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初めてのパーティー

「初めてのゲームをこれに?」


「はいっ!」


「ここは民度も悪くないからゲーム初心者には向いてるかもな」


そんな会話を冒険者ギルドに着くまでしながら歩いていた。職業は勝手に魔道士だと彼等は勘違いしており、彼女もまた職業の話はしなかった。


「冒険者ギルドにはパーティーでしか受けれないクエストがあるから、それを受けてくれませんか?」


「え、えっと……どうやって受ければ良いんですか?」


「もしかして初めて中に?」


「ご、ごめんなさい、色々してたらチュートリアルクエスト?が出なくなっちゃって」


「いや……大丈夫です、自分が受けて来ます」


「パーティー用のクエストは難易度は少し高くなるが報酬は良いからな」


ゴローは首を傾げるも、一旦置いといて掲示板から紙を一枚受付に渡してクエストを受けた。


パーティークエスト・ニードルラビットとプチスライムの群れの掃討

達成条件:ニードルラットの全滅

失敗条件:プレイヤーの全滅

報酬:1100ルーブ×3

説明:偶然にもニードルラビットとプチスライムの群れが発生したようだ。群れていることによって強さが少し増しているので注意が必要だ。


どうやらこのクエストは一人1100ルーブ貰えるようだ。


「頑張ってみます」


「そう気を負わなくて大丈夫ですよ、後衛を守るのは僕ら前衛の役目なんで」


「援護は頼んだ」


「はい!」


元気よく頷き、彼女たちは街の外である草原エリアへと向かって行った。巨大な門を通るとそこは晴天で現実ではそう見れない場所だ。


「外に来るの2回目だが最新のゲームなだけはあるな、グラフィックが現実に近い」


「すごいです……」


周りを見渡して、凄さに圧倒されていた。こんな広い草原を歩けるなど彼女にとっては嬉しさでいっぱいなのだ。


「とりあえずそこら辺に群れが発生してるはずなので、それを見つけましょうか」


「分かりました」


「パーティーで戦うのは俺らも初めてだから、何かあったら言ってくれたら助かる」


「私も足を引っ張らないようにします」


ロックンは少し大きめのハンマーを持っており、如何にもパワータイプだ。ゴローは短刀を装備している。


少しするとゴローは群れを発見した。小さい青色のぷるぷるとした生命体と、頭にデカいツノを生やした大きめの兎が合わせて十を超えていて、囲まれると辛いだろう。


「コイツは攻撃力が高い戦鎚士、自分は敏捷が高くて索敵が出来る斥候なんで前は任せてください。自分が群れに飛び込むのでミノさんは良い感じに魔法をお願いします」


「戦う前に先に鑑定をして良いですか?」


「どうぞ」


彼女は鑑定を唱え、敵を確認する。


【種族名】ニードルラビット

【攻撃方法】刺突、突進


【種族名】プチスライム

【攻撃方法】突進、合体


今回も情報は少ないが、攻撃方法は知ることが出来た。これを元に立ち回ることになるだろう。


「あ、忘れてた、プチスライムは複数でいるとたまに合体して強くなるんで気をつけてください」


「合体ですね、分かりました!」


「それでは行きますよ!」


「きゅきゅ!」


ゴローが先陣を切り、群れとの戦闘が始まった。彼はその素早さを生かし群れの中へと入り込み、ヘイトを集めるようだ。


少し遅れてロックンとミノも到着する。


「『パワースタンプ』! 吹っ飛べ!」


ロックンも高威力の戦鎚をスキルを使って振り回し、蹴散らしていた。ミノも負けじと魔法を準備する。


「ふぅ……『アルカナドロー』!」


「な、なんだ……?」


立ち位置上、ミノの近くにいたロックンが最初に気づく。マジックアローなど初期魔法を使うと思っていたのに、聞いたこともない魔法と特殊演出が浮かんでいるのだ。


彼女はそんなことは気にせず、次の段階へと移る。


「次は、『アルカナセット・愚者』『アルカナセット・魔術師』!」


そう唱えると先ほどと同じように、杖と銅杯が装備されている。


「ゴローさん! 危ないかも知らないので少し下がってください!」


「わ、分かりました……?」


「何をするんだ……?」


「『マジッククリエイト・石』」


ゴローは不思議そうにしながらも大人しく引くと、複数の先ほどと同じ大きさの石が群れへと射出される。


あの時のゴブリンですら一撃で死に至らしめた石は、プチスライムとニードルラビットを粉砕していたのだ。


「何だあの魔法は……」


「自分も知らねえ……」


「っと危ねえ?!」


その光景に意識を奪われていた二人の内、ロックンが危うくニードルラビットの突進の直撃を喰らいかけていた。


その合間も、少し群れに接近して泥の射程範囲へと近づける。


「『魔泥の銅杯』、動きを鈍くしたのでお願いします!」


「わ、分かった、『パワースタンプ』!」


「わ、分かりました……?」



群れの半分ほどが泥を浴びてしまう。その隙に戸惑いながらも彼らは敵を確実に減らしていく。彼女も彼らが撃ち漏らしたものを狙い撃ちしていた。


するとプチスライムたちが一箇所に集まり始めたのだ。


「不味い、ラージスライムになりますよこれ!」


「他のプレイヤーが戦ってるの見ただけだし、ミノさんのおかげで楽とは言え少しキツイか……!」


「わわっ、大きいスライム……」


「ミノさん! 自分らが群れの相手をするのでラージスライムをお願いします!」


プチスライムたちは合体し、数メートル大のラージスライムと言われる魔物へと変貌していた。


「や、やってみます!」


本来なら魔法職一人では厳しい相手だが、彼女はドキドキしながらも構えたのだった。

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