~悲劇戦~
ラスタール・ウィリアが幹部と戦っている一方、多数の敵に囲まれながらも戦っていた残りの人達は――……。喧嘩を売っていた、アガノ・レギアは友人のキルス・ガランと共に戦うが――……。
俺の周りを囲んでいた敵は、なかなか強かった。俺と共に戦ってくれている仲間もどんどん倒れていっている。
「アガノ、危ない!!」
カキーン!!
「!? た……助かったぞ……」
「大丈夫ですか、アガノ殿」
俺の真後ろで敵が倒れる。油断していたよう。
「俺は大丈夫だ。お前は大丈夫か?」
「僕は大丈夫ですから」
俺を助けてくれた仲間、キルス・ガランは微笑む。こいつはいつも笑顔だった。微笑みを絶やさず、いつも仲間のことを思っている。
「ありがとな、キルス」
そしていつも、こいつは……どこかで我慢している。だから俺はこいつに助けられた時、今みたいに頭を撫でる。
「や……やめて下さいよ……! 当然のことをしたまでです!!」
こうすると、いつもこいつは恥ずかしがる。全く……そこまで恥ずかしがらなくてもいいのに……。
「ア……アガノ殿!! 来ますよ!!」
「お、悪いな。んじゃ、行きますかー!!」
「はい!!」
俺とキルスは敵に向かう。
「うりゃあああああ!!」
俺は敵の軍団に向かって走り、光線銃を撃ちまくる。すると、背後から小型ナイフが飛んでくる。そのナイフは敵の背中に深く突き刺さる。
「ぅあ……!」
「アガノ殿!! 僕も援護します……!!」
そう言い、キルスは何本もの小型ナイフを出し、敵に投げる。
「……がはっ!!」
「ぐあっ!!」
「ぎゃあ!!」
キルスの投げたナイフは百発百中。
「サンキュ!! キルス!!」
俺はニッと笑い、光線銃を撃つ。キルスは高く飛び、敵の背後を狙い、ナイフを突き立てる。
「うっ……」
次々と倒れる敵。敵はどんどん減り、ついに全員倒した。
「……はぁ……はぁ……これで……終わりか……?」
「らしいですね……」
「かなりの犠牲を出してしまったな……」
俺とキルスの前に転がる赤い人。
「……お前も……なぁ!!」
グサッ!!
「……!?」
鋭い痛みに俺は少し怯む。そして恐る恐る触れてみると、ぬるりと温かい感触と赤。
「か……は……!!」
口から溢れ出る赤。どうやら俺は敵に刺されたよう。
「アガノ殿!! くそ……このぉ!!」
「ぐあああがあああ……!!」
キルスは俺を刺した敵を倒し、動かなくなった後もずっと攻撃していた。
「よくも……よくもよくもよくも……!!」
キルスは許せなかったのだろう。キルスにとって……俺は唯一の友達だった。その友達を傷付けられたことにより、憤怒に燃えていた。
「キ……キルス……もういいから……」
俺は制止を求めるも、キルスはやめない。
「だって……だって……僕の友達である……アガノ殿が……こいつによって……。許せません……!! 僕はこいつにアガノ殿と同じ痛みを味わせるのです……!!」
グサッ……グサッ……グサッ……
「キルス……俺のことはいいから……お前はラスタール殿を……」
「……駄目です……。僕はアガノ殿を置いて行けないです……。アガノ殿のいない世界……どうやって生きるのですか!? ……僕にとって……アガノ殿は……」
「キルス……。お前は一人なんかじゃねぇ。俺は此処にいる。ちゃんと此処にいるぜ。たとえお前の傍から離れることに……なっても……な……」
俺はキルスの頭を撫でた。――ふと、アガノの手は落ちる。
「……!? アガノ殿……!?」
キルスの呼び掛けにアガノは応答しない。
「……アガノ……殿……。ああああ……ああああああああ!!」
キルスはアガノの手を握る。もう握り返されることのない手。頭も撫でない。笑わない。もう動かない。
「無事か……!? キルス、アガ……」
駆けつけたレヴィルは言いかけて、やめた。目の前に広がる光景。アガノの赤。キルスの青。そこから読み取れるのは……あまりにも残酷で、受け入れ難い現実だった。
「……アガノ……」
【2月16日 6:21 アガノ側 終戦 犠牲者:198人】
引き続き、投稿が遅れる可能性大です。
あと、リアルで体調崩しました……。そういうのもあり、さらに投稿が遅れると思います。
気長に御待ち頂けると有難いです。