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使える魔法はセーブとロードとリセットです。  作者: ちさめす
小説世界 貴船町編
33/45

貴船町⑨

ハル(ロイ)パートの続きです。


(くそ・・・あの女が・・・あの女がロイを殺した・・・)


忍びの女が投げたチャクラムは真っ直ぐこちらに飛んでくる。


(どうしたらいいんだよ!もう、分かんねーよ!)


「くっそおおお!」


◇◇◇


ハルにチャクラムが飛んでいく様子をフードの女は見ていた。


(あらあら。見ていられませんわね。・・・ロード【便利な模造品店(コピーライター)】!)


ハルの目の前でチャクラムは留まり、チャクラムはその場でくるくると回り続けた。


(さてさて、どうしましょうか。目の前でご友人を亡くされますと、普通の方なら正気ではいられませんわよね。・・・あまりこういうことは好きではありませんが、仕方ありませんわね)


音々の目が、透き通った水の色からピンク色に変化した。


◇◇◇


(チャクラムが、止まった?・・・助かったのか?)


「大丈夫ですか?」


「あ、あなたは?」


女はフードをめくり素顔を見せる。


音々(ネオン)と申しますわ。以後お見知りおきを」


銀色の髪にピンク色の目をしたその女の容姿に、僕は心を奪われた。


数秒、僕は音々を見ていた。


(き、綺麗な人だなあ・・・ってみとれてる場合じゃない!)


「あ、あの、助けてくれて、その、えっと・・・あ、あ、ありがとうございます」


「いえいえ、どういたしましてですわ」


「音々。なにしに来たの」


「それぐらいにしておきませんか?輪さん」


「答えになってない。それに。次の招集まであまり時間はない。なすべきことは終わってるのか」


「もちろんですわ。わたくしは任務を終えて余暇を過ごしていますの。輪さんは・・・」


音々は両腕を前に伸ばし、親指と人差し指を広げて写真の形を作る。


「まだ回収していないようですわね。こちらで油を売っていてよろしいのですか?」


「【ウインドウ】か。勝手に私を調べないで。勘にさわるわ」


「あらあら、ごめんなさいね。これは私の癖ですの」


輪は音々の言葉を聞き流して東棟に目を向けた。


「時間は稼いだ。音々。私はもう行くから。【バインド】を解除して」


「もちろんですわ」


僕の目の前で回り続けていたチャクラムは、そのまま地面に落下して回転を止めた。


まわりさんは西棟付近で魔物と応戦中ですわよ」


「これで二度目。私は見透かれるのは好きじゃないの。次は容赦しないよ」


輪はチャクラムを拾い、西へ駆けて行った。


「はーい。気を付けますわ。・・・助かって良かったわね」


「え、あっ!えっと、はい・・・あの、助けてくれて、あ、ありがとうございます」


「その手、とっても痛そうですわ。少しお待ちになって」


音々は僕のほほにそっと両手をあてる。


「えっ!ちょっ、な、なんですか急に!?」


顔が赤くなる。

心臓の鼓動が早くなり体温が上昇する。


「すぐに済みますの。少しだけ、落ち着いてくださいね」


「えっ!あっ!は、はい!」


音々は吐息が感じられるほどに顔を近づける。


(ちょ、ちょっと!距離が近くて、お、落ち、落ち・・・!ひぃぃ!まだ血は止まってないのに、興奮でまた流血して貧血になる~!ああ痛みが・・痛みが無くなっていく・・・無くなって・・・いく?)


「終わりましたわ」


「・・・え?」


「いかがですか?もう痛まないとは思うのですが・・・」


「痛く・・・ない、です」


(あれ?なんで!?昨日噛まれた傷の痛みも斬られた手の痛みも感じない!?」


「ふふ。【ペインキラー】という法典の基礎魔法ですのよ。一時的な痛み止めですので、後ほど病院で手当てを受けてくださいね」


「あ、ありがとうございます・・・」


「いえいえ、どういたしましてですわ」


音々の微笑みに僕は顔を赤くした。


(どうしよう・・・す、すごく可愛い。世の中にこんな素敵な人がいるなんて・・・あ!でも、本の世界の人だよね・・・現実にいないと分かってても、なんでだろう・・・すごいドキドキする・・・あああ~!)


音々のにやりとした表情も、僕には満面の笑みに映った。


「・・・ところで、やはりあなたでしたのね」


「は、はい?なんのことですか?」


「栞のことですわ。あなたは、どんなロードが使えるのですか?」


次から別視点を進めます。


アカデミー生と先生だけで15人くらいいるのはやりすぎかなあ

登場人物多すぎてごめんなさい(☍﹏⁰)


面白いと感じて下されば評価をお願いします!

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