのじゃ?それに隣の部屋にある魔方陣は一体なんなのじゃ?」


「それは私も気になるわね」


「2人になったのは分身の魔法かなにかだろ?俺が気になるのは魔方陣のほうだ。保存用の魔方陣を重ねてるんだ。よっぽどの魔法効果があるんだろうな」


「ん-ふふふー。秘密だよ」


「え~それはつまらんのじゃよ~!頼むよ知りてえんじゃ~!」


「うーんそうだなあ。それじゃあ私に協力してくれたら教えてあげる」


「協力?協力ってなにかするの?」


「そう!今からするのは、とてもとても大事なミッションよ!」


「そんな時間はねえだろ?先生はお前を待ってんだ。ルーリーとアカデミーに戻れよレイリン」


「やーだね!私、戻らないよ?」


「おいおいレイリン!なに言うてんのや!?町の状況ほんまにわかってるんか?」


「あんた達より分かってるよ!この町の状況なんて。・・・この町を救うのは誰でもない、私なんだから」


◇◇◇


「毒キノコでも食べたんか?」


「食べてないよ」


「じゃあ熱でもあんのか?」


「平熱だよ」


「ほなこの危機的状況でなんでそんな冗談を言え」


レイリンはトイチに写真を突き付けて言葉をさえぎった。


「な、なんやこれ」


「写真よ。全部で4枚あるわ」


「せやからなんの写真なんかを聞いてるんや!」


レイリンはゆっくりと4人に近づく。


「今、町で暴れてる魔物はどこから来たか知ってる?」


「そんなもん知るかいな!町ん外からフラフラーとやってきたんとちゃうんか?」


「あんなに図体の大きい魔物が3匹も揃って町中に現れる理由は一つしかない」


「転送か」


「その通りよゴロウ」


「ちょ、ちょい待てって!それは話が飛躍しすぎてんのとちゃうか!?第一、あんなでっかい魔物を転送する魔法なんて聞いたことないで?それも3匹!そないな魔法、マスナガ校長先生でも無理や!」


「トイチの言う通りよ。それに物体の転送ならまだしも魔物の転送は禁忌なのよ。それぐらいはレイリンも承知のはずでしょ?」


「禁忌・・・【対価】の問題ね。魔物に干渉した者はその代償として魔物になんらかの対価を支払うという。アカデミーで習ったわね。骨や血という物的なものから寿命や感覚といった非物的なものまでを、干渉した魔物に強制的に奪われる仕組み」


「そうよ。【対価】の問題がある限り、人が魔物を転送するなんてありえないわ!」


「事実よ。・・・私は見たもの。彼らは崩壊したこの町を去る時、魔物を使役して消えていったのよ」


「レイリン・・・それって、どういう意味なの・・・?」


「ん~それは口で説明するよりも見た方が早いね」


レイリンは隣の部屋に移動した。


「ほら!なにしてるの!早くこっちに来なさい」


◇◇◇


「そ、それでどうするんや?」


「どうするもなにも、話を聞かないことにはレイリンは動かないでしょ」


「そうだな。やつがこの場面で俺達に嘘を言う理由がない。やつを無理矢理アカデミーに連れ戻すかどうかは話を聞いてからでもいいだろう」


「はあ~眠くなる話じゃった~!・・・あれ、みんなもう行くのか?」


◇◇◇


「さ!みんなこの魔方陣の中に入って!」


「あの・・・これはなんの魔方陣なんでしょうかレイリンさん・・・」


「心配しないでトイチ!害は無いわ。魔方陣を使って少しだけ場所を移動するだけよ」


レイリンは意識を集中する。


レイリンと魔方陣が白く輝く。


「なんや、移動用の魔方陣やったんか!」


「うむ・・・。単純な指定場所間の移動用魔方陣なら設置後に蝋燭で保存する必要はないような・・・」


「それじゃあ飛ぶよ!【跳躍時計リープタイマー】!!!!!」


レイリンの家はもぬけの殻となった。


◇◇◇

しばらくCパートが続きます。


レイリンの魔法

①大きな本に描かれたアイテムを【リアライズ】で具現化する。

反転時計:懐中時計。刻印された矢印が左向きになると時間が反転し自身が逆再生の存在となる。

別物シーツ:紺色。被るとなりたい生き物に変身できる。

屈折マント:空色。太陽のような強い光を浴びると透明化する。

微妙に飛ぶ箒:地上から1mを飛行する。

②魔方陣【跳躍時計(リープタイマー)】:指定の時刻と場所にタイムリープする。

③蝋燭による簡易式の保存用魔方陣:メインとなる魔方陣を維持する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ