第二十五話:ブラッド・ドッグの真実
ディーヴァを捕らえ、彼女が語った「ブラッド・ドッグ」という言葉は、カイルとジェットの心に重くのしかかっていた。ブラッド・ドッグは、ブラッド・ダンスの副作用を利用し、人間性を失った完璧な兵士。組織が、世界を支配するために生み出した、最終兵器。彼らは、ただの密輸業者を追っていただけではなかった。彼らは、世界の運命を賭けた、壮絶な戦いに巻き込まれていたのだ。
「…ブラッド・ドッグは、どこにいるんだ?」
カイルは、ディーヴァを尋問した。ディーヴァは、嘲るように笑った。
「…もう、遅いわ。ブラッド・ドッグは、すでに、世界中にばら撒かれている。彼らは、静かに、そして確実に、世界を蝕んでいくわ」
その言葉に、カイルは、深い絶望を感じた。彼らは、あまりにも大きな敵と、戦っていた。しかし、ジェットは、諦めてはいなかった。
「…ブラッド・ドッグの、制御システムは、どこにある?!」
ジェットが、ディーヴァに問いかける。ディーヴァは、ジェットの言葉に、わずかに驚いた表情を浮かべた。
「…制御システム?そんなもの…」
「…嘘をつくな!ブラッド・ドッグは、ただの兵士じゃない!彼らは、遠隔で、コントロールされている!その制御システムは、どこにあるんだ!」
ジェットは、ディーヴァの胸ぐらを掴み、激しく揺さぶった。ディーヴァは、ジェットの迫力に、怯え、静かに、真実を語り始めた。
「…制御システムは、この海洋都市の地下深くにある、秘密の研究施設にあるわ。そこには、組織の科学者たちがいて、ブラッド・ドッグの制御システムを管理している」
ディーヴァの言葉に、カイルとジェットは、顔を見合わせた。ブラッド・ドッグを止めるには、その制御システムを破壊するしかない。彼らは、最後の戦いに挑むことを決意した。
秘密の研究施設は、ディーヴァのアジトから、さらに地下へと深く潜った場所にあった。そこは、まるで、地獄の底へと続く入り口のように、暗く、冷たい空気に満ちていた。カイルは、スティングレイを使い、施設の地下へと侵入を開始する。ジェットは、レガシー号から、ノヴァと共に、カイルの動きをサポートする。
「…カイル、施設内部に入ったわ。敵は、ブラッド・ドッグだけじゃない。制御システムの護衛に、組織の私設兵士もいるわ。彼らは、最新鋭のアーマーと、FN SCAR-Hを装備している」
ノヴァの声が、イヤホンを通して届く。FN SCAR-Hは、FN SCARシリーズのヘビー版。7.62mm口径の弾薬を使用し、その威力は絶大だ。
「…了解。ジェット、ノヴァ。今回は、奇襲をかける。俺が、一人で突入する」
カイルは、P226を構え、非殺傷弾のマガジンを再確認した。彼の心は、もう揺らいでいなかった。彼は、どんな相手でも、非殺傷で制圧するという、自らの信念を、再び取り戻していた。
カイルは、施設の内部へと進んでいった。薄暗い通路を、慎重に進んでいくと、彼は、二人の兵士と遭遇した。彼らは、手にFN SCAR-Hを構え、周囲を警戒していた。その銃口からは、ただならぬ殺気が放たれていた。
「…見つけたぞ、カウボーイ…!」
一人が、叫び、同時に銃口が火を噴いた。**「バチン!バチン!」**と、SCAR-Hの轟音が響き渡る。7.62mm口径の弾丸が、カイルの頭上をかすめ、コンクリートの壁を砕き、火花を散らす。
カイルは、即座に近くのパイプの陰に身を隠した。彼は、P226から非殺傷弾を撃ち込んだ。「プシュッ!」。非殺傷弾は、兵士のアーマーに命中するが、彼らはびくともしない。カイルは、非殺傷弾が、組織の私設兵士には通用しないことを悟った。
「…ジェット!ノヴァ!援護を頼む!」
カイルは、叫んだ。ジェットは、即座にノヴァに指示を出す。
「…ノヴァ、この施設のシステムをハッキングしろ!何か、兵士たちの動きを止める方法はないか!」
「…了解!…待って、ジェット!施設の天井に、巨大な換気扇があるわ!換気扇を起動させれば、兵士たちの動きを鈍らせることができる!」
ノヴァの声が、イヤホンを通して届く。カイルは、ノヴァの言葉に従い、換気扇のスイッチに、P226の銃口を向けた。
「…プシュッ!」
非殺傷弾は、スイッチに命中し、換気扇が起動した。巨大な換気扇は、激しい音を立て、通路全体に強風を送り込んだ。兵士たちは、突然の強風に戸惑い、その隙を突き、カイルは、彼らを次々と制圧していった。
カイルは、すべての兵士を無力化し、通路の奥へと進んでいった。そして、彼は、研究施設の最深部に辿り着いた。そこには、巨大なサーバーが設置されており、その周りには、数体のブラッド・ドッグが警備にあたっていた。彼らは、手にIMI Tavor X95を構え、その目は、狂気に満ちていた。
「…ジェット!ノヴァ!制御システムをハッキングしろ!俺が、時間を稼ぐ!」
カイルは、叫んだ。ジェットは、ノヴァに指示を出す。
「…ノヴァ、ターゲットは、サーバーだ!ブラッド・ドッグを操っている、制御システムを破壊しろ!」
「…了解!任せて!」
ノヴァは、キーボードを叩き始めた。カイルは、ブラッド・ドッグと対峙する。ブラッド・ドッグは、カイルの姿に気づくと、一斉にTavor X95の銃口をカイルに向けた。**「ダダダダダッ!」**と、銃声が、研究施設全体に響き渡る。5.56mm口径の弾丸が、カイルの頭上をかすめ、壁を砕く。
カイルは、ジグザグに走りながら、銃弾を避けていく。彼は、ブラッド・ドッグの動きを冷静に分析した。彼らは、人間性を失っているが、その分、動きが単調だ。カイルは、彼らの動きを予測し、その動きを逆手に取った。
「…プシュッ!プシュッ!」
カイルは、非殺傷弾を、ブラッド・ドッグのアーマーの隙間に入り込ませた。非殺傷弾は、彼らを気絶させることはできないが、その衝撃で、彼らの動きをわずかに鈍らせる。その隙を突き、カイルは、ブラッド・ドッグの懐に飛び込み、合気道で彼らを制圧していった。
「…やったぞ、カイル!制御システムを破壊した!」
ノヴァの声が、イヤホンを通して届く。その瞬間、ブラッド・ドッグは、動きを止め、その場に崩れ落ちた。カイルは、安堵の息を吐き、ジェットとノヴァのいる場所へと向かった。
「…ジェット!ノヴァ!ありがとう…」
カイルは、二人に、心からの感謝を伝えた。ブラッド・ドッグを止めることはできた。しかし、彼らが、この先、何を求め、どこへ向かうのか。彼らの旅は、まだ、終わることはない。




