第1話:禁忌
「あんたなんか……産むんじゃなかった!」
限界まで張り詰めていた糸が、ついに切れた。
香奈の口から飛び出したその絶叫に、時が止まったかのような静寂が落ちる。
「……えっ!?」
「……はっ!」
我に返った香奈は、両手で自らの口を塞いだ。
だが、放たれた言葉はもう二度と戻らない。
目の前に立つ金髪、十六歳の不良少年――反抗的な態度でいつも自分を困らせる『弟』の顔から、血の気がサッと引いていくのがわかった。
「いま、なんて言ったの……『姉さん』!?」
うわずった声での、慎の問いかけ。
その瞳の奥に、かつて自分が愛した男の面影がフラッシュバックする。
香奈は自分の「致命的ミス」に気付いたが、すでに手遅れだった。
十六年間、狂いそうな精神で必死に隠し通してきた『悍ましい血の真実』が、たった一言で決壊してしまったのだ。
背後のふすまの向こうで、微かに衣擦れの音がした。
この狂った地獄を作り上げた『父』が、香奈の崩壊をニヤリと笑いながら聞いている気配がする。
――ああ、もう終わりだ。
甘いキャラメルの香りが、香奈の絶望を嘲笑うように、いっそう濃く漂い始めた……。
そして、香奈の視界はゆっくりとブラックアウトした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
いきなり最悪の絶望から始まりましたが、ご安心ください。
本作はここから、この吐き気をもよおすようなバッドエンドを完全に叩き潰すための、【最高にスカッとする大逆転劇】へと繋がっていきます!
「この先どうなるの!?」「クソ枢機卿をボコボコにしてほしい!」と少しでも思っていただけましたら、画面下にある
【ブックマークに追加】
【☆☆☆☆☆】をタップして【★★★★★】にする
この2つで応援していただけると、作者のモチベーションが爆上がりして執筆速度が上がります!
聖女アンナの凄絶な反逆劇、どうか最後までお付き合いください!




