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第二十一話:最後の引鉄


カイルは、ボスの部屋のドアを開け、その銃口を、冷酷な男たちに向けた。彼の瞳には、迷いも躊躇もなかった。それは、真実を追い求める、賞金稼ぎの瞳だった。


「…俺は、カウボーイだ」


カイルは、そう言って、トリガーを引いた。


「プシュッ!」


SIG P226から放たれた非殺傷弾は、ボスのすぐ横にいた護衛兵士の頭部に命中した。非殺傷弾は、彼のヘルメットを僅かにへこませただけで、彼を倒すには至らない。しかし、その衝撃と、至近距離での発砲音に、兵士は一瞬、硬直した。その隙を突き、カイルは、もう一人の兵士の膝に、非殺傷弾を撃ち込んだ。


「プシュッ!」


非殺傷弾は、彼のアーマーの隙間に入り込み、膝の関節を粉砕した。兵士は、激しい痛みに顔を歪ませ、その場に崩れ落ちた。彼の愛銃、HK416が、床に転がった。**「ガチャン!」**という、重い音が響く。


「…何者だ、貴様は…!」


ボスは、叫び、銃を構えた。彼の銃は、SIG P229。P226の小型版であり、彼の手に馴染んでいるようだった。彼は、P229の銃口をカイルに向け、トリガーに指をかけた。


「ジェット!ノヴァ!援護を頼む!」


カイルは、叫んだ。その声に、ジェットとノヴァは即座に反応した。


「了解!照明システムをダウンさせる!」


ノヴァの声が、イヤホンを通して届く。その瞬間、部屋の照明がすべて消え、部屋は暗闇に包まれた。ボスと兵士たちは、突然の停電に戸惑い、警戒を強める。


「…どこだ!どこにいる!」


ボスが、叫ぶ。


「…ジェット、敵のバイタルを解析しろ!」


カイルは、耳元のイヤホンで指示を出す。


「…了解!…ボスのバイタル、右前方!兵士、左後方!」


ジェットの声が、カイルの脳内に響く。カイルは、その情報を頼りに、暗闇の中を移動した。彼のP226は、銃口から放たれる非殺傷弾の軌跡を、わずかな光で示している。その光は、まるで、彼の進むべき道を照らす道標のようだった。


「…そこか!」


ボスが、銃を構え、カイルのいる場所に発砲した。**「パンッ!」**という、乾いた発射音。銃弾は、カイルのいた場所をかすめ、壁に穴を開けた。カイルは、ボスの銃声で、彼の正確な位置を把握した。


「…ジェット、今だ!」


カイルは、叫んだ。ジェットは、待機していた。彼は、ボスのバイタルサインを追跡し、彼の動きを予測していた。


「…カイル、右に動け!3…2…1…!」


ジェットのカウントダウンに合わせ、カイルは、右に動いた。その瞬間、ジェットは、ボスのいる場所に、閃光弾を発射した。


「ピカッ!」


閃光弾は、部屋全体をまばゆい光で満たし、ボスの視界を奪った。彼は、目を閉じ、一瞬、動けなくなった。その隙を突き、カイルは、ボスの懐に入り込み、彼を制圧した。


「…なぜだ…なぜ、非殺傷弾が…!」


ボスは、呻くように言った。カイルは、ボスを拘束し、その銃を奪った。彼のP229の弾倉には、まだ数発の弾が残っていた。しかし、彼は、それを使うことはなかった。


カイルは、ボスと兵士たちを拘束し、警察に引き渡した。そして、彼らは、ボスのデータチップから、すべての真実を知ることになる。


ノヴァの言っていたことは、すべて真実だった。この組織は、世界中の武器市場をコントロールし、戦争を操作することで、莫大な利益を得ていた。そして、クロエは、その組織を内部から破壊するために潜入していた。ライナスは、組織を裏切り、クロエの真の目的を暴露しようとしたため、クロエに殺された。それは、クロエが、組織の計画をすべて台無しにすることを防ぐための、苦渋の決断だった。


「…クロエ…」


ジェットが、静かに呟いた。彼の瞳には、もうクロエに対する怒りや失望の色はなかった。そこには、ただ、彼女の孤独な戦いを理解し、そして彼女を信じる、深い眼差しがあった。


カイルは、何も言わなかった。ただ、静かに、P226の弾倉を抜き、非殺傷弾を補充した。彼の信念は、再び、揺るぎないものになっていた。


「…カイル、次の仕事だ」


ジェットが、端末を操作しながら言った。彼の声は、以前のように、明るく、そして信頼に満ちていた。カイルは、ジェットの顔を見つめ、静かに頷いた。


「…ああ、行こう。次の仕事へ」


彼らの旅は、続く。彼らが追うべき真実は、まだ、すべてが明らかになったわけではない。クロエは、どこにいるのか。そして、この世界の闇は、どれほど深いのか。彼らの旅は、今、新たな、そしてより危険な局面を迎えようとしていた。

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