誘い
「ここが、 あなたの砦?」
目の前にあるのは木造の門。
木の杭が何本も刺さっている。
「俺のじゃない。
俺の親父のだ」
「へぇ。
あなたのお父さん。
王様なの?」
「いや、 傭兵団の長だ。
俺はその息子」
「あら、ごめんなさい。
そうとは知らず。礼節を尽くすべきでした」
「いや、 いい。
帝国の娘に礼節を尽くされるほど、 できた人間じゃない」
俺は猪を引きずりながら、砦の門番に声をかける。
「ゼヴェールの息子、 ルキウス!
ただいま戻った! 門扉を開け!!」
「おう、分かった」
門が開かれる。
「おい、 お姫様。
とりあえず入れ。
客人としてもてなす」
「ありがとう。
じゃあ入らせていただきます」
中は槍や兜を持った戦士。
そしてその妻たちが市場を開いたり、訓練をしたりしていた。
「ここの雰囲気はとてもいいわね。
みんな平和そう」
「稼ぎはすべて戦で賄ってるがな」
俺はフレアを連れて屋敷まで行く。
途中でゼルデアスにあった。
「おい、 ルキウス。
どうした?女なんか連れて。
結婚でもすんのか?」
「違うわ!
帝国から来た客人だ。
親父に会わせる」
ゼルデアスは飲んでいた酒を吹き出す。
「ゲホッ、 ゲホ。
マジかよ。 何で帝国の人が」
「さっき聞いたが。
短時間で説明する自信がない。
知りたきゃお前も来い」
「おっおう」
そうしてゼルデアスも俺についてくる。
そして親父の元までたどり着く。
「おお、 我が息子よ。
どうした? 何かあったのか?」
「客人だ」
そして後ろにいるフレアに会わせる。
「おお、 ルキウスが客人を連れて来るとは……
しかも女。
今日は槍でも降るのかな?」
親父が皮肉交じりで言う。
「うるせぇよ」
親父は気にせず続ける。
「汝は何者だ?」
親父の問いかけにフレアが答える。
「私はフレアランテ・インフェルノ。
インフェルノ帝国、 ルゼーラ帝の娘です」
「これはこれは、 姫様。
よくぞこのような辺境の土地へ。
それで?
なぜこのような場所へ?」
「それは」
フレアは俺に言ったことをそのまま親父に伝えた。
「なるほど。
それでここまで……
お疲れ様です。
我々としてはこのまま帰すのも気が引けます。
しばらくこの大地を見て周ってはどうでしょう?」
フレアはしばらく考えていたが、決めたという感じで口を開く。
「いいですね!
よろしくお願いします」
おいおい、マジか……
しばらく居んのかこの女。
すると横にいるゼルデアスが話しかける。
「よかったな。
あの女の人、しばらく居るってよ」
「別に嬉しくねぇよ」
「へぇー」
「なんだ?」
「別に」
こいつ何考えてんだ?
「おいルキウス」
親父に呼ばれる。
「なんだ親父?」
次の瞬間。
親父は俺にとって衝撃な一言を言う。
「お前、 しばらくフレアランテ殿と行動を共にしろ。」
「あぁ!!」
親父なに言ってやがる。
俺は女に今まで縁がなかったんだぞ。
それを急に……
「良いですかな?
フレアランテ殿」
フレアは少し嬉しそうに答える。
「ええ。
よろしくお願いしますね。 ルキウスさん」
フレアはこっちに目配せをして、半笑いで言ってきた。
「ハァ。
分かった。 引き受けよう」
俺はそうして屋敷を出る。
「ねぇ。
何で不服そうなの?」
フレアがそう聞いてくる。
「まぁ、 言うならば。
面倒くさい」
「まぁひどい。
でもお父様からのご命令だものね」
「あぁそうだよ!
さっさとついてこい」
俺はこの砦の中にある施設を案内した。
「ここが温泉だ」
「へぇ、 私温泉なんて初めて見た」
どんだけ箱入り娘だったんだ。
「見たことねぇのか?」
「うん。
だって私の地域は火山地帯じゃないもの」
「この神樹の森は火山があるからな。
俺たちはこの森に助けられて生活しているわけだ
「へぇ。
本当にいいところね」
「なぁ。
なぜおまえはここに留まっている。
早く強力な従者を見つけなきゃいけないんだろ?」
「それならもう大丈夫。
もう見つかったから」
「あぁ?」
なに言ってやがるこの女?
「あなた、 私の従者として帝国に使える気はない?」