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見送り

作者: 千穂

ご覧いただきありがとうございます

彼のハイヒールを履いて家を出る








最後に置いていったハイヒール





シルクのような光沢のある黒いハイヒール


ヒールの部分にスワロフスキーがあしらわれたそれは



歩くと真っ赤な底面が見えるそれは





凛と己を奮い立たせようする彼の立ち姿を妖艶なものにさせていた




時には愛らしく

時には生々しく

攻撃的に

惹き寄せられるような




その繊細な心を守るように着飾る彼の後ろ姿を見るのが好きだった







28センチのそれは私には大きすぎて

そこに敷いた滑り止めがあっても上手く歩けない





一歩一歩が重い



カッポカッポと

踵が浮くのを気にせず前を向く





悔しくて

息が詰まる




それでも必死に息を吸って

前を向いて




彼を見送りに行く





きっと彼は男の顔をしているだろう

その顔も確かに好きだ





だが、彼の彼らしい姿は違うのだ






私が愛したアナタは違うのだ

アナタのらしさを連れて行く





悔しくて

息が詰まる





それでも息を吸って

前を向いて






アナタを見送りに行く






きっとヒトは変な人間が歩いていると思うだろう





だが、それでもいいのだ





憧れたアナタを見送りに行く

これが正装なのだ





ついでに叫んでやろうか






異物を受け入れられない世の中に


変化を受け入れられない自分に


変わってしまったアナタに










このちっぽけな…に

タイトルを「哀悼」にするか「叫び」にするか悩みましたが、あまり限定せずに読み手の想像力にお任せしたいと思いコレにしました。

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