怪魚釣り
今日は俺とフレアランテとゼルデアス。
そして村の女どもと一緒に釣りに来ていた。
「キャッ!」
「フレアランテさん。
大きい魚が取れましたね」
フレアは女たちと食料集めに勤しんでいた。
この砦に滞在する以上、最低限は手伝いのだそうだ。
「見て見て ルキウス!
大きい魚が釣れたよ」
「あぁ、 いいんじゃないすか」
畜生。
静かに釣り出来る場所だったのに……
「まぁ仕方ねぇよ。
お前が姫さんの面倒を見てんだから」
「ちっ!」
ゼルデアスの一言に少しイラつく。
「あー!
フレアランテさんが!」
俺は女どもが慌てていたのでそっちの方を見ると、フレアが怪魚を釣り上げて川に引きずり込まれていた。
「あー!!」
「おいルキウス!
どうすんだよ?」
「こっちが聞きてー!」
俺は急いで鎧を脱いで川に飛び込む。
川の中ではフレアが怪魚と必死の攻防をしていた。
(糸が絡まってんのか。
あの姫さん。
面倒を……)
俺は潜って姫さんの糸を切ろうとしたが、どうしても捕まえたいらしく目で
(捕まえて!)
と送ってきた。
つかさず俺は目で
(あぁ!なに言ってんだ!)
と送る。
だが……
(命令よ!
私の従者なら捕まえて見せなさい!!)
と目で送ってきやがった。
(コノヤロー!)
俺はそう思ったが、仕方ないので持っている短剣で怪魚を刺す。
怪魚は暴れるがフレアに押さえつけられていて動けない。
(畜生! この剣じゃ傷が浅い)
そう思った時に隣にゼルデアスも入ってきた。
(待たせたな)
決め顔で入ってきたので少しイラっと来る。
だが、この状況では大歓迎だ。
俺はゼルデアスに
(俺は右側からこいつを絞め殺す。
お前は左から絞め殺せ)
と目で合図した。
ゼルデアスはオッケーと合図したので、俺は右に回った。
(急げ! 姫さんの息は限界だ!!)
(わかってるよ!)
俺たちは怪魚の左右の体を腕と足で一気に締め上げた。
(おらぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!)
(うりゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!)
怪魚の体の骨は一気に砕け、息絶えた。
(よし姫さんを持て!
この魚を上げるぞ!)
ゼルデアスがそう合図したので俺は姫さんの糸を切って水面まで抱えて行く。
「ぷはぁ!」
「ぷはぁ!」
「おいてめぇ! 正気か!」
「アハハハハ! 面白かった!}
「面白かったじゃねぇんだよ!!」
俺はフレアに説教する。
「でも楽しかったでしょ?」
フレアがこっちに笑いながら聞いてくる。
不思議と悪い感じはしない。
「おいお二人さん。
ちょっと助けて」
ゼルデアスが一人で怪魚を上げていたため、沈みそうになっている。
「あっ、 悪い」
急いで川に潜り、ゼルデアスと二人で抱えて、怪魚を陸に上げた。
「よっしゃー!
今日は祭りだー!!」
周りの奴らが騒いでいる。
俺たちは寒さで死なないように、焚火で温まっていた。
「ハックション!
うー、 さむ……」
「あっ?
そんなに寒いか?」
別に俺はそんなに寒くなかったのでゼルデアスに寒いか聞く。
「お前は体が炎だからだろ。
いいねぇ、 こういう時便利で……」
少し嫌味たらしく言われた。
「あーあ。
今日はなんか疲れた」
「でも楽しかったんだろ?」
「あ?」
「なんか楽しそうだったぞ」
楽しいか……
まぁ、悪くなかった。
「そうだな。
少しは楽しかった」
「ふっ ふははははは!」
「おい!
なにがおかしい!!」
「おかしいさ。
あの娯楽も何もかも戦いにつぎ込んだような男が楽しいだと。
ふはははは!」
ちっ!
言わなきゃよかった。
「お前。
丸くなったよな」
「あ?
丸く?」
丸くなった?
俺が?
俺はしばらくショックだったが、それはフレアの一言で消えた。
「ねぇねぇ!
ルキウスも躍ろ!」
焚火を囲みながら女どもと踊ってやがる。
「ほら、 呼んでるぞ。
行けよ!」
ふっ。
丸くなってようが、優しくなってようがもうどうにでもなれ!
「なに言ってやがる。
おめぇも躍んだよ」
「え?
いやー、 おれは」
「つべこべ言ってねぇで立ちやがれ!!」
俺は仕返しとばかりにゼルデアスの腕を引っ張り踊りの列の中に放り込んだ。
「ちょっ、 おい!」
「おらー!」
俺はフレアとゼルデアスと一緒に踊りまくった。
「ほら、 お姫様。
俺がリードしてやるよ。
蛮族の踊り見せてやる」
「へぇ。
見せてもらおうじゃない」
フレアは俺の手をそっと取る。
(ふっ。
まぁ、 悪くない)