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第十話:運命の歯車


レガシー号の医務室は、生命維持装置の規則的なビープ音と、消毒液の冷たい匂いに満ちていた。ジェットは、医療用ポッドの中で静かに眠っている。彼の胸には、ライナスの銃弾が掠めた傷跡が生々しく残っていたが、致命傷ではなかった。カイルは、ポッドの横の椅子に座り、ジェットの手を握り締めていた。ジェットの意識が戻らないまま、数時間が過ぎていた。


「ジェット…!目を覚ませ…!」


カイルは、ジェットに語りかけた。その声は、震えていた。カイルの顔には、後悔と怒り、そして深い悲しみが混ざり合っていた。ジェットが危険を顧みずに自分を庇ったこと、そして、そのきっかけを作ったライナスに対する激しい怒りが、カイルの心を支配していた。


その時、ジェットの手が、カイルの手を握り返した。カイルは、驚きに目を見開いた。


「…カイル…」


ジェットの声が、かすかに聞こえてくる。カイルは、ジェットの顔を見つめた。ジェットの瞳には、弱々しい光が宿っていた。


「ジェット!大丈夫か!」


カイルは、ジェットの無事を確認し、安堵の表情を浮かべた。


「ああ…大丈夫だ…」


ジェットは、そう言って、弱々しい笑みを浮かべた。


「…馬鹿野郎!何をしているんだ!」


カイルは、そう言って、ジェットの胸を軽く叩いた。ジェットは、カイルの言葉に、さらに笑みを深くした。


「…俺は、お前を信じている。だが、俺は、お前を信じない」


ジェットは、そう言って、意識を失う前にカイルに告げた最後の言葉を口にした。


「…ジェット…!」


カイルは、ジェットの言葉に、涙を流した。ジェットは、カイルの行動を信じ、彼を助けたのだ。だが、ライナスが仕掛けた罠を信じた自分自身を、彼は信じることができなかった。


カイルは、ジェットの言葉に、すべてを悟った。ジェットは、カイルの行動を信じ、カイルが非殺傷弾しか使わないことを知っていた。だからこそ、彼は、ライナスに近づき、非殺傷弾を放ったのだ。それは、カイルがライナスを捕らえるための、ジェットなりの作戦だった。


「…ジェット、ありがとう…!」


カイルは、そう言って、ジェットの手を強く握り締めた。

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