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旅路の始まり

「本当ですか?!」


天鳴実乃(あまなり みの)と書かれた名札が見える病室から、幼なげな少女の声が聞こえてくる。中には複数の機材にベットと、そこに白髪の十六歳ほどの少女が寝ていた。


その横には医者の姿があり、こう伝えている。


「えぇ、天鳴さんに是非と最新のVR機材とゲームの寄付がありました。なんでも原因不明の下半身麻痺の子供でも、自分たちのゲームで歩ける感覚を擬似的にでも体験して欲しい、と」


「喜んで受け取りたいです!」


「分かりました。もう直ぐセットが出来る方が来られるので、それまでお待ちください」


見る人を微笑まさせるような明るい笑顔を浮かべ頷く。彼女は両親を早く亡くし、その後過去に症例がない下半身麻痺になってしまっていた。


白髪もそれに伴ってそうなってしまい、入院費などは色々な所から出ているものの、精神や言動は年齢に対して少し幼いままだ。


なおVR機材とゲームは普及しているとは言え、それなりの値段がし、販売方法も抽選して当選者のみが買えるのが一般的だ。それをゲームの制作会社から貰えるのは幸運だろう。


「まだ夢の中なのかな……? 占いごっこも楽しかったけど……VRの世界も楽しみ!」



彼女の机には大アルカナと書かれた箱があり、中には二十二枚のカードが入っていた。彼女は暇つぶしのため、意味を覚えて占いの真似事などをよくしている。


人懐っこさがあり、医者や看護婦からはよく気にかけてもらえている。少しすると医者が言っていた人が入り、諸々の準備がスムーズに済んでいく。


十分後にはゲームが始められる状態になった。


「それじゃぁ、行ってきます!」


彼女はそう言うと、電源を入れ直して現実の意識がなくなる感覚のあと、真っ白な空間で目が覚める。するとすぐに機械的な声が聞こえた。


『ファンタジオシードオンラインへようこそ、キャラメイクを開始する前に世界観などについての説明は必要ですか?』


「は、はい!」


『分かりました、ファンタジーシードオンラインはVRMMOとなります。他のプレイヤーとの関わり合いや大きなイベントもよく各地で起こっています。舞台となる世界は現実で言う中世ヨーロッパくらいの文明で、人間以外の種族や魔法もございます。種族はエルフやドワーフ、変わり種はガス生命体などが存在しています。これらは一部を除きプレイヤーもなることが出来ます。広大な世界の中で開拓するもよし、冒険するもよし、1つの王となるのもよし、未知を追い求めるのもよし……ですが、プレイヤーを阻む幻想種呼ばれる魔物などが多数存在しています。そんな中で自由に旅をして行くことになります。』


「ふむふむ……」


『それではキャラメイクを開始します、初めに名前を……』


準備をしてくれた人から事前に聞いた通りに進めていく。本名を使ってはいけないや、変な人に着いて行っては駄目など、色々なことを教えていた。


なお途中から彼女に絆されたのか、仕事だからではなく本気で心配と応援を込めて過保護なくらい色々していた。


キャラメイクは順調に進んでいき、数分後にはステータスが出来ていた。


【名前】ミノ

【種族】人間 【職業】魔道士 LV1

【最大HP】100 【最大MP】50(+5)

【筋力】5

【知力】10

【耐久】5

【器用】5

【敏捷】5

【精神】10

【幸運】10

【所持スキル】〈初級魔法LV1〉〈最大MP小上昇〉〈鑑定〉

【装備】武器〈木の杖〉〈無し〉頭〈無し〉胴〈布の服〉足〈布のズボン〉靴〈革の靴〉手〈無し〉装飾品〈無し〉〈無し〉〈無し〉


彼女はこのステータスを見ながら、教えられたことを思い出すように呟く。


「えっと……魔道士は知力と精神と、ちょっとだけ幸運を増やせば良いって言ってた。最大MP上昇と鑑定はレベルがないスキルで、魔物?を見たら一旦鑑定をすれば良かったはず……」


VRMMOどころか、ゲーム自体をやったことがない彼女だが、新しい知識をどんどんと覚えていく。アバターの方はリアルと差はあまりない。


目の色が緑と青のオッドアイになっている程度だ。背も百五十にも満たない。


『キャラメイク、お疲れ様でした。質問などはございますか?』


「ないです!」


『分かりました、では始まりの街へと転送します。初めはチュートリアルとして幾つかクエストが出ているのでそれをやるのが良いでしょう。では、良き旅を』


「な、なんだか緊張してきちゃった……」


そうして彼女はファンタジオシードオンラインへと足を踏み入れる。この旅路が波乱と未知に溢れたものとは知らずに。

読んで頂きありがとうございます。リハビリ作ですが良ければブックマークお願いします。

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