ジュリアとノア 過去3
俺は断った。だが、当然のごとく言い争いになった。
「嫌にきまってるだろ!?」
「私はあなたを使い魔にしたいの。」
「俺はなりたくないんだよ!ていうかおまえだろ!俺に刺客送り込んできたのって!」
「あなたの意志なんて関係ないの。これは決定事項よ。それとあなたに刺客を送り込んできたのは協会であって私ではないわ。」
「このひとでなしっ!俺の意志無視で契約なんかできんのかよ!あと原因はおまえだろっ!壊れた家具弁償しろっ!」
「ひとじゃないもの。魔女だもの。契約は魔法使えばできるもの。」
「お前の魔力じゃできないだろ!」
「姉様に拘束してもらうの。」
「他人かよ!」
しばらく言い合った。
ドーン!バキバキッ!ズガーン!
しばらく戦った。
だが、この一言で決着がついた。
「あなたが使い魔になるなら。この指輪をあげてもいい。」
ジュリアの瞳のアメジストがこちらを見据えていた。
「そんなに簡単に差し出しちゃ駄目だろっ!」
とつっこむ。だがジュリアは、
「別にたいした魔力も入っていないもの。」
と言って笑んだ。
なぜ断れなかったのだろう。
たかが指輪。何の役にも立ちはしない。
だが・・・。
「・・・本当に、いいのか。」
「もちろん。」
なぜ断れなかったのだろう。
この宝石に魅了されたのか。どこか浮いた彼女を仲間だと思ったのか。
どちらにしろ、俺はその日から、アメジストに捕われた。
あの、きれいな紫水晶に。
そしてこれから、こいつとの長い「使い魔生活」がはじまり、、少々どころでない厄介事に出会う確率が大幅に上がったのであった。