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造り変えられた魔物

短めです。

 夜の闇を女の悲鳴が切り裂いた。


「あ、あああ」


 街灯の明かりも届かない路地裏の小道。

 建物の壁に背中を押し付けて、若い女がガタガタと震えている。

 彼女に恐怖を与えているのは、黒い魔剣を持つ男だった。

 その魔剣は今、彼女の夫の腹に深く突き刺さっていた。


 口から血を吐き、腹に貫通した剣のみの力によって地面から浮いている男はそれでも死んではいない。

 ゴフゴフと血の泡を吹きながら、身体は奇怪な変貌を遂げようとしていた。骨や筋肉を軋ませ、急速に手足が伸びて身体全体が大きくなっていく。服が裂けて、小麦色の肌は黒くなり硬い鎧のようにゴツゴツとした形となった。

 目は大きくつり上がり瞳孔は縦に細く、口は端から耳のあたりまで裂けて牙が長く伸びた。

 重量感のあるそれの腹を脚で蹴るようにして剣を引き抜いた魔剣士は、ビクビクと未だ形を変える男だったものから離れると、女の方へと歩みを進めた。


「ひい、や、め」


 息も絶え絶えになりながらも、逃げようと這いつくばる女の肩に無情にも魔剣が突き刺さる。


「ぎゃあああ!」


 潜り込んだ魔剣から何か得体の知れないものが流れてきて、女の体内の魔力を侵し始める。自分も魔物になるのだと、女は変わり果てた夫を目にして絶望した。


「あ、あ……………なぜこんな、こと」


 魔剣士は光を映さない瞳で、女だったものを一瞥した。


『なぜ?』


 まるで人形が喋っているかのような無機質で抑揚のない声だった。


『まだ、遊び足りないからだ』


 ズルリと引き抜いた剣から、紫色の体液が滴った。


『追い掛けてくるがいい、永遠に遊んでやろう……………』


 呼んだ名は、魔物達の唸り声に溶けて闇へと吸い込まれていった。










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