走馬灯
心の中でつぶやくシーン
どうしても長くなっちゃうので強引に分割しました。
(ひとつの長い文にしたかったけど、読みたくなくなるかなって思いました)
片目の狼は一歩一歩と距離を詰めてくる。
「ここで終わりか」
(・・・もしもここで死んじゃうと、どうなるんだろう?そういえば、本の世界ではまだ死んだことがなかった。仮に死んでしまっても、意識世界と同じで現実にちゃんと戻れるかな?それとも・・・)
(栞・・・そうだ、栞がない。確か、栞をなくすと現実には戻れない。・・・見つけなきゃ。栞の玉を見つけないと、ほんとに死んでしまうかもしれない)
(でも今は狼から目線を切れない・・・あれ?狼が牙を突きたてたまま迫ってきてる?もしかして、もうおしまい?)
(あれ?でも、なんだろうこの違和感・・・すごい、ゆっくりだ)
(狼があのスピードなら今のうちに周りを見渡せそうだ。とにかく、今は栞の玉を見つけなくちゃ!)
(・・・おかしいな。首が、動かない?どうして?意識はこんなにはっきりしてるのに・・・)
(そういえば、噛まれた腕の傷、まったく痛くない。・・・これはどういう状況なのかよく分からないけど、とりあえずロイにこのことを伝えないと)
(ロイがなにか言ってる。あんなに必死で僕になにかを言ってるのに、なんでなにも聞こえないの?)
片目の狼は、大きな口を開けて僕に飛び掛かっていた。
「ハル!逃げろ!!!」
ロイは鉄の棒で2匹の狼に抵抗しながらも、僕に向かって叫び続けていたが、その声が僕に届くことは無かった。
◇◇◇
「お父さん!しっかりしてよお父さん!」
父親の元へ駆け寄った娘に、後ろから狼が飛び掛かった。
「ガルル、ガァ!」
「【取り敢えず吹っ飛べ】!」
狼は勢いよく吹っ飛び、近くの壁に激突した。
「ったくこのくそ野郎!魔物のくせに人様の住処に入って来てんじゃねえよこのタコ!」
白衣の男は、倒れている娘の父親の元へ行く。
「【取り敢えず回復しろ】!」
白衣の男の右耳のピアスが緑色に光る。
「嬢ちゃん、お父さんは無事だよ。もうじき目を覚ます。安心しな」
「うう!ありがとう・・・お父さああん!無事で良かったよおお!」
「イージーイージーだぜ」
◇◇◇
「この中にまだあんたの娘がいるのか!?」
「そうよ!助けるまで私は動かないわ!」
「それなら俺が連れ戻してくる!」
ホロは勢いよく燃えている家の中に入る。
そして、中から娘を抱いたホロが出てきた。
「リズ?リズ!大丈夫なの!?リズ!」
「安心してくれ。火傷の跡はないから、多分煙を吸い込んで気絶してるんだろう。半透明の膜で保護はしたから、ここから悪化することはない。このまま医者に診せるといい」
「ホロ、カーテン?」
「ああ。俺みたいに半透明でいれば、いろいろと便利な魔法だよ」
◇◇◇
ドン!ドン!
「このままじゃワシも殺される!早く誰か助けに来てくれ!」
狼は玄関ドアに猛烈な突進を繰り返す。
もう何度かの突進で破壊されてしまう状況で、ホロが現れた。
「邪魔するよ。この魔物は俺が斬る。あんたは終わるまでそこに隠れてな」
ホロは腰に掛けた鞘から剣を抜いた。
「ええ!お前さん今どこから入ってきた・・・?」
「おどかして悪かったな。壁をすり抜けてきたんだ」
「お前さんはお化けか」
「お化けじゃない、シールドレインだ。あんたを助けに来たんだよ」
狼の突進で玄関ドアは吹き飛んだ。
ホロは剣を構える。
右手の甲につけたアクセサリーが赤色に光る。
「来いよ魔物!スライスしてやるぜ」
◇◇◇
「次の魔物はっけーん!おお!3匹もいる!私ってすごい活躍してる!?」
屋根の上を走っていたとんがり帽子を被った女の子は狼に手を向ける。
「【バインドアップ】!!!」
◇◇◇
「・・・ル!ハル!」
(ロイ・・・?良かった。無事だったんだ・・・あの狼は?)
飛び掛かってきていた狼は、僕のすぐ目の前で宙に留まっていた。
狼は淡く光りながら足をバタつかせている。
「ハル!大丈夫か!?」
「ロイ・・・僕達、助かったの?」
「助かったよ。もう大丈夫だよ、ハル」
「そう、良かった・・・」
ぷつりと切れたように、僕は意識を失った。
本文修正に伴い、もともとのこのパートをここと次に分割しました。
物語を考え出すととまりませんねえ(๑╹◡╹๑)




