追放
魔法王国、ユグドラシル。
その名の通り、魔法が国家の根幹にある王国である。
しかし、実態は魔法の【才能】に秀で、銀の髪、碧い目を持つアースガルズ人の独裁国家だった。
この国は強い魔法の力をもって他国の侵略や魔族、魔物の脅威から民を守ることができるアースガルズ人だけがこの国の支配者である王侯貴族や国民になることができるとしていた。
そんな歪んだ人種差別の身分制度が、この国の基盤となっている。
この国の王侯貴族は強い魔法の能力を持ち、例外はない。決して例外はないのだ。
何故なら魔法の能力を持たないアースガルド人は、人の中に混じった異物、ミューという人ではないものが悪魔の意思により混じり、一定確率で生まれるとされていたからだ。
神に選ばれた唯一の人がアースガルド人という歪んだ思想のため、同じ同胞すらを迫害する。
これはそんな国に生まれ、人と見做されず、虐げられた少年アルベルトの成り上りの物語。
僕の兄さんは天才だった。
子供の頃から魔法も勉強ができて、運動神経も良かった。
それに引き換え、僕はたいして何もいいところなんてなく、いつも兄と比較されて育ってきた。
親になじられるのって辛い。比べられるのが辛い。愛情が兄にばかり向くのが辛い。
子供の頃は少しでも親の気を引くため、必死で魔法の勉強をした。
でも、才能って……神様って絶対いないなと子供ながらに思った。
どんなに頑張っても、簡単に魔法学校のトップをとってくる兄に対して、僕はどんなに必死で勉強しても、クラスの真ん中になるのがやっとだった。
それでも僕は両親に褒めてもらいたくて、ほんの少しでもいいから愛情が欲しくて、必死で勉強した。
その努力が実ったのか、一度だけ苦手な風魔法の試験で100点が取れた。
100点の試験結果を持って、いそいそと家へ帰った。
両親が褒めてくれる! 僕のことを見てくれる!!
そう思うと、心がはやった。
そして、帰宅するなり、
「父上! 母上!! 僕、風魔法の試験で100点をとったよ!」
大声で両親に言った。てっきり、僕のことを褒めてくれる言葉が待っていると思っていた。
だけど、
「五月蠅い! お前なんかのことはどうでもいい! エリアスが大変なんだ!!」
帰ってきたのは父親からの罵声だった。
「本当にエリアスと違って空気も読めない子なのね! 本当に血が繋がっているのかしら?」
そして、実の母親から投げつけられた言葉。
兄のエリアスと僕の血が繋がってなければ、僕は誰の子なの、お母さん?
子供心でもそう思った。でも、当時の僕は親離れできていなかった。
「ぼ、僕ね、一生懸命頑張って、風魔法のテストで初めて100点とったんだよ!」
僕は必死にアピールした。両親に褒めてもらいたかった。
両親に関心を持ってもらえる機会は二度とないんじゃないかと思えて……
「エリアスは風魔法の試験がおもわしくなくて、魔法学園での成績が2位になってしまったんだ!! 運悪く、風魔法のテストでいつになく悪い点をとったおかげでな!!」
「それなのに、お前は風魔法の試験で100点取ったなんて嘘をついて!!」
「ち、違う。本当に100点取ったんだよ!」
僕は必死に自分が100点を取ったと主張した。
でも、それは大きな間違いだった。
簡単な話だ。自分の子が風魔法の試験で悪い点をとったおかげで、2位の成績になってしまったんだ。
そこへ、よその子が風魔法の試験で100点取ったなんてうそぶいたなら……
そう、僕はよその子と同じだったんだ。彼らにとって……
「嘘をついてまで、兄を貶めたいのか? お前には人間の赤い血が流れているのか?」
「あなたには人の心がないのね……」
父上、赤い血が流れていないのはあなただ。
母上、人の心がないのはあなた。
今から思えば、はっきりわかる。
僕は両親の子じゃない。例え血が繋がっていても。
その時から、僕は彼らを親と認識できなくなった。
そして、兄が12歳の時、優秀な【才能】、神級火魔法、神級土魔法の二つを神様から得て、順調に王都魔法学園へのエリート街道を進んだ。
だけど、その1年後の僕の【才能】の鑑定結果は……
「貴様は人間ではない!!」
「ひぃ!」
冷たく、大きな声が、部屋中に響いた。
「生まれた時から落ちこぼれだとは思っていたが、よりにもよって人ですらないとわな! お前らしい!!」
怒りと嘲りの両方を含んだ声が、僕に冷たく浴びせかけられる。
「優秀な兄に比べて、何の成長もないばかりか、魔法すらろくに使えないことが確定するとは! このベルナドッテ家に恥をかかせおって!! 名誉あるわが家から【底辺魔法】持ちが現れるなぞ!! そんなお前を今まで養わなければならなかったワシの気持ちが、お前に分かるか?」
バシン! 父は僕に近付くと、その頬を平手で叩いた。
僕の頬が赤くなり、同時にガシャンと花瓶が割れる音が響く。
父が怒りに任せて花瓶も床に叩きつけたのだ。
僕はその音と同時にビクッと怯えて体を震わせた。
僕の【才能】の鑑定の結果は【底辺召喚魔法】だった。
【才能】はすべての人がもらえる訳じゃない。アースガルズ人の半数は何の【才能】も神から与えられない。そして残り半数の中に【才能】をもった人間が現れる。
才能には【神級魔法】、【伝説魔法】、【上級魔法】の3つがある。順に強い才能になる。
兄が神から贈られた才能は最上級の神級だった。一方、僕の才能は……
【底辺魔法】
底辺魔法とは才能を持たないアースガルズ人より魔法で劣る超ハズレ才能、才能とみなされない才能。
故に優秀な筈のアースガルズ人である筈がない。
底辺魔法の才能を持つ者は銀の髪、碧い目を持っていても、人間とは見做されない。
街の外に住む亜人達。アースガルズ人は銀の髪と碧い目を持たないモノを人間と見做さなかった。
髪の色や、肌の色、目の色など……違う人間、人種は人間と認めず、エルフや獣人と同じく、亜人として扱った。
これから何が行われるのか? ただの叱責で終わらないことは僕もわかっていた。
それでも、一縷の望みをかけて、僕は声をあげた。
「ち、父上。お、お願い……」
「しゃべるな! 人間ではないお前に父と呼ばれる筋合いは無い!」
僕は甘かった。父に肉親として扱ってもらおうだなんて……もとより、両親にそんな感情がある筈もなかった。
「アルベルト! 今すぐお前を家から追放する。お前は人間ではない。だから、街に住むことも許されない。街の外に放りだす!! 二度と顔を見せるなぁ!!」
僕は、父、ベルンハルト・ベルナドッテによって、魔法の名門、ベルナドッテ侯爵家を追放され、人間ではないという烙印を押され、街からも追放された。
「ごめ、なさ……っい」
部屋にはごめんなさい。という僕の声がいつまでも響いた。
僕は街から追放されたが、貴族のものには比べるべくもないものの、普通の街の人のような服の他、多少のお金を持たされた。
流石に追い出すとは言え、かつて肉親だった人間。すぐに死んでしまわないようにという心が働いたのだろうか? と思ったのは、僕がまだまだ子供だったからだろう。
街の城壁を眺めながら、近くの村を目指す。
街の外は魔物が出る。夜になれば、街の近くでも魔物が多数出る。
日が出ているうちに街から村に到着しなければ、命が危ない。
同様に途中で強い魔物に出くわしたら、僕の命はない。
村へ向かって歩き出すと、突然後ろから話しかけられた。
「ア、アル! 待って!! ダメよ、そんな装備で街の外を歩いたら!」
「ク、クリス?」
僕を追ってきたのは幼馴染のクリスだった。
落ちこぼれの僕をいつも励ましてくれて、優しい素敵な女の子だ。
「やっと追いついた。いくらなんでも、おじ様は酷い! 剣も持たせず街の外に放りだすなんて!!」
「いや、人並の服と、お金はくれたよ。流石に家族と思ってくれたんだと思う」
クリスは一瞬辛そうな顔をしたけど、何かを吹っ切ったように僕を見据えると。
「村に着く前に必ず魔物に遭うわ。そんな普通の服じゃダメ!! せめて剣を持って!」
そう言うと、クリスは子供でも扱えそうな短い剣を差し出した。
「……ク、クリス」
「ごめんね。こんなこと言ったら、アルが傷つくとは思うけど、おじ様もおば様もアルを見殺しにするつもりよ」
「どういうこと?」
「街から村に行くのに、魔物に遭わないことなんてない。そんなに強い魔物は出ないけど、剣も持たずに……魔法を使えないアルを放り出すなんて、見殺しにすると言うことよ!」
僕はショックを受けた。両親に愛情を持ってもらおうだなんて思ったことはなかった。
でも、家族だったんだ。命まで……だなんて……
そこまでの扱いだなんて……
「この剣を持って行って! それに、少ないけど、このお金を使って!!」
「クリス、剣だけじゃなく、こんな大金まで!!」
僕は幼馴染の優しさに目頭が熱くなった。
「いいこと、アル! まずは村まで無事に着くこと、そして、村に着いたら、冒険者学校に入りなさい。あなたが街の外で生きていくためには、街の外の知識と武芸が必要よ。そのお金は冒険者学校に通うのに最低限必要なお金よ」
「……僕みたいな落ちこぼれに……今は貴族どころか、人でさえないのに」
「あなたは人間よ! あなたと私のどこが違うの! 私はあなたが人間じゃないだなんて思わない!! そもそも、同じ人間を亜人だなんて、この国の人はみなおかしいわ!」
優しい幼馴染のクリス、彼女は以前から、この国の価値観に疑問を感じていた。彼女の父親も亜人に施しを行うことで有名な貴族だ。だからだろうか、彼女は目の色が違おうが、髪の色が違おうが、魔法が使えなくても、分け隔てるべきじゃないと考えていた。
立派なことだと思っていた。でも、僕には関係ない。そんな風に思っていたら、僕が人として扱われなくなった。僕を人として見てくれるのはクリスだけになっていた。
「ありがとう。クリス、僕、絶対生きて村にたどり着く! そして、生きる!」
「生きてね。私、絶対、今のこの国の人の考えを改めさせて、あなたを迎えに行く!」
「ク、クリス、ありがとう、ありがとう、君だけだよ。僕の心の支えになってくれるのは!」
「感謝するだけじゃダメよ、アル。魔法の勉強も頑張って! あなたが魔法を使えないなんて、絶対変よ!! あんなに一生懸命勉強してたじゃない。アルには人並の魔力だってあるじゃない!! 努力すれば人並以上の魔法が使える筈よ、アルならできる!」
「……」
僕は俯いてしまった。クリスは優しいだけじゃなく、僕の魔法の可能性も信じてくれた。だけど、才能に恵まれない僕には……
「アル、良く聞いて。私にとって、アルは勇者なの! 子供の頃、怖い蛇から私を助けてくれた時から、あなたは私の勇者なの。それに、才能なんて何よ、アルは知らないでしょうけど、歴史上最強の魔法使いは才能を持たない人だったのよ!!」
「!?」
僕は驚いた。歴史上最強の魔法使いが、才能無し?
しかし、クリスから詳しく聞く間もなく、僕とクリスの最後の別れを邪魔するヤツが現れた。
「困りますな、ケーニスマルク家のご令嬢ともあろう方が、そんな迷信を信じるなんて」
「!?」
それは、僕の兄、エリアスの声だった。だが、何故彼がここに? 彼が僕に憐憫の情を抱く筈はない。両親以上に僕に関心がなく、向けられる目は、いつも僕を蔑む目だった。
「それにしても、流石父上だ。ケーニスマルク家のお優しいご令嬢が余計なことをするんじゃないかという予測が見事にあたった」
「エリアス様、私達をどうするおつもりですか?」
クリスが身構える。彼女には優秀な神級光魔法を授かった。兄と戦えないこともない。
だけど、僕のために彼女を危険にさらす訳にはいかない。
「クリス嬢、勘違いなされるな、あなたのような立派な人間に危害を加えるようなことは致しません。ただ、少々ゆかりのある生き物が苦しんで死ぬのは忍びないので、いっそ……」
「あなたは自身の弟を手にかけるおつもりですか?」
僕の心にゆっくりと、黒い感情が芽生えた。
何故ここまで虐げられるのか? この人は血を分けた兄弟ではなかったのか?
「流石に直接手にかけるつもりはありませんな。こんな生き物の血が万が一私についたら、気分が悪くなるではないですか! はは!」
「あ、あなたと言う人はぁ!!」
「なに、ちょっと怪我をさせるだけです。それで、どこかの魔物が喰らってくれるでしょう」
「ア、アル! 逃げて! この人は私がここに引き留めます! 絶対死なないでね! アル!」
僕はクリスに頷くとその場から逃げ出した。
兄の魔法の威力は知っている。僕からしたら人外の威力だ。そして、幼馴染のクリスも同様だ。僕は情けないけど、逃げるしかなかった。
何故命まで狙われる? 僕が人じゃないから? でも、僕は両親から生まれた筈だ、それなのに? 僕にあった黒い霧のような感情は、いつしか真っ黒な激しい奔流となった。
「はあ、はあ」
どれだけ逃げただろうか? 既にかなりの距離を走った。だが、僕は致命的なミスを犯した。
本来なら、もう村は目の前にある位近い筈だ。だが、村のある気配がない。道に迷ったんだ。
そして、その時だった。僕の背後の草むらで音がした。
「誰ですか? お礼はします。だから、村まで道案内して頂けませんでしょうか?」
村の近くに冒険者がたまたま近くを通りがかったと、そう考えていた。
でも、そこにいたのは冒険者なんかじゃなくて、狼の姿をした凶悪な魔物だった。
「ガルルルルルル」
牙の生えた口から涎を垂らしながら、僕を舐めるように見ている。
魔物に出会うかもしれないとは聞いていた。
「チクショウ」
思わず汚い言葉が出る。
村までの道では魔物が出ることがある。でも、それはかなり弱い魔物で、スライムとかゴブリンとか、子供の僕でも、剣を振り回せば何とか逃げ切れる筈だった。
僕は道に迷い、危険な魔物が出るエリアまで迷い込んでしまったようだ。
そして、こんな凶暴な魔物の前では、僕の剣など役にたたず、餌になるだけなのは明かだった。
抗う暇などなかった。気がついた時には左腕に強烈な痛みが走り、僕は魔物に押し倒されていた。
剣なんて持っていても、とても勝てるような相手じゃなかった。
「い、いだい!! ちくしょう、きさまぁ! ああっ、いたいよぉ━━」
泣き叫ぶ僕のことなんかこれっぽっちも歯牙にもかけず、魔物は僕を襲った。左腕の肉が抉られ、右手で傷口を抑えると信じられない程の激痛が走った。
嗚咽と、涙で呼吸が激しくなる中、魔物はゆっくりと僕に近づいてくる。
『僕を食べるために近づいて来るんだ』
「や、やめろっ……や、やめてくれ……たべないでぇ!」
「グルルルルルルル――!」
「ひぃっ、く、くるなぁ……こないでっ! やめ、やめて」
ガチガチと震える歯。肉を抉られ、激しく痛む左腕の傷。
そして、迫り来る死への恐怖の中!!
「あ、あ……だれか、たすけてっ! たすけてぇええええ!!」
みっともなく叫んだ。恥も外聞もなく助けを呼んだ。
涙と鼻水を垂れ流し、血の臭いを辺りに漂わせながら。絶叫をし続けた。
だけど、当然誰も来るはずがなく。
じゅるりと魔物が口元を舌で舐める。今から食事にありつく喜びに満ちたような顔に見えた。
そして、僕に襲い掛かってきた。
「くるなぁ、ああああああああ!」
飛び掛かってきた魔物を見て、全てが終わったと確信した。
僕は目を瞑り震えながら身体を丸めた。
来るべき激痛。生きながら喰われる恐怖を感じながら、どれほどの時間が経っただろうか?
しかし、来るべき激痛も、喰われる痛みも一向に来ない。
それでも恐怖に支配された僕は、目を開ける事が出来なかった。
もし、目の前に大口を開けた魔物がいたら?
そう考えると、何も出来なくなっていた。だが、
「ようやく見つけたぞ! 五体満足で、精神にも異常のないミューをな!」
そんな時、女の人の声が聞こえて来た。
何とか、恐怖から抜け出せた僕は目を開けて、声がしたほうを向いた。
そこには、剣で魔物の首を斬り落としている綺麗な女性の姿があった。
「だ、誰?」
「我は魔王じゃ。人間がこんなところまで迷い込んで来たようじゃから、助けてやろうと思って来てみれば、なんと、探し求めていた、完全なミューがいるじゃないか! 本当に驚いた。これで、我は師匠に借りを返すことができるぞ!!」
「ど、どういうことだか、僕にはさっぱり……それに魔王だなんて……」
「これは驚かしたか? だが、案ずるな。今は魔王なぞしておるが、これでも昔は普通の人間じゃった。何の魔法の才能もなかったが、歴史上最強の魔法使いと呼ばれたこともあるぞ」
「才能のない最強の魔法使い?」
「それはおいおい、話してやる。それより、お前は街の魔法学校で学んだか?」
「はい、一通りは」
「おお、素晴らしいぞ! では、お前、魔力量はどれ位だ?」
「ひ、人並位です」
僕は下を向きながら、伝えた。兄の魔力量が常人の1000倍位なのに対して、僕は人並だった。
「な、なんだと? ミューなのに、人並の魔力量があるのか? し、信じられぬ! 我は最高の逸材に出会ったのかもしれぬ!!」
「ぼ、僕が逸材?」
「ああ、聞いてばかりですまんな。少しずつ話すが、痛かったであろう。すぐに治してやるぞ」
魔王は僕に治癒魔法をかけてくれた。
神級光魔法なみの威力の治癒魔法はたちまち僕の左腕を直した。
完治した左腕を見て、安堵すると、改めて魔王を見た。
想像以上に若い。話し方からは違和感を覚えるが、見た目だけなら20にもいかないだろう。
まだ幼ささえ残す面差しに、大きな碧い瞳、綺麗に通った鼻筋。銀の長い髪。
街の劇場の女優と言われても、信じるしかないほどの美貌。
細い腕や足はすらりと長く、全身がきゅっと小さく、彼女はまるで神様が美しくこしらえた人形のような端整な外見をしていた。
そして彼女の美しいプロポーションを黒を基調としたシックなドレスが包んでいた。
魔王は、僕と目線を合わせるようにかがみ込みこんで。
「確かに魔力量が人並だ。それに【底辺召喚魔法】の才能! 本当にすごいな、師匠より才能のある人は初めて見たぞ! それに何より、若い!!」
魔王と名乗った女性に少し恐怖を感じる。こんなところに一人でいるなんて、普通の人である筈はない。でも、そんな僕をよそに、彼女はにっこりと愛らしい笑顔を浮かべてこう言った。
「ようやく探し求めていた後継者が見つかったよ。可愛らしい人の少年よ。我は魔王アルベルティ―ナというが、君の名は?」
アルベルト・ベルナドッテ 、12才。
人生のどん底に突き落とされた少年は、12歳のこの時、『紅蓮の魔王アルベルティ―ナ』と出会い、その才能を開花させる。
後に『英雄王アルベルト』と呼ばれる英雄の誕生の瞬間だった。
楽しんでいただけたら幸いです。
連載のモチベーションにつながるので、面白いと思って頂いたら、ブックマークや作品のページの下の方の☆の評価をいただけると嬉しいです。ぺこり (__)




