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使える魔法はセーブとロードとリセットです。  作者: ちさめす
現実世界 月乃編
3/45

潜在③

「グラウンドにあんなにデカいヒビが入ってるの初めて見た。空も赤いしこれじゃまるで世界の終わりだな・・・」


「竜馬、揺れが強いから降りるときに振り落とされないでね。下はガラスの破片だらけだよ」


「分かってるよ。それよりも悠介、この世界が不安定になってきてるけど、介入でつくったこの梯子はしごは途中で崩れたりしないよな?」


「それは問題ないよ。介入の操作はこの世界を創った【投影世界フロイト】と同じ原理だから、梯子の強度も存在自体も思い通りだよ」


「それなら大丈夫だ。じゃあ先に降りるぞ!」


◇◇◇


「もはや大震災並みの揺れだよ、倒れない様に気を付けて。そこら中ガラスの破片だらけだよ」


「僕なら大丈夫だ。・・・なあ悠介、もしもこの世界が崩壊してしまったらどうなるんだ?」


「それは分からないけど僕たちは死ぬだろうね。ここで死ぬと意識世界に戻れるけど痛みはリアルなんだ。死ぬ瞬間のあのなんとも言えない苦痛はもう嫌だから、絶対に崩壊する前にスタート地点に戻るんだ」


「それはそうだな。・・・おい、待て。三銃士がいる」


「三銃士?・・・ああ柚子達か」


「参ったな。スタート地点はもう目の前なんだけど、この先視界を遮るものなんて無いぞ。見つかると蜂の巣にされる」


「これぐらいの距離なら介入でなんとか出来ると思う。ちょっと待ってね」


「いいのか?介入すると防衛本能が違和感を感じてこっちに気付くんじゃなかったのか?大丈夫か?」


「気付かれたところで先にスタート地点に辿り着けば問題ないよ。・・・銃も爆弾も耐えられるパワードスーツと、戻る時は無防備になるからここは・・・よし」


僕は竜馬を見て意識を集中する。

全身が紺色に光り、介入が発動した。


僕達は戦隊ヒーローのような格好になった。


「もう力は残って無いからこれが最後の介入だよ。それじゃ竜馬、あの紺色の小屋まで走るよ!」


僕たちは駆け出した。

三銃士は容赦なく銃を撃ってくる。


「おらおらおら~!早く倒れろちくしょうめ~!」


「百々、逃走を阻止するにはこのようにしなさい」


両手で二つの銃を撃っている百々の横で、咲は幾重にも弾が装填された機関銃を打ち続けた。


「悠介くんも竜馬くんもこれで昇天してくれないかな~!ドーン!」


柚子はロケットランチャーを構えて1発撃った。


「やばいってやばいって!痛っ!痛ーっ!いくらなんでも撃ちすぎだろ!痛ーっ!」


ドーン!

爆発ど同時に僕と竜馬は吹き飛ばされた。


「うう・・・」


「パチっ!や~りぃ!さ、百々!咲!悠介くん達の止めを刺しに行くわよ~!」


「柚子隊長あいあいさ~!」


「あ痛ててて・・・こりゃ全身打撲になりそうだ。悠介・・・立てるか?」


「うん、立てるよ・・・」


「やばいぞあいつらが来てる。早く、あの小屋に行くぞ!」


僕は竜馬の手を借りて小屋の中に入り、内側から鍵を掛けた。


「あの小屋はとても不気味に感じます。ですので小屋ごと吹き飛ばすことが賢明でしょう」


「咲ちゃんに賛成かな~!百々ちゃん!アレいきましょう~!」


「アレですね~!了解であります!」


百々は小さなリモコンを取り出す。


「スイッチオン!」


校舎の一部の屋上が開くと、その中から大砲が出てきた。


「目標!ロックオン!全てを破壊しつくせ~!あ~らポチっとな!」


大砲は発射され、紺色の小屋に命中した。

大きな爆発とともに周囲が煙と爆風に包まれた。


◇◇◇


「・・・間一髪だったな」


「さすがにもうだめだって思ったよ。あれは絶対にもう少し遅かったら熱で身体が溶けてたね」


「全くだ。それでどうする?もう栞の力は残って無いんだろ?月乃の気持ちを探るのはもうやめにするか?」


「・・・そうだね。ここの月乃は睡眠薬で寝てしまったからもうやり取りも出来ないし」


「おいおい、ここでの失敗が怖いからってすぐに眠らせた人が言うセリフじゃないぞ」


「ち、違・・・わなくはないけど、でもここのことは現実に記憶として残ってしまうから、やっぱり詮索してるところは気付かれたくないんだ」


「気持ちを探る為に私の中に入ったなんて思われたらそりゃ誰でも引くわな。・・・ったくもう、こんなまどろっこしいことなんてせずに、二段階目のさっきの死線を潜り抜ける覚悟があるんならズバっと本音をぶつけりゃいいだろ!?」


「いやいやいや!それとこれとは別だよ!」


「はあ、なに赤くなってんだよ。違う意味でこっちが赤くなりたいよ。・・・それよりも失敗したんならとっとと帰ろうぜ。腹減っちまったよ」


「そうだね、ごめん。それじゃ戻るよ」


竜馬が僕の肩に手を置く。


僕はベットの下にある収納ケースを開けて、中に入っていた紺色の光に触れる。


紺色の光が僕と竜馬を包み込む。


消えるまでの間、僕はベットで寝ている月乃の寝顔を見ていた。


「月乃はどういう人が好みなの?」


言い終えて、そして消えた部屋の中で、月の光は月乃の寝顔を照らしていた。



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