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造り変えられた魔物4

 それにしてもデカイ。

 セスはフレニムを手に距離を保ちつつ魔物を見上げていた。

 歯を剥き出し、頭には髪のような長い毛を振り乱した魔物が

 建物を蹴ったり手で壊しながら、けたたましく叫び続けている。

 叫び声の声量に窓ガラスが割れ、人々は耳を塞いでいた。セスは魔剣の力で平気なのだが、逃げる人々の中には失神してしてしまった者も見える。


「こいつら、どこから湧いた?」


 落下する瓦礫を避けながら、セスは疑問に思った。

 昼日中のこれほど人通りの多い街中で、しかも壁に守られた都市だ。これほどの巨体がいれば直ぐに見つけられるし、必ず侵入するには門を通らねばならない。


「み、見たんだ!この魔物、人間だった!」

「何!?」

「男と女が通りを歩いていたんだ。そしたら、いきなり………」


 後ろで尻餅をついていた男の言葉に、セスは耳を疑った。

 人間だと?!


「まさか」

「本当だって!なんかぼーっとしてフラフラ歩いてたから危ないなって思って見ていたんだから!」


 大木のような脚が頭上に影を落として、セスは尻餅をついていた男の首根っこを掴んで跳びすさった。

 ドオン、と脚が付いた地面がへこみ揺れる。


 人間だった面影はないし、焦点の定まらない目に知性は感じられない。だが人間だったのだ。


「こういうことも…………あり得るだろうな」


 魔物の進行方向にあたる建物の上階へと走り、セスはフレニムに目を落とす。

 怒っているのだと、感じられた。この街を守りたいと思う分、あの時みたいにフレニアは暴走するほどの怒りを抱えているだろうに、それでも必死に自分を抑えてセスに委ねているのだ。


「フレニム、いい子だ」


 階段を昇り屋上へと出ると、魔物の顔が真っ直ぐに見えた。


 魔物を元の人間に戻せるなんて甘い希望は期待しない。必要なのは、斬る覚悟だけだ。


「………………………」


 間合いを計り魔物に狙いをすましていたら、ふいに陰り上を向いた。


「くっ!!」


 間一髪避けると、もう一体の魔物の拳がセスのいた場所に振り下ろされた。

 巨体にも関わらず、動きが速い。

 何度かの拳で、建物が崩れ始めて足場を失ったセスは地面に叩きつけられてしまった。

 肺が潰れるかのような衝撃に、声もなく身体を折り曲げる。打ち付けた右側面が激しく痛んだ。


「っ………………がっ」


 死んでもおかしくなかったのに、どうやら骨折だけで済んだようだ。これも魔剣のおかげだろうか。

 身体がふわりと暖かくて、なんとか目を開ければ、手放すことなく握り締めていたフレニムの光がセスを包み込んでいた。治癒をしてくれているのだと分かり、そのまま首を動かして魔物を探す。


 どこだ?


 地面の震動からして魔物との距離が少し離れている。瓦礫の砂埃に目をこらせば、2体の魔物が二つほど建物を隔てた場所にいるのが目に映った。なんとか顔を上げたセスからは、2体が屈んで何かをしているのが見えた。


「…………な?」


 それぞれが立ち上がり高く手を挙げて口を開ける。魔物達が指で摘まんでいるものが、まだ生きている人だと認識したセスは、頭が真っ白になった。


「やめ………ろ!やめろおっ!」


 人形のように転がった父の最期がフラッシュバックし、息を吸うのも難しく立ち上がろうともがいた。


「あ、ああ!」


 間に合わない!

 魔物が今にも人を食らおうとした時だった。


 爆発音がして、バッと火煙が背中から上がった魔物がよろめいた。





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