「だまってて。」
特異な状況での順応がおそろしくはやい、汐莉ちゃんがでてきます。
いちおう不思議っ子設定です。
海野 汐莉が出て行ってからしばらくして・・・
「おい、ジュリア」
そう言われて振り向いたのは、まっすぐな長い漆黒の髪と、紫水晶の瞳を持つ魔女、ジュリアだ。
ジュリアはおれの主人で、かなり上位の魔女。
絶世の美少女だが、中身はもう140年生きている。
ちなみにおれは、ノア。ジュリアの使い魔で、もとは魔界を揺るがす大悪魔だった。
基本的には黒猫の姿だが、人型にもなれる。
「いいのかよ、せっかく来た客帰して。」
「いいのよ。あの子はだめ。」
主人にそう言われてはひきさがるしかない。
ジュリアの言う通り、面倒事はおこさないほうがいい。
おれたちは、あそこからにげてきたのだから・・・。
おれは、海野 汐莉に術をかけた。
だから汐莉はこの館のことを忘れているはずだったのだ。
なのに。
汐莉はやってきた。まるで、当たり前だとでもいうように。
「こんにちは~!今日こそお願い、聞いてもらいますよ!!」
「なっ!貴方、どうして!」
きょとんとした汐莉は
「なんでって・・・、私、また来るって言いませんでしたっけ?」
とのんきに言い、はぁーとため息をつく。
嫌な日だ。猫の姿で、
「・・死にたくなければ帰れ。」
と1言言ってみた。悲鳴をあげ、逃げ帰ってくれることを期待して。
「わぁ!にゃんこちゃんしゃべれるの。すごいねー。えらいねー。」
・・・・・・。沈黙。・・・・・・・・・・・・・・・。
「いやいやいや、ちがうだろ!!そこは「きゃあー。いやーん。こわーい。」とかなんとか言って逃げる
とこだろ!なんでスルーしちまうんだよ!!」
「いきなりだったからちょっとびっくり。」
「ちょっとで済ませんなぁーーーーー!!!」
そうしてぎゃぁぎゃぁ騒いでいると、
「う・る・さ・い。」
ジュリアの冷徹な声が響く。背景に青い炎が見えた。
おれは、震え上がって
「すいませんごめんなさいゆるしてくださいもうしません。」
と、一息にいった。
「汐莉さん。」
「は、はい。」
「悩みを解決してあげるから・・・・・・
「本当ですか!?。ありがとうございま」
しばらく黙っててくれるかしら。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・夏だというのに、そこだけ気温が一気に冷えた。
「ま、また来ます・・・・・・。」
さすがの汐莉も、冷や汗をかいてにげたようだ。
(これをなだめるのって、おれかよ・・。)
「つくづく嫌な日だ・・・。」
とあらためてつぶやくと、
「なにかいった?。」
と、ジュリアの氷のような視線が飛んできたので、
「い、いや・・・。」
自分に心から同情した。
ジュリア、超怖いです。昔、ある悪魔をひとにらみするだけでやっつけたそうな・・・。
ちなみに、汐莉の名前はこっちが正解です。前とちがう漢字になってましたね。直しときます。(時間があれば。)