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第十三話:戦場への準備


レガシー号の格納庫には、再び静寂が戻っていた。しかし、それは決して平穏な静寂ではない。来るべき戦いに向けた、張り詰めた緊張感が空気に満ちていた。カイルは、愛銃のSIG P226を手に取り、分解し始めた。彼の指の動きは、長年の経験からくる確信に満ちていた。銃身、スライド、マガジン…ひとつひとつのパーツを丁寧に点検し、オイルを注していく。その間、ジェットは隣の作業台で、彼らの持つすべての非殺傷弾の弾頭を精密なツールで調整していた。


「この弾頭の素材は、対象を気絶させるための衝撃を最大化するように調整する。わずか数マイクログラムの重さの違いが、結果を大きく左右する」


ジェットは、端末のディスプレイに映し出された、弾頭の3Dモデルを見つめながら、そう呟いた。


「…無駄骨になるかもしれないぞ」


カイルは、手を止めずに言った。彼の脳裏には、ライナスとの対峙が蘇る。ライナスの防弾チョッキは、カイルの非殺傷弾を完全に無効化した。


「たとえ無駄骨になっても、やらなければならない。それが、お前の信念だろ」


ジェットは、カイルの言葉に、静かに反論した。


カイルは、ジェットの言葉に、何も言い返すことができなかった。彼は、非殺傷という自身の信念と、現実の厳しさの間で揺れ動いていた。非殺傷弾にこだわることが、ジェットを再び危険に晒すかもしれない。しかし、実弾を使えば、彼は、また過去の過ちを繰り返すことになる。


「俺が過去に囚われているのは分かってる」


カイルは、そう言って、深く息を吐き出した。


「お前は、過去に囚われているんじゃない。過去から学ぼうとしているんだ」


ジェットは、カイルの目を真っ直ぐに見つめ、そう言った。彼の言葉は、カイルの心に、深く突き刺さった。ジェットは、カイルの非殺傷という信念が、過去の悲劇から生まれたものであることを知っている。だからこそ、彼は、カイルの信念を尊重し、彼を支えようとしているのだ。


カイルは、ジェットの言葉に、静かに頷いた。彼は、ジェットの信頼に、応えなければならない。


彼は、分解したSIG P226を、再び、流れるような動きで組み立てた。カイルは、銃を構え、トリガーに指をかけた。その指は、もはや震えてはいなかった。


「よし、準備はできた。いつでも行ける」


カイルは、そう言って、ジェットに微笑んだ。ジェットもまた、カイルに微笑み返した。二人の間に、再び強い絆が生まれた瞬間だった。

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