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ノヴァル占い館へ

ノヴァル占い館を探すため彼女は歩き始めるも、手がかりは無に等しい。大通りの探索を一旦諦め、道具屋へと戻ってきた。


理由は店員のお姉さんなら何か知っているかもしれないからだ。


「すみません、この木箱に書かれてあるノヴァル占い館は知ってますか……?」


「ノヴァル占い館……確認しますので少しお待ちください」


そう言って店の奥へと行き、数分後に戻ってきた。


「申し訳ございません……これはキット商会から入荷したものでして、そこから何か分かるかもしれません」


「そうですか……ありがとうございます!」


「こちらこそそちらの商品を買っていただきありがとうございます、他の冒険者様には売れないので……。キット商会はここを出て右に真っ直ぐ行ったところにございます」


「分かりました!」


やっと進展があり、彼女は少し喜びながら道具屋を後にする。そして店員に言われた通りに進んでいくと、そこには確かにキット商会と書かれた建物がたった。


ここは値段は割高だが、もう一つ先の街の商品を買えるところである。所持金が200ルーブしかない彼女には関係がない話だ。


そんなことは知らずに恰幅が少し良さそうな男の店員に声をかける。


「すみません、このノヴァル占い館がどこにあるか分かりますか?」


「そうですねぇ……先ずそれはどこで購入なされましたか?」


「えっと……ここから左に真っ直ぐ行ったところにある道具屋さんです」


「あそこですか、それ以前に街の外に行ったりは?」


「してないです」


「冒険者ギルドの中には?」


「近くまで行っただけで入ってないです」


少し首を傾げつつも、素直に答えていく。この後も直近の行動を複数聞かれ、全て答え終わると何か少し考えるような素振りをした。


「ふむ……少々お待ちください」


「わ、分かりました……」


彼女は少し不安になりつつも、大人しく待っていると奥から声が聞こえる。


「お客様、奥へと来てもらえますか?」


「は、はいっ」


カウンターから奥へと行くための扉が開かれていた。彼女はまた不安を覚えるが、意を決して奥へと向かう。


奥は応接室のようになっており、二つの革のソファーがテーブルを挟み込むように置かれていた。片方には既に店員が座っている。


「そこにおかけください」


「ありがとうございます」


「さて、結論を先に申し上げますとあの木箱はノヴァル占い館に入るためのチケットになります」


「チケットですか?」


「えぇ、ただそれを持っているだけではいけません。この街に来てそう時間が経たない内にその木箱を購入し、冒険者ギルドや街の外に出ない方のみ入る資格を得られます。過去に資格を得られた方はおられません」


「なら、ノヴァル占い館の場所を教えてもらえるんですか?」


「もちろんです、なにしろ我々の商会はその役目がありますので。それではご案内します」


そう言って店員は指を鳴らすと、入ってきた扉の反対側の壁に扉が急に現れた。


「と、扉が急に……」


「驚きましたかな? そこを道なりに歩くとすぐに着きますので。……どうか貴女の旅路が良きものになることを願います」


「あ、ありがとうございます!」


彼女はお礼を言い扉を開く。その先は建物に囲まれた裏路地のようになっていた。言われた通り道なりに進んでいくと、扉が半開きになった怪しげな館ようなものが見える。


「ここ、だよね……」


恐る恐る扉を覗くと……。


「お、お邪魔しま」


「老い先短いババアを待たすとはなぁにやってるんだい!! 早く入ってこいってんだまったく!!!」


「きゃぁっ?!」


馬鹿でかい老婆の声と同時に、黒いモヤに掴まれ館の中へと連れ去られてしまったのた。

読んで頂きありがとうございます。やっと次話から本題に入れそうです。

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