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使える魔法はセーブとロードとリセットです。  作者: ちさめす
小説世界 貴船町編
37/45

貴船町Bパート③

毎回新しい人が登場してる気がする。

◇◇◇


同刻。


白城町の近くにて。


(・・・お!やっと見えてきた。防壁が見えてきたってことは、メールが言ってたのはあの町か。・・・はあ~もう森の中は嫌だ。・・・バンが解除されてからもこの扱い、カワモリの野郎~絶対に許さないからな)


「あ痛っ!枝踏んだ!痛ってえなあもう、くっそおお!」


(ていうか、なんで身ぐるみ剥されてんだよ~!メール!早く迎えに来てくれ~!)


◇◇◇


「・・・ありがとうございました。また起こし下さいませ!」


(こんな状況でも営業してるなんて、すごいねここは。品揃えも悪くなかったし、これならうちもくんも満足してくれるんじゃないかな)


「さてと」


店から出たメールは、両手に紙袋を持ったまま目をつむって意識を集中する。


メールの全身が白く光る。


「【スイフトネス】!」


履いている靴が淡く輝いた。


メールは地面を滑るように高速で西に向かう。


思考の共有(イメージディーラー)に割くマナが多くて白城町まではスイフトネスが使えない。んー、馬車屋さんで馬を借りるかあ)


◇◇◇


1時間程過ぎた頃。


「・・・お!来たかメール!早速で悪いけどさ、買ってきた服こっちに投げてくれよ」


「ほんとに裸なんだねー!こんな人気ひとけの無い森の中でポツンといるの、なんか受けるね」


「うるせえ早く投げろ!」


「分かった分かった!・・・それっ!」


「ふー助かる。すぐに着替えっからちょっと待っててくれ」


◇◇◇


「・・・おい」


「なに?」


「なんだこれは?」


「なんだって、服だよ?・・・おー!よく似合ってるじゃん~!さすが私だね。センスが違う」


「どんなセンスしてんだよ!?これ、ただの黒いレインコートじゃん」


「そう?うちもくんの性格が出てる感じがしてすごく良いのに!ちなみに、その赤のジッパーを下までおろせば全部開けてかっこいいよ!」


「んー、ださいな」


「そうかなあ。店員さんは、この服を今買うと今年で最初に買った人になれるって言ってたよ」


「絶対、遊んでるよな?」


「ん~なんのことかなあ?メールにはわかんないや~」


「あのなあ。・・・まあ隠せるだけましか。ところで下着はどうした?」


「え?・・・あ!忘れた!ごめんね。しばらくはジッパー下ろせないけど我慢してね」


「というかさ、もうちょっと小さいサイズ無かったの?これXXLだぞ?動きづらくてしょうがないわ」


「ああ、その服フィーダーカンパニーのだから、サイズはSかXXLしかないのよ」


「フィーダーカンパニーって、おいおい待てよ。なんでそんなジャンクなとこで買い物してんだよ!もうちょいまともな店あっただろうが!」


「魔物騒動でどこもお店はやってなかったの!せっかく買ってきたんだからありがたく着てればいいじゃない!」


「ぱっとってくりゃいいだろ!」


「私は泥棒なんかしません~!」


「お前の職業盗賊だろうがよ!」


「盗まない盗賊だから!」


「盗まない盗賊って、ただの賊じゃねえかよ!」


「賊って言うな!・・・もう!せっかく買い物までして迎えに来たんだからね、ありがたく思いなさいよね」


「ああもうわかったよ!ったく、なんでこの気持ちを分かってくれないんだ」


「久しぶりの再会なんだから、からかいたいじゃん!もう、うちもくんの馬鹿!」


ふくれっ面のメールは、乗ってきた馬車を引く馬に乗り掛かった。


「早く乗らないと置いてくよ!」


「あの、メールさん。靴は・・・」


「あ!ごめん、忘れた!」


うちもは声に出さず、表情でキレた。


◇◇◇


メールは貴船町に向けて勢いよく馬車を引いていた。


馬車に乗るうちもは、隅にあった細いロープを見つけるとおびのように結んだ。


「ねえうちもくん!そういやフィーダーカンパニーの社長ってあのウメハラの弟って知ってた!?」


「ウメハラと言えばあのLOW(リーグオブウィザード)の不敗の王だろ?そんなすごいやつの兄弟が経営してる店とは思えないよな!」


「それは言えてるかも!」


「メール!お前やっぱり分かっててここで買い物しただろ!」


「さ~て、なんのことかなあ!」


「フィーダーカンパニーって服のロストを減らすためとか言ってSとXXLしか置いてないんだぜ!?そのくせに堂々と主流はだぼだぼ感ですとか言ってんだぞ!?普通に考えてやばいだろ!なんで一部の界隈に人気なのか理解出来ないわ!」


「着たことないからわかんなかった~!ごめんね!」


「もういいよ!いやよくない!せめてパンツくらい買ってきてほしかったわ!」


「反応を見てみたいって気持ちがどうしても先行して、そこまで気が回らなかったの!」


「・・・もうなんも言えねえわ!とにかく、町に付いたら俺は服屋に行くからな!」


「はいはい、分かりましたよーだ!」


「ところでメール!この馬車も借りてきたのか!」


「馬車屋さん、やってなかったから勝手に借りてきたよ!」


「だったら・・・服も勝手に借りてこんかいやああ!」


◇◇◇


メールが引く馬車が急に止まった。


「お、おい!急に止めるなよ!」


「うちもくん、あの魔物に見覚えって無い・・・?」


「ああん?魔物だと?魔物なんていちいち・・・首輪か」


「うん」


メールは馬から降りて魔物に近づく。


「おい!危ないぞ」


「大丈夫だよ!気絶してるみたい!・・・この首輪、なにか書いてる」


「とっとと始末して町に行こうぜ。俺、服買わなきゃいけないんだよ。・・・なあおい、聞いてんのかメール!」


「イヌ」


「なに?」


「イヌって書いてあるの。確かカワモリが飼ってた魔物の名前もイヌじゃなかった?」


「そうか。あいつのペットか。なら話は早いな」


「ちょっと!うちもくんなにするの!?」


「なにって始末するんだよ。どうせ魔物だろ」


うちもは気絶した魔物に向かって手のひらを向ける。


意識を集中すると、手のひらが白く光る。


「【契約者の名のもとに具現せよ。形は剣、属性は火、召喚。炎の太刀(フレイムトウ)】!」


炎をまとう太刀が現れ、うちもはその太刀で魔物を両断した。


「斬り口は焼けるから血は流れない。よって服も汚れない。さ、片付いたし、先を急ぐぞ」


うちもは太刀を消して馬車に戻った。


「あー。せっかくカワモリから身代金を要求出来ると思ったのに、もったいないなあ」


◇◇◇


馬車は離れていき、その場所には両断された魔物だけが残っていた。


しばらくすると、首輪についた鈴が黒色に輝いた。


そして、魔物は目を覚ました。

Bパートの整理


メールとうちも→町へ

タキシード→レイリン討伐

ウィスパーとリョーマ→シシドへの道中にダイゴロウと対面

ーーー

ミラーとヒナチ→イエカゼ討伐

ナナミは瀕死

ホルマは囚われの身

カワモリのペットは半分になる

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