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聖餐の毒

掲載日:2026/05/22

聖餐の毒


スティーブ・アラン 探偵


ジム・モートン 編集者


ピーター・サンデル 司祭


サラ・サンデル 妻


ステイシー・ホワイト シスター


ケイティー・ホワイト シスターの娘


1.アーメン、聖餐はぶどう酒とパンそして、飴が司祭の手から信徒たちに与えられ終演を迎えようとしていた。司祭は祝福のぶどう酒を口に含み祈ろうとした。その時、ガクッと膝をつき倒れ込んだ!なんという!司祭は苦しみ悶えながら、周りに集まる信徒たちに最後の言葉を漏らした。「これが神の与え給うた罰か?妻よ、済まなかった。神よ私の死を持って罪を贖い給え。」とそこでオルガンの音がはたと止まって聖餐は終了した。信徒たちとともにミサに出席していたスティーブ・アランは司祭ピーター・サンデルの倒れているところにかがみ込み息絶えるのを確認した。「駄目です。亡くなっています。」と周囲に首を振って、持っていたハンカチをポケットから取り出し顔にかけた。「ここからは探偵の私が取り扱います。ご了承ください。直ちに警察と救急車をお呼びください。」信徒たちは言うことを聞いて速やかにアンビュランスを呼んだ。現場に到着したダン警部「スティーブさんお久しぶりです。今日も不可解な事件ですね。」鑑識の調べによると司祭はワインに混入したトリカブトによって殺されたものと判明した。警察はこの事件の容疑者をまず妻のサラ・サンデルと見て調べに入った。周囲の噂によると司祭はシスターのステイシー・ホワイトと不倫をしていたというので、怨恨であるとのこと。しかし、ことごとくサラにはアリバイがあって。事件の当日サラはオルガンの演奏にあたっており、ワインにトリカブトを入れる時間はまず考えられないということが判明した。事件当日全員がサラはオルガンを弾いていたと証言した。


スティーブはトリカブトの混入したワイングラスと司祭の亡骸を調査した。たしかに、今回はトリカブトによる殺害であると彼も認めた。スティーブはシスターのアカウントでトリカブトが購入されているのではないかと思い、シスターに問うた。「あなたの購入履歴を確認したいのですが?」シスターは快く承諾した。「一向に構いませんが。」だが、最近の購入履歴にはトリカブトはなかった。トリカブトをネット以外で手に入れる方法はそうないのだがとスティーブは途方に暮れた。


2.その晩はシスターの自宅で、スティーブたちは夕食をいただき、宿泊することになった。粛粛と食事を口にする一同だったが、少々の相談事は今後のために交わされ、速やかに夕食は終わった。夕食後のブランデーを交わすダイニングの一同。そこへ、シスターの娘ケイティーがふらりと現れた。スティーブはもしかしたらと思い、幼女に「お母さん宛に贈り物が来なかったかい?それも何か箱に入った。」と訊く。すると、幼女は「来たよ。」と言った。すかさず、スティーブ「何処かに持っていったかな?」と訊くと「ベランダに持っていったわ。」と言ったのだ。


スティーブはベランダに花壇があるのではないかと思い、見に行った。しかし、無い。何も。


スティーブは花壇を破棄して、庭にその土をやったのではないかと、鑑識に捜査を依頼した。それと同時に、ネットで調べられる限りの園芸用トリカブトを販売している業者をあたり、向こうの顧客データでステイシー・ホワイトと言う人物が園芸用トリカブトを注文していないかしらみつぶしに、あたっていった。すると、ある一件、確かにステイシー・ホワイト名義で購入しているのを発見。ステイシーはネットで買った園芸用トリカブトの苗を自宅で育て、根をすり潰して粉末状に精製するという方法を取っていたのだ。直接トリカブトを闇で手に入れるのではなく。


鑑識の調査の結果、彼女の自宅の前庭の土からトリカブトの成分であるアコニチンなどのアルカロイドが検出された。これがシスターが犯人であるという動かぬ証拠となった。


彼女の自白では薬包紙は灰皿で焼却、苗も廃棄、郵送された包装も廃棄したという。で、当日彼女はお堂の裏の準備室でワインにトリカブトを注いだという。なんとも凄惨な事件、動機は司祭がシスターの愛を裏切ったための恨みだと言うことだった。シスターの入念な証拠隠滅により事件は迷宮入りかと思われたが、娘のちょっとした証言からスティーブは糸口を掴んだ。


スティーブはジムにこの事件を「まさに凄惨な聖餐だった」と紹介したのだった。


「冗談じゃないよ。オレはこんな宗教界をこれから信用できない。」とコメントしたジムだった。ジムはこの事件を新聞で公表し、街中を震撼させた。その後、この教会は取り壊しとなり一つの宗教がその枝葉の先で途絶えたのだった。


fin

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