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Scene20 静かな病室
午後7時10分。ギャングに捕まった僕は、
麻薬取締官の特殊部隊に救出され、そのまま、
病院に運ばれた。国会議事堂付近の緊急病院だ。
「ごめんなさい。私の仕事で、こんな目にあって」
と、首都保安庁の志野原僚子が、
病室のベットの僕に謝る。おそらく、
僕の顔は酷く腫れているのだろう。
「全く、とんでもないクリスマスになりましたね」
「あまり喋らないほうがいいわ。痛みはないの?」
病室の窓から見える、
街のクリスマスツリーの灯りは消えたままだ。
「今は静かですね」
その時、上司の警部補が駆け込んできた。
「おい、大丈夫か」
心配そうな表情で僕の顔を覗き込む。
「本日、二度目の病室送りです」
僕は、なるべく陽気な声を出して答えたが、
「お前は良く働いた。後は、ゆっくりと休め」
日頃、厳しい警部補が、僕に、
優しい言葉をかけてくれたのは初めてだった。




