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使える魔法はセーブとロードとリセットです。  作者: ちさめす
小説世界 貴船町編
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20/45

七日の珠

この編の大筋はこのパートで分かると思います!


読んで下さり、面白いと感じましたら是非とも評価をお願い致します!!!

とっても励みになりますლ(╹◡╹ლ)

晴れた日。


白城町を出た僕たちは、政府がある都を目指すために東へ向かって歩いていると、始めの草原が見えてきた。


(あそこの草原はこの世界のスタート地点って感じがする。この物語も絶対にクリアして見せる)


そう思い、前を歩くイアに目を向けるとイアは楽しそうにニマと話をしていた。


「楽しそうにするイアを見るとホッとするな・・・とか思っていたか?」

「お、おいやめろよロイ」


「図星だったか」

「ロイっていたずらとか好きそうだよな」


「ははは。まあそう言うなよ。旅は長くなるんだ、今くらい肩の力を抜いておこうと思ってね」

「ほんとモノは言い様だよ。あんまりドキッとさせないでくれよ」


「イアよりはハルをドキっとさせる自信無いんだけどね」

「ロ、ロイ!」


冗談に反応する僕を見てロイは笑う。

そのロイを見ているうちに、僕にも笑いが込み上げてきた。


イアは僕らの笑い声に気付くと、歩きながら後ろを振り向いた。


「ハル~楽しそうにどんなお話をしていたの?」

「えっと、大した話じゃないよ」


「ハルがドキドキしているみたいでさ、何でだろうなって話だよ」

「おい、ロイ!限度限度!それ以上はダメだって!」


「ドキドキしているの?そうなのハル?」


イアに違う誤解なんだと僕は答えるが、ロイが僕の顔の赤さを指摘することで、追い打ちのようにイアは何にドキドキしているのかを聞いてくる。


その一方で、ニマは前を向いたまま顔をニヤニヤさせながら歩いていた。


(ハル様がドキドキしてるなんて・・・なんて私は罪な女なの!こんなに白昼堂々と夢中にさせてしまう私のこの美貌、きっと神様は私の幸せを願ってるんだわ!ハル様・・・神様も認めたスーパーなカップルに私たちはなるのよ~~~!)


興奮した表情のニマの後ろで、僕はロイとイアの視線から逃げる様に目をつむって叫ぶ。


「もうやめ!ストーップ!」


ところが、思いの外大きな声を出してしまい、地図を広げて先頭を歩いていたホルマがこちらに振り向いた。


「どうした~?」

「あ、いやその・・・お、お腹空きませんか?」


「朝食べて無いのか~?まだ1時間も歩いてないよ。もうちょっと頑張れないかな~?」

「が、頑張れます。すいません」


「ふむ~。そしたらもう少し歩いたら休憩をとろうか~」

「ありがとうホルマ」


ホルマは前に向き直そうとした時、よだれを垂らして上を向いているニマが目に入った。

「道に生えたキノコでも食べたのか~?」


ホルマが聞いてもニマはへへへと言うだけで変化は無かった。

ホルマはいつも通りね、と呟いて前を向いた。


「ハル、お腹空いているの?そういえば今日の為にね、お母様にお芋のホットサンドを作ってもらったの。良かったら食べる?」


イアは背負っているリュックから白のランチボックスを取り出した。

蓋を開けると4つのホットサンドが入っており、芋の香りが瞬く間に広がった。


「お!これが昨日言っていたイアの大好物か。良い匂いだ」

「そうだよロイ!ほっぺたが落ちちゃうくらい美味しいんだよ!」


「ほんと美味しそうだね。僕も1つ頂くね」


僕とロイがホットサンドを受け取ると、イアは前を歩く2人に駆け寄っていく。

よだれを垂らしているニマを見たイアは、ニマもお腹を空かせていたんだねと思った。


ニマとホルマはホットサンドを受け取ると歩いたまま一口食べる。


「パイナップルの甘味と酸味がこんなにも芋とマッチするなんてね~」

「こ、これはあああ!癖になる味だよ!もぐもぐ」


「美味しいよね!私の大好物なの」

「やっぱりもぐもぐお嫁さんになるにはもぐもぐ料理の腕ももぐもぐ磨かないといけないねもぐもぐ」


ホットサンドを絶賛する2人を見ていた僕は、ロイから食べないのか?と聞かれる。


「4つしか入っていなかったからイアの分が無いなと思ってね」

「ハルが気を配れる日が来るなんて俺はびっくりだよ」


「どういう意味だよ」

「褒めているんだって。それにほら、ハルがこっちを食べればその1個をイアに渡せるよ」


そう言ってロイは半分に割ったホットサンドを僕に差し出した。


「ロイありがとう」

「俺は朝飯を食べているから半分が丁度いいんだ」


戻ってきたイアに僕がホットサンドを渡すと、イアは両手を伸ばして喜んだ。

喜ぶイアを見ると僕は自然に笑みがこぼれた。


ハル一行はホットサンドを食べながら歩き続ける。


ふと、特命の事を思い出した。


「そういえば特命の任務って何をすればいいの?」

「ん~ああ説明しておかないとね~」


そう言ってホルマは、自身のショルダーバッグから黒い布で出来た袋を取り出す。


「これを政府に届けるんだよ~」

「何が入っているの?」


「宝玉だよ~。七日の珠(なぬかのたま)といって、この世に7つだけのとーっても貴重なたまだよ~」


「ということは特命はそのお宝の移送ってことなのか」

「そんな感じ~。ただね~、普通の移送任務ではなくて特命、つまり最高レベルになってる理由があるの~」


「どんな理由なんだ?」

「私も詳しくは分からないけどね~、領主様から聞いた話を最初から説明すると・・・」


◇◇◇


一昨日の夜。

大広間にて。


「失礼します~。領主様お呼びでしょうか~」

「ホルマよ、夜遅くにすまない。緊急の要件につき、即刻ホルマに当たってもらいたいことがある」

「何をすればいいですか~」


「今しがた隣町から賊徒の知らせが入った。急ぎ隣町へ向かい、賊の鎮圧及び捕縛、それとあるものを持ち帰ってほしい」

「あるものとは何ですか~」


「七日の珠の1つ、火の珠だ。賊は恐らくこの珠を狙っておるのだろう。政府との取り決めで詳しくは話せんが、7つ全ての珠が賊の手に落ちると災いが起きる危険な珠なのだ」


「盗まれる前に回収すればいいのですね~」


「その通りだ。ホルマよ、珠の回収が最優先だと心得よ。無事に珠を持ち帰えった後は、私自らが政府に移送する予定だ」

「了解しました~」


「賊についても少し補足しておこう。彼らは自らをウィークテイマーと呼称しており、ひと月程前から至る所で出現している。もしもその名を聞いたのならば知らせを寄こすのだ、よいな?」


「ウィークテイマー?初耳ですね~。情報が手に入ったら伝えます~」


「うむ。最後に一つ、この事は決して他言してはならんぞ。七日の珠自体もそうだが、その封印場所は政府内でも一部の者しか知らぬ事。だが、賊は既に2つもの珠を奪っているのだ。この事で政府は情報規制の厳令を出している。今後、七日の珠に関することは全て特命と銘打つ故、ホルマも情報の漏洩には十分に注意せよ」


「了解しました~。では早速特命遂行のため、隣町へ行ってきます~」


「ホルマよ、宜しく頼むぞ」


◇◇◇


「・・・という訳なんだよね~」


「つまり、この火の珠という宝玉をウィークテイマーとかいう賊から守りつつ政府まで届けるというのが俺たちの仕事なわけだな?」


「ロイの言う通りだね~。隣町でこの珠を回収した時、くノ一みたいな賊と一戦交えたんだけどね~、手ごわくて捕縛は出来なかったの」


包帯を巻いた左手に視線を落として悔しそうな顔をするホルマを見たニマは口を開く。


「ホルマ先輩を手こずらせる敵だなんて、それだけで難易度マックスだわ~。というか!そのウィークテイマーとかいうダサいネーミングセンスの人たちにもう2個も珠を取られちゃってるなら、今更情報規制しても意味ないんじゃないの?」


「余波を防ぐんだよ。これまでは何らかの方法で珠の隠し場所を知ったとしても、今こうやって俺らが運んでいることは知られてはいない訳だろう?こちらの動きを隠すには情報規制は有効なんだ。もっともホルマと交戦したそのくノ一がホルマに接触してくる可能性はあるかもしれんがな」


「なるほどね~。見えない敵と駆け引きするなんて良くわかんないや。やっぱり私には恋の駆け引きの方が性に合ってるわ~」


「それにしても、ホルマいいのか?そんな話を俺らにして」

「別にいいよ~。隠し事は好かないし私たちは仲間じゃん~」


「まあそれはそうだけどさ、ほら、口の軽そうなのが1人いるぞ」


ニマを見たロイの言葉に、ホルマは何の気無しに答える。


「ニマは大丈夫だよ~。話せば私が処罰するからね~」


顔を強張らせるニマ。


「く、口が裂けてもしゃべりません!はい!」


僕はイアと目が合う。


「私たちも情報の漏洩には気を付けないとダメだね」

「そうだね。僕も言葉には気を付けるよ。無事に特命を成し遂げたいし。でもホルマの話を聞く限り特命のレベルは高そうだね」


「ハル様!大丈~~~夫ですわよ!このわたくしめがついていますもの!私とホルマ先輩が揃えば敵無しですわ!見ていてくださいねハル様!そしてこの任務を遂行させて私は大金持ちだ~~~!」


「シールドレインって稼げるの?」

「命を張ってる分、並の職業よりは稼げると思うよ~。特命の功績も大きいと思うからそのことで盛り上がってるんじゃない~」


ホルマの説明に僕はなるほどと返事をした。


「そうだとややこしくならずに済みそうなんだけどな」

「ロイどうした?」


「いや、何でもないよ。ともかくだ、ホルマと交戦したくノ一を含めまたいつ襲ってくるかも分からない。早いとこ進もう」


「いや~もう遅いかも~」


そう答えたホルマは立ち止まり後ろを振り向いていた。


僕たちも振り返ると、一匹の狼がこちらに向けて駆けていた。

背には誰かが乗っている。


「敵か?」

「分からないけどあの狼、魔物だぞ!」


ロイの言葉でみんなは身構えた。


(どうする?玉を使うか?・・・いや、対策を取るにも敵の情報がまずほしい。今は様子見だ)


狼に乗る男は目の前で止まった。

鈴付きの首輪を着けた狼はリンリンと鳴らしながら主人の命令を待っている。


「なんだあ?見た感じ全員ガキじゃあねえか。アカデミーの生徒か?最近は不作でねえ、悪いがおめえらが持ってる金品をありったけ出してもらおうか」


頭髪の左側を全て剃っている狼の主人は僕らを見下すようにそう告げた。


「盗賊か?俺たちをつけてきたのか!」

「はっはっはっ!こりゃあいい。この子は鼻が利くんだよ。芋なんて食ってる場合じゃあなかったなあ?」


「あんたって一体誰なの!?」

「俺かい?俺はカワモリってんだ。この島を縄張りにしてる盗賊だよ、覚えたかい?とんがり帽子のお嬢ちゃん。ほら、分かったらさっさと有り金全部出しな!」


「あんたに出すものなんか何にも無いわ!」

「ガキの癖に生意気な態度だなあおい。よし決めた!おめえらはこの子のエサにしてやるよ!行け!イヌ!」


狼はカワモリに応える様に吠えると、こちらに飛び掛かってきた。

それにしても、登場人物が多いと誰が話しているのか分かりずらいですね。

何とかせねば・・・。


※本来であればハルとニマの絡みはもっとあるのですが、本筋の説明を優先するためにあえて抑えています。もちろんその絡みや抑えている理由付けもストーリーに組み込む予定ですのでお楽しみに!


(面白いと感じて下されば評価を・・・評価を・・・!)

ではまた次回のパートで!

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