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追う者4

「フレニア様、本当に?」


 ネリは感極まったように、はらはらと涙を流し魔剣の前で膝を折った。


「おいたわしい………………大変な苦労をされたのですね」


「触れても?」と断りまで入れるネリに、セスは静かに頷いた。彼女は、震える手でフレニムを労るように撫でた。そこにはただ敬愛の念を感じた。


「あなた達は、フレニアのことを正しく知っているのですね?」


 聞けば、キリクは信じられないという風に剣を茫然と見ながら答えた。


「ベガラナの血を引く者達は、フレニア様が魔剣になったのだと伝えられてきました。それを確かめるべく、この方の行方を探しもしました。ですがまさか本当だとは……………」

「信じて下さるのですか?」

「信じるも何も……………この目で見たのですから」


 キリクが言っている間に、フレニムが淡く輝いた。セスが用意していた毛布を被せると、魔剣から銀髪の女性へと変わる。


「ああ………………伝え聞いた通り」


 銀の長い睫毛を伏せて、セスの膝に頭を乗せて眠るフレニアを、ネリは長い時間見つめて、その手を両手で包んだ。


「なんて美しいのでしょう」


 ***********************************************


 初めに白い天井が目に入り、フレニアは布団を胸元に手繰り寄せて身を起こした。


「起きたか」

「セス、ここは?」


 足元近くにあるテーブルについていたセスが、立ち上がると彼女に水を差し出した。


「まだベガラナティエだ。そこの有力者に泊めさせてもらってる」

「…………………私のこと、話したの?」


 受け取ったコップに口を付けずに、フレニアは俯く。


「話したよ。君に会えたことを喜んでいた」

「………………え」

「君の苦労を思って泣いていた」


 目を丸くしてこちらを見上げて固まるフレニアに、セスは笑って隣に座った。


「私に怒っているのではないの?」

「どうして?彼らは、フレニアのことを正しく知っていた。何も罪を犯していないのに怒るわけない」


 セスの言葉に、また俯いてしまったフレニアが彼に凭れるように体を傾けた。


「………………良かった」


 頭を引き寄せると、フレニアがセスの背に両手を回してきて、彼も裸の肩を抱きしめた。


「その人達と話でもするか?きっと向こうも楽しみしていると思うぞ」

「そうね………………でも今度にする。落ち着いたらゆっくり話したいわ。私達には先にやらなければならないことがあるからね」

「ああ…………」


 あの時ネリは、フレニアを保護しようかと持ち掛けてきたのだ。


『カザルフィスのことは脅威でありますが、だからといってこれ以上フレニア様が戦うことはないのでは?勿論セス殿、あなただけが重荷を背負うこともないでしょう。私達が力を貸しますから、フレニア様を守らせて下さいませんか?』と。


 セスは僅かに躊躇った後に、それを断った。


 今日戦った魔物のように、魔剣カザルフィムには魔剣でしか対抗できないと思ったことと、フレニアとの約束を守る為。

 もしセスがフレニムを手放したら、彼女は一生恨みに思うに違いない。


『俺は、フレニアとの約束を守ります。この命が尽きるまで、彼女と一緒に戦うと約束したから……………それまでは絶対に一人にしない』


「セス」

「ああ」


 彼女の手が頬に宛がわれて、セスは我に帰った。


「……………ずっと傍にいるから」


 鼻が触れそうな距離で、海色の瞳が彼を映している。


「セスを守るわ」

「フ、フレニア?」


 彼女の吐息がセスの唇に掛かり、焦って少し後退しようとしたら彼女も同じ距離だけ詰めてきた。それどころか益々セスに密着してきて、動揺した彼はベッドに仰向けにひっくり返った。


「な、な…………」

「……………セス」

「む、う」


 セスの体を跨ぐようにしたフレニアが頬を真っ赤に染め上げて唇を近付けてきて、彼は思考を停止させた。

 ぶつかるように唇が重なった途端、ビクリとセスは体を震わせて硬直した。










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