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第三十二話:氷と炎


南極大陸上空。レガシー号は、猛烈なブリザードの中、氷に閉ざされた大地を低空飛行していた。窓の外には、見渡す限りの氷河と、鋭く尖った氷山が広がる。タイラントが語った「最後の要塞」は、この地のどこかに隠されているはずだった。


「…ノヴァ、反応は?」


カイルが、コックピットで、ノヴァに問いかけた。ノヴァは、キーボードを叩きながら、首を横に振った。


「…駄目です。この地域は、電磁波が異常に強い。レーダーも、まともに機能しません…」


彼女の声は、苛立ちと焦りが入り混じっていた。


「…タイラントの奴、余計なことを…」


カイルは、舌打ちをした。タイラントは、南極大陸の電磁波を、さらに増幅させ、自分たちの居場所を、完全に隠蔽していたのだ。


「…ジェット、高度を上げろ」


カイルが、ジェットに指示した。ジェットは、操縦桿を握りしめ、レガシー号の機体を上昇させる。しかし、上空には、さらに激しいブリザードが、彼らを待ち受けていた。


「…くそっ!このままじゃ、燃料がもたない!」


ジェットが、叫んだ。その時、クロエが、コックピットに姿を現した。彼女は、静かに、そして、ある一つの決断を下した。


「…カイル。私を、降ろして」


クロエの言葉に、カイルは、驚愕した。


「…何を言ってるんだ!こんなブリザードの中じゃ、スティングレイは、まともに飛べない!」


「…大丈夫。徒歩で向かう。この地形なら、敵のレーダーにも、かからないはずよ…」


彼女は、そう言って、愛銃グロック17のグリップを握りしめた。その瞳には、もう、迷いはなかった。


カイルは、クロエの言葉に頷くと、レガシー号のハッチを開け、クロエを、スティングレイの機体に降ろした。クロエは、スティングレイから降り立ち、一人、ブリザードの中へと、歩き始めた。彼女の背中は、まるで、運命に立ち向かう、一人の戦士のようだった。


クロエは、猛烈なブリザードの中、氷河の上を、一歩ずつ、慎重に進んでいく。彼女の吐く息が、白い霧となって、夜空に消えていく。彼女は、グロック17のグリップをしっかりと握りしめる。グリップには、滑り止めのテクスチャーが刻まれ、冷気でかじかんだ指にもしっかりと馴染む。彼女は、マガジンを一度抜き、残弾を確認してから、カチリと再び装填した。


数時間後、クロエの目の前に、巨大な氷山が現れた。その氷山の内部には、巨大な要塞が、隠されているようだった。


「…ノヴァ、反応は?」


クロエは、無線で、ノヴァに問いかけた。


「…駄目です。内部のシステムが、異常に強固です…」


ノヴァの声は、焦っていた。クロエは、舌打ちをした。彼女は、このまま、要塞の入り口へと向かった。


要塞の入り口には、分厚い氷の扉が、鎮座している。クロエは、扉の表面に手を当て、耳を澄ませる。


「…内部に、通気口がある。そこから入るしかないわ」


彼女は、そう言って、要塞の壁面に沿って歩き始めた。壁面には、雪に埋もれた小さな通気口があった。クロエは、手袋を外し、その通気口に手をかけた。


「…くそっ、凍りついて、びくともしない…」


クロエは、舌打ちをした。その時、彼女の無線に、カイルの声が聞こえてきた。


「…クロエ!大丈夫か!?無理なら、引き返しても…」


カイルの声は、ブリザードにかき消されそうになる。クロエは、カイルの問いに首を振った。


「…大丈夫。ここからが本番よ」


彼女は、そう言って、グロック17を構えた。


パン!パン!


クロエが放った弾丸は、通気口の鍵穴を正確に撃ち抜いた。彼女の銃の腕は、まさにプロのそれだった。彼女は、グロックのシンプルな操作性を活かし、素早くダブルタップ(二発連続射撃)を放ち、目標を破壊したのだ。


その時、通気口の奥から、何かが動く気配がした。


「…まずい!敵よ!」


クロエが、叫ぶ。彼女は、再び、銃口を通気口に向けた。


通気口の奥から、数人の兵士が姿を現した。彼らは、白い強化スーツを身につけ、Heckler & Koch MP5を構えていた。彼らの銃口からは、ただならぬ殺気が放たれている。


ダダダダダダダダ!


MP5の銃声が、ブリザードの音をかき消す。9mmパラベラム弾が、クロエが隠れている氷の上に、無数の穴を開けていった。強化スーツの兵士たちは、彼女の位置を正確に把握している。


「…ちっ、サブマシンガンか…!」


クロエは、舌打ちをする。MP5は、高い連射性能を誇り、近距離での戦闘に非常に有利な銃だ。彼女のグロック17では、分が悪い。


「…ノヴァ!援護を!」


クロエは、無線に叫んだ。


「…駄目です!この要塞の内部に、強力なジャミング装置があります!通信が、遮断されました!」


ノヴァの声は、焦っていた。クロエは、一人で、この状況を打開する必要があった。彼女は、とっさに、氷の陰に身を隠し、グロック17を構えた。


兵士たちは、クロエの動きを予測していたかのように、彼女に近づいてくる。彼らは、氷の地形を巧みに利用し、クロエを追い詰めていく。


「…くそっ!」


クロエは、舌打ちをした。彼女は、このままでは、ジリ貧だと判断し、ある一つの決断を下した。彼女は、氷の陰から飛び出し、兵士たちに、グロック17を連射する。


パン!パン!パン!パン!


クロエが放った弾丸は、兵士たちの強化スーツに命中し、火花を散らす。彼女は、素早くマガジンを交換し、残りの兵士たちに、とどめを刺した。彼女のグロック17は、彼女の腕の一部のように正確に機能し、動揺した敵を瞬時に制圧した。


しかし、その時、クロエの背後から、もう一人の兵士が、姿を現した。彼は、クロエに気づき、MP5を構える。


「…くそっ!」


クロエは、舌打ちをした。彼女は、とっさに身を隠そうとするが、間に合わない。


ダダダダダダダダ!


MP5の銃声が、再び、鳴り響く。弾丸は、クロエの肩を撃ち抜いた。激痛が、クロエの全身を駆け巡る。彼女は、その場に崩れ落ちた。彼女の手から、グロック17が滑り落ちる。


兵士は、クロエの前に立ち、MP5の銃口を、彼女の頭に向けた。


「…終わりだ、賞金稼ぎ…」


兵士は、そう言って、引き金に指をかけた。


その時、クロエの無線に、カイルの声が聞こえてきた。


「…クロエ!大丈夫か!?」


カイルの声は、焦っていた。クロエは、カイルの言葉に、わずかに口角を上げた。


「…大丈夫…」


クロエは、そう言って、左手で、懐から、小さなナイフを取り出した。そして、そのナイフを、兵士の足の甲に、突き刺した。


「…ぐっ…!」


兵士は、激痛に苦悶の声を上げる。クロエは、その隙を見逃さなかった。彼女は、地面に落ちたグロック17を拾い上げ、兵士に、銃口を向けた。


「…残念だったわね…」


クロエは、そう言って、引き金を引いた。


パン!


弾丸は、兵士の眉間を正確に撃ち抜いた。兵士は、その場に崩れ落ちた。クロエは、立ち上がり、肩の傷を押さえながら、要塞の奥へと進んでいく。


彼女の瞳には、もう、迷いはなかった。彼女の体は、傷ついていたが、その意志は、さらに強固になっていた。彼女の戦いは、まだ、終わっていなかった。


その時、クロエの無線に、ノヴァの声が聞こえてきた。


「…クロエ!通信が、回復しました!大丈夫ですか!?」


ノヴァの声は、安堵と焦りが入り混じっていた。


「…大丈夫。…それより、ノヴァ。タイラント・システムの場所は、特定できた?」


クロエの声に、ノヴァは、頷いた。


「…はい!この要塞の、最深部に、あります!そして…そのシステムを、起動できる、**“鍵”**も、一緒に…」


ノヴァの声は、震えていた。クロエは、ノヴァの言葉に、わずかに口角を上げた。


「…わかった。私が、行く…」


クロエは、そう言って、グロック17のグリップを握りしめた。彼女の旅は、今、最後の、そして最も困難な局面を迎えようとしていた。彼女は、一人、要塞の奥へと、歩き始めた。

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