魔物
少し遅くなりました。
今後の展開を修正する関係で少し短いです。
「ほんとにも~。遠足じゃないんだから危機感くらい持ちなさいよね~」
ホルマの隣を歩く僕は、呆れた様子で前に向き直したホルマに言葉を掛ける。
「まあ、雰囲気が良いのは悪い事じゃないし、たまにはこういうのも悪くないんじゃないかな」
「またいつ魔物に出くわすかも分からないのよ~。せめて町の外では気を張っててほしいわね~」
「確かにそうだな。ところでホルマ、気になってたことがあるんだけど聞いてもいいかな?」
「ん~何~?」
僕は先程のホルマとの会話で感じた違和感を思い出す。
あの狼を犬扱いするなと、魔物に期待するなと注意を受けた時に感じたあの違和感。
それが何なのかを僕は聞いておこうと思った。
「記憶を無くしてしまったからなのか、魔物という生き物について僕は何も分からないんだ。一体どんな生き物なんだ?」
ホルマは僕を見た。
考え事をしているのか、そのまま歩みを止めずに少し経ってから口を開く。
「魔物は危険な存在なのよ~。それ以上でもそれ以下でもないわ~。だから出会った魔物は全て消滅させるの~」
「魔物は人に危害を及ぼすから消滅させるってこと?」
「そうね~。そんなところかしらね~。それに魔物討伐はシールドレインの責務だからね~」
「魔物とは相容れない存在ということなんだね」
「そういうこと~。だからね~、例外なんて絶対にあり得ないのよ~」
ホルマの話を聞いた僕はあの狼を頭に浮かべる。
「猶予をくれてありがとう」
「言っておくけども、次は本当に無いからね~。それと、もう二度と魔物に干渉しようなんて思わないことね~。痛い目に合うわよ~」
「分かったよ」
僕はそう答える。
しかし、心のどこかではもしかしたら魔物と共存出来る道があるのかもしれないと思っていた。
あの狼を犬のように手懐けたカワモリに何かヒントがあるかもしれないということもそうだが、何よりイアが助けたいと思ったその決断を後押ししたい気持ちでいっぱいだったからだ。
僕は狼が来ていないのかを確認する為に後ろを振り向く。
しかし、仲良く話す3人の後ろには、狼が来ているという気配は全く無かった。
「これだけ待ってもあの魔物が現れないのなら、多分もう来ないと思うわよ~」
「どうしてそう思うんだ?」
ホルマの言葉に僕は聞き返した。
「魔物に知性なんてあるわけないのよ~。拘束が解ければ好き勝手に動くに決まってるじゃない~。それにね~、この街道は白城町と港町を結ぶメインストリートなのよね~。町を行き来する定期便や警護中のシールドレインに見つかれば間違いなく消されてるわね~」
「確かにその可能性は高いかもしれない。でも、あの狼は絶対に来るよ」
「なんでそう思うの~?」
「理由なんて1つしかないよ」
そう言って僕はもう一度後ろを振り向き、楽しそうに話すイアに声を掛ける。
「イア!あの狼は来ると思うか?」
「うん!もちろんだよ!絶対にイヌちゃんは来るよ!」
イアの言葉を聞いた僕はホルマに顔を向ける。
「ほら、イアもああ言ってるでしょ?だからあの狼は来るんだよ」
「根拠無き自信って感じだけどね~」
「何でもいいさ。とにかく今は狼を待とう」
「どうしてハルはそこまでイアにこだわるの~?」
「イアがあの狼を信じた様に、僕も信じてみたいんだ」
「ハルはさ~、記憶を失ってるんだよね~?」
「失ってるよ」
「・・・どうしてよりにもよってイアなのよ」
「それはどういう」
「意味なんて無いよ~だ」
言葉を重ねるようにホルマははぐらかす。
その意図を僕は汲むことが出来なかった。
面白いと感じて下されば是非とも評価をお願いしますლ(╹◡╹ლ)
次から急変しますლ(╹◡╹ლ)
お楽しみください!
それにしても、フラグや説明不足箇所が多すぎて回収大変ლ(╹◡╹ლ)




