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使える魔法はセーブとロードとリセットです。  作者: ちさめす
小説世界 貴船町編
34/45

貴船町⑩

記憶の世界とか夢の世界とかも面白そうლ(╹◡╹ლ)


◇◇◇


ハルが音々と出会う少し前。

中央棟の入口にて。


「ん?どうしたナナミ?」


「アカデミーから連絡があったよ。鞍馬山くらまやまで校長が一匹仕留めたって」


「ほんとか!さすが校長だな!あんな魔物を倒すなんて、まじですげえよ。これで残りはあと2匹か?」


「そうだね。でも、もういっこあってね・・・港内で戦ってた自警団が撤退したらしいの」


「おいおいまじかよ!?状況は?なにか言ってたか?」


「うん・・・幸いまだ死者は出てないみたいだけど、魔物は南下を始めてこっちに向かってるって言ってたよ」


「ひえ~そりゃ困ったな・・・中央棟ここで戦力になるのは俺とナナミだけだぞ」


「・・・おーい!」


「ん?なんだ?」


「向こうから誰か来るね」


「おーい!はあ、はあ・・・あの!助けて、ください!向こうで、向こうで!」


「ちょっと落ち着いて。どうしたの?」


「はあ、はあ・・・これを、この手紙を・・・」


ナナミは走ってきた女の子から手紙を受け取る。


「これは・・・録音された手紙(レターボイス)だよシシド。今時こんなのを使うのは・・・」


「ニマだな。とりあえず開いてみろよ」


ナナミは頷いて手紙を開く。

すると中に録音されたメッセージが再生された。


「緊急事態です!あなたのニマちゃんが悪の手先に捕まりました!助けてくれる王子様、早く私を助けに来て!出来ればお金持ちのイケメンの王子様!早く私を助けに来て!」


「ニマになにかあったらしい」


「どうするの?ニマを助けに行くの?」


「そりゃ助けに行くしかないだろ?見捨てることは出来ない」


「ええ!?じゃ、じゃあ門番は誰がするの?わ、私はやだよ!?私は後方支援向きなんだから一人では戦えないよ!っていうか魔物がこっちに向かってるのにここを離れるのはだめじゃない?私達だけなんだよ!?」


「後方支援ならそんな鍋なんか被んなよな・・・ナナミ、すぐにアカデミーに連絡するんだ。鞍馬山なら校長はすぐに来てくれるはずだ」


「でもでも!」


「少しの間ぐらい度胸をみせろ度胸を!」


「度胸はさっき捨てたもん!お願いだよ・・・いて欲しいよ」


「だめだ。ニマも助ける。救出したらすぐに戻ってくるって。な!俺を信じろ?同じB組だろ?」


「う、うん・・・わかったよ。早く帰って来てね」


「よし!それでこそB組の紅一点だ」


「シシド・・・帰ってきたらご飯おごってよね」


「A定食でいいか?」


「なんで学食で済ませようとする!?焼肉じゃなきゃ嫌!」


「わかったよ・・・ナナミ、ここは任せたぞ」


◇◇◇


「シシドさん、そこを右に曲がったところです!」


「わかった!・・・案内はここまでで大丈夫だ。先に戻って避難してな!」


「でも・・・」


「どうした?」


「私も助けたいのに、なにも出来ないから・・・」


「案内してくれただけで十分助かってるよ。ありがとな」


「シシドさん・・・無事に帰って来てね」


「・・・お嬢ちゃんはなんて名前なの?」


「私?私はユズ・・・じゃなかった、ヨツバだよ」


「ヨツバか、良い名前だな。・・・じゃあヨツバ、案内してくれたお礼にこの騒動が落ち着いたら焼肉でも食いに行こうか。俺がおごってやるよ」


「焼肉!ほんとに?ありがとうシシドさん!」


「美味い焼肉が食べられるように、中央棟に戻ったら俺が無事に帰ってこれるよう祈っててくれよな」


「うん!分かった!・・・ちゃんと祈ってるからねー!」


シシドはヨツバを見送った。


「さて、行くか」


(・・・でもどういうことだ?魔物は残り2匹でそれぞれ西棟と港内側にいるはずだ。見る限り魔物の被害は全然無いし、こんなところでニマはなにに巻き込まれたんだ?)


シシドは角を曲がった。


「な、なんだこれは!?」


そこでは、20人ほどの人々が道の真ん中で集まる様にして倒れていた。


「あれは・・・死んでるのか!?」


「生きてますよ」


「だ、誰だ!?・・・君は、リゼちゃん?」


「シシドさんこんにちは」


「リゼちゃん・・・一体なにがおきてるんだ?」


「全員寝てるだけですよ」


「寝てる!?なんでみんな寝てるの?」


「私が、眠らせました」


「ええ!?なんで!?」


「ちょっとやることがあって、眠ってもらってます。出来れば後数時間は眠らせたいので、それが終れば起こします」


「あの、リゼちゃん?言ってることが良く分からないけど・・・っていうか待て待て!リゼちゃんは状況分かってる!?町は魔物で大変なんだぞ?早くみんなを起こして避難させるんだ!」


「今しか出来ないからこうやって眠らせてるんです。終われば避難させますから」


「終わればって・・・リゼちゃんはなにをしようとしてるんだ!?・・・というか、どうやって眠らせた?まだ魔法を覚えてないだろ?」


「これです」


リゼは青色の水晶玉を見せる。


「それはオートコアか!?なんでそんなものをリゼちゃんが持ってるんだ!?」


「輪さんがくれたの。あなたに必要だって」


「輪さん!?輪さんって誰だ!?」


「シシドさん、質問が多すぎますよ」


「多すぎますよってなんだよ・・・と、とにかく早く避難を・・・」


その時、魔物の遠吠えが聞こえてきた。


(まずい!もう近くまで来てる!?中央棟に向かってる魔物か!?)


「リゼちゃん!状況が良く分からないけど、早くみんなを起こして避難させるぞ!」


「あっ!ちょっと!」


シシドはリゼから青い水晶玉を奪った。


「【解除リフト】!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


水晶玉が青く光ると、倒れている人達が青く光る。


「な、なにやってるの!?ど、どうしようこのままだと失敗する・・・いや、最後まで諦めない」


リゼは倒れている人達の傍に行くと、その場で正座した。


「おい!リゼちゃん!なにをしてる!」


「輪さんがやるなら今しかないって・・・今しかないって・・・」


リゼは唇を噛み締めたままゆっくりと両手を前に出す。

目を閉じて意識を集中すると、髪が淡緑うすみどり色に光った。


「【メモリーサブスクリプション】!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


リゼに呼応するように、青く光っていた人々は、澄んだ青色の輝きに変わった。


◇◇◇


(お願い・・・間に合って!目覚める前に・・・)


リゼの額から汗が流れる。


シシドは輝きを失う水晶玉を持ちながら呆然と立ち尽くしていた。


(コアの催眠が切れる・・・みんなが目覚める前に終わらせないと・・・)


その時、魔物の遠吠えが先程よりも大きな音で聞こえてきた。


(この騒音はまずい!催眠はもう切れてる・・・後、少し・・・)


リゼの髪の輝きは急速に失われた。

そして、力が抜けたように横に倒れた。


「はあ、はあ・・・やれるだけのことはやった・・・はあ、はあ、後は成功してると祈るしか・・・」


「リゼちゃん?一体なにをしたんだ?」


「記憶を・・・はあ、はあ・・・もらってました・・・」

余談ですが、【魔法】の後の!は、その魔法を受ける人数(個数)を表してます。

むちゃくちゃ叫んでるわけじゃありませんლ(╹◡╹ლ)

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