潜在①
よろしくお願いします。
面白いと感じて下されば評価をお願いします。
「好きな人を教えてよ。言わないと殺しちゃうよ?」
「それはこっちが聞いてるんだって!そ、それよりも月乃、そのナイフ、危ないから下ろしてよ」
「回答無しは即刺殺!ばいばい!」
「やめっ・・・ぐっ!」
「ちゃんと答えないからこうなるのよ。さーてと、雑巾持って来なきゃ」
月乃は死んだ僕を置き去りにして教室を出ていった。
◇◇◇
「・・・どうだった?ちゃんと聞けたか?」
「ダメだったよ。やっぱり深く潜るとそれだけ防衛本能が強く働いてる感じがする。すぐに攻撃されたよ」
「女の子はガードが固いんだよ。めげずにもう一度挑戦してみたらどうだ?」
「いや、ナイフで一突きだよ?もうあんな経験はしたくない」
「じゃあどうする?月乃はもう諦めるのか?辞めるんなら早く帰ろうぜ」
「んー。・・・竜馬、ついて来てくれよ」
「全くしょうがないな。せっかく危険を冒してまで二段階目に行くんだ。ちゃんと聞き出せよ?」
「ああ、分かったよ」
竜馬は僕の肩に手を置く。
僕は唾を飲み込み、恐る恐るベットで寝ている月乃の手の上に自分の手を重ねた。
そして、もう片方の手にある黒い栞に目を向ける。
「じゃあいくよ。ロード」
栞から3つの白い光が飛び出した。
(これとこれを掴んでっと)
「よし。【共有】!【投影世界】!」
手の中で2つ光は紺色に輝いた。
◇◇◇
「・・・ここは学校か。で、悠介、月乃は何処にいるんだ?」
「さっきは3組の教室にいたよ。多分今回もそこにいると思う」
「教室?おいおい悠介、それならせめてその教室か廊下にスタート地点を設定しなよ。そういうところがもう逃げ腰だって」
「違うんだよ竜馬。学校内はセキュリティのレベルが高すぎるんだ。一歩入るだけで防衛本能に見つかるから迂闊に入らない方がいい」
「入らない方がいいって、じゃあどうやって3階に行くんだ?・・・おい、まさか」
「うん。外から行く」
「いきなり介入するのはまずいだろ?バレたらどうするんだ?」
「どちらにせよいずれ見つかるよ。それなら短期決戦の方がスマートでしょ?」
◇◇◇
「なんでみんな置き勉してるのよ。机一つ運ぶのにこんなに苦労するなんて、ほんと掃除する人の身にもなってほしいわね。・・・ん?この影はなに?」
彼女は夕陽が差し込む窓に目を向ける。
このクラスの男子生徒、九条悠介と水城竜馬が窓の外から手を振っていた。
「ちょっと!危ないよそんなところで!一体なにをやってるのよ!?」
「いやあ参った参った~。罰ゲームでさ、屋上からバンジージャンプをしようとしたらまさかのロープが切れちゃって。いやあ危なかったよ。な、悠介?」
「う、うんそうだね。ほんと危なかった~」
「もう!なんでそんな危ない遊びをしてるのよ!怪我でもしたらどうするのよ!それに今はテスト期間でしょ・・・って、あれ?あんた達、午前中で帰ったわよね?なのにどうして学校にいるの?」
「いやあ、それはその・・・な。あれだよ、悠介が月乃に話しがあるって言うんで付いてきたんだよ」
「話?私に?悠介が?ねえ悠介、話ってなに?」
月乃が悠介に嬉しそうに尋ねた。
「えっ竜馬!?もうこっちに全振りしてくるの!?えっと、えっと~・・・」
「何故か良く分からないけど掴みはいい感じ?ほらっ!ぱっと言っちまえよ悠介!」
「な、なあ月乃。その、つ、月乃は、ど、ど、ど」
「おいおい。そりゃ空回りしすぎだろ」
「なに目を逸らしてんのよ!男ならもっとシャキッとしなさいよあんた!」
月乃は近くの机を蹴っ飛ばした。
僕と竜馬は驚く。
床が小刻みに揺れ始める。
「これは・・・地震が来てるぞ悠介!さっさと聞いた方がいい」
「分かった。・・・つ、月乃の」
「ねえ悠介。あんたはなんで今日の三時にこの教室で会う約束すっぽかしたの?」
「え?」
「えじゃないわよ!早く答えてよ悠介。私はね、この時間までずっとあんたのことを待ってたのよ?・・・何で来なかったの!?」
教室の時計を見ると十七時半を回っていた。
地震の揺れは強くなる。
窓が少し軋み、置かれた亀の水槽は波打っている。
「もう赤信号だ!早くしないとまた失敗するぞ!」
「つ、月乃!その、好きな人っているの!?」
地震の揺れが少し収まる。
「好きな人?そうね・・・じゃあ逆に聞くけど」
一歩、また一歩と月乃は悠介に近づく。
「悠介の好きな人を教えてよ。言わないと殺しちゃうよ?」
「それはこっちが聞いてるんだって!そ、それよりも月乃、そのナイフ、危ないから下ろしてよ」
「回答無しは即刺殺!ばいばい!」
「やめっ・・・ぐっ!」
竜馬は月乃の足元に向かって、近くの机を引っ張り倒した。
「きゃっ!」
「詮索は失敗だ悠介!早くこっから脱出しよう!」
先程よりも強い地震が起きている中、僕は竜馬の後を追う様に教室を出た。
ストーリーの改変に伴う追加分です。※11/18
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