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また来世で  作者: ねこたろう(鳥)
神谷明代、というか私だ。
9/41

#9危機感

「人は自分を行動させるつぼを知っていなければならない」

これは私が好きだった小説の言葉。


人は怠ける生き物だ、だから常に人は怠ける自分に好奇心や危機感を与え自分を動かす。

自分の動かし方を知らない人間は歳に関係なく自分を動かし続ける事ができない。


人を最も簡単に行動させるのは危機感だ。

だが人を危機感で動かすのは簡単でも人に危機感を抱かせるのは難しい、人にとって大きな事も自分にとってはどうでもいいなんて事はありふれている。


現に15歳で島を飛び出した少女は、その後10年経ち、当時の仕事仲間のモデル達が20代の後半となり、結婚や就職で足場を固め始めている時、彼女は何の行動も起こさなかった。


モデル達が抱いた危機感は当時の彼女には生まれなかったのだ。

だがその後、自分に特別感を抱けなくなった彼女はすぐにファッション事業立ち上げに手を付けた。

「特別感の損失」おそらくそれが彼女を動かすつぼなのだろう。


コンビニで車に轢かれ、走馬灯を見、自分の人生を5点と言い渡されながらも転生のすべ

を探し、絶望し地獄に送られるなど言葉にしてみたら特別感を抱くのに十分過ぎる位のはずだが




特別感を抱くという意味では、今の状況も決して負けてはいないだろう。


私は今、死後の世界で護送されている。


賽の河原の寮を抜け出し、河原をひたすら歩いていたが、朝になり私の脱獄がバレたのか、車で追ってきたムキムキのアメリカ警官のような男達により、すぐにお縄になった。

あの世の警官もバリバリの肉体派らしい。


脱獄犯はその後また日本橋のようなビル街にある大きなビルに連れ込まれた。

連れてこられたのは薄暗く狭い部屋真ん中にテーブルと向き合うように座る為の椅子が2つ、そして記録用だろう、部屋の隅でパソコンに向かう人が1人いた。

これはなんというか…刑事ドラマで出てくる取調室そのものだった。


取り調べに召喚された容疑者の前に刑事が姿を現わす。

取調室に現れたのは来栖。

まぁ私の担当なのだから当たり前なのかもしれない



「それで賽の河原でなにかありましたか?」

来栖警部補が沈黙を破る。

「え、あー、いいえ何もなかったわ」

「え、な、何もないのに寮を抜け出したんですか?」

少し驚きながら問いかける来栖


「ええ、いけない?」

「いえ、あまり聞かない事だったので」

どうやら賽の河原を脱獄するやからは珍しいらしい。

たしかに現実で地獄のような職場で働いてきた人達には賽の河原など地獄じゃないのかもしれない。


「 それで」

来栖が本題に入る


「なんで賽の河原を抜け出したんですか?」

私をまっすぐ見て問いかける。


まっすぐ、真剣に。

私も真摯に受け止め言葉を返す。

「来栖…あんた」


「神になりたいと思った事ある?」


「…は?」


どうやらあきれられてしまったようだ、でもしょうがない私にはあるのだから


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