#6肉体選択
「も〜!ろくな物件じゃない‼︎何でこんなんばっかなのよ‼︎」
私は荒れていた、物件の内見から戻ってきたが
ネグレクト物件から嫌な予感はしていたけど
その後内見も
父親の暴力に怯えるDV物件。
母親のアルコール中毒を理由に離婚した、アル中シングルマザー物件。
代々落ち武者に取り憑かれた一族の事故物件。
初めて私は落ち武者の霊と話した。
「どうなってんのよ‼︎」私は怒りを担当の来栖にぶつけた
「神谷さん程度のポイントだとこんな所ですよ」
容易に切り捨てられた。
「あんたが私を5点にしたんでしょ!少しはマケなさいよ‼︎」いちゃもんをつける私
「もっと上のランク物件を選びたかったらもっとポイントをあげなきゃいけません」
「え、上げられるの⁉」
来栖の言葉に飛びつく私
「ええ、神谷さんの場合悪行での減点が結構あるので、地獄で罰を受ければだいぶポイントは上がりますよ」
「今のポイントでマシな物件を探しましょう」
食い気味に返す私
地獄で罰受けるなんて冗談じゃないわ、何されるか分からないけど舌を抜かれたり、目をくり抜かれるに決まってる。そんなの絶対に嫌
私の考えを悟ったのか少し呆れてる来栖
「…じゃあしょうがないですね。物件は引き続きより良い物件を探しときますので、本来は順番が逆ですが肉体選択からしていきましょう」
「肉体選択ってそんな事できるの⁉」
「ええ生まれた親の遺伝子の影響があるので完全ではありませんが今からでも選択は可能です」
なんていいシステムなの親どころか自分の容姿を選ぶ事が出来るなんて最高じゃない!
「最悪‼︎」
私の期待は案の定ひっくり返された。
引き続き会議室で肉体のグラフィックを出されたけど、出てきたのがもう
ブス、ブス、出っ歯、ホンコン、デブ、デブ、蛭子能収‼︎
女子はもう諦めて、男子も見て見たけど結果か変わらなかった。
「どうなってんのよ!喧嘩売ってんの⁉」
荒れに荒れる私
「だから、神谷さんのポイントだとこんな所ですって」
ブーブーブー、来栖の携帯が鳴る。
さっきの内見は良かったが、携帯といい、この会議室といい普通の会社にしか見えない。
あの世のくせになんでもっと作り込まなかったのか
「はい、わかりました。紹介して見ます」
電話切る来栖
「神谷さん、新しい肉体があるのですが」
「は?なによ」もう完全にふてくされている私
「待ってください、今資料がきます」
ピー、会議室にあるファックスが動き出す。
「来ましたね」
ファックスって…ここほんとにあの世なの
送られてきた資料に目を通す来栖
「なるほど」
「なによ」もはや期待などない
「そうですね、体格は痩せ型で少し筋肉質」
「…悪くはないわ」
「顔立ちも良く、魅力的でモテ気質」
「いいじゃない」あれ?
「性別問わず慕われるまさに王様タイプ」
「ほんと?それ」いいわいいわよそれ
「名は体を表すとはこの事ですね」
「そんな肉体あるなら早く言いなさいよ」
「王様いや、まさに殿様。いいトノサマバッタの肉体ですね‼︎」
「ふざけんじゃないわよぉ‼︎‼︎‼︎」