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出会いはもっと美しくあれ





 四月。今日から学校が始まる。春休みが終わりいつの間にか俺、坂井哲平は高校2年生だ。

春休みの間毎日昼間で寝ていた俺は早起きするのが辛かった。久しぶりに制服に袖を通し学校に向かう。学校の近くのコンビニで大澤と待ち合わせをしていた。

「やばい緊張してきた。」と大澤が胸に手を当てながら言ってきた。

「いや俺もだよ、下がってたらまじで親に殺される。」大澤とは去年同じクラスだった友達だ。俺は地元から少し離れた高校に行ったので最初知り合いが全然おらず困っていたが、美術の席で大澤に話しかけられ仲良くなった。俺と大澤は2人とも成績が悪くコースを落とされそうになっていた。

「まあ大丈夫なことを信じようぜ!」前向きなことを俺は大澤に言って2人で学校に向かった。



駐輪場に着き昇降口のほうを見ると人が群がって騒がしかった。クラスの数字が8以下だった場合下のコースに下がっていることになる。

「やばいマジでヤバイ手震えてきた」

「俺もだよ。いやでも大丈夫だ信じよう。」

「哲平が残って俺だけ落ちてることだけはマジで勘弁して」2人でゆっくりと昇降口のほうへ近づく。

すると去年同じクラスだった芝崎寮と神田元が2人でニヤニヤしながらこちらに近づいてきた。

「もう絶対どっちか落ちてるやん」2人の顔を見て大澤は言った。

「いやまだわかんないって早く見てきな」すべての結果を知っている寮が笑いながら言ってくる。

昇降口に着いた。

「どっちから見る?」

「10組から見よう」と俺が言い2人で見ていくのを、

寮と元は後ろで見ていた。目で丁寧に一人一人の名前を確認していく。9組が見終わりそうなところで横で大澤が崩れ落ちていた。僕は寮と元と同じ7組だった。



8組の大澤を見送り僕らは向かいの教室に入る。

すると「えー!よしゆういるやん!」俺の声が教室に響いた。

「最強クラス来たぞこれ!」寮が言う。

俺と寮とよしゆうは同じ校内塾に通っていて、1年の時から知り合いだ。

「よろしくお願いします神田元です。」

「こちらこそ、吉田祐樹です。よろしくお願いします。」

よしゆうと元はこの日初対面であった。

「なんだよその挨拶」寮が堅苦しい2人を見ながら言う。

仲良く4人で話していると元が周りを見渡しながら、

「結構このクラス可愛い子多いぞ」

「まじで?そういえば確認してなかった」寮も体を反転させ見渡す。

「お前ら教室着いた瞬間その話かよ。でも俺の推しの吉澤さんいないなー」

「哲平去年からずっと推しだなその子。まってあおいちゃん今年も一緒だ!」寮が興奮している。

「今年こそアタックしろよな芝崎。結局終業式も写真撮ってくださいって言わなかったんだから」元が怒りっぽく言う。

「今年はマジ任して!まずは5月の遠足で絶対写真撮る」

「またどうせ無理だよこれ」よしゆうが笑いながら言う。

「本当だよ!本当!」

「誰が最初に彼女作れるか勝負だな今年は」

「お、いいね元それ絶対俺だけどな」

「馬鹿か俺だよ」色々話していたら時間になったので席に着く。

先生が入ってきた。

「はーい座って~」

「まじかまた富田かよ。」後ろの席の寮に言う。

「また数学赤点だこりゃ。」

富田の授業はあまりにもわかりづらいしつまらない。授業の時はクラスの半分近く夢の世界に入っている。だがその点厳しくはないし、めんどくさくないので担任の評価としては、可もなく不可もなくってところだろう。

ホームルームが終わって配布物などを配り今日は解散だった。

「うわーとうとう明日から始まるのか授業が」伸びをしながら元が言う。

「しかも1限みて化学だってよ」

「終わりだこの世の。もう行きません。」そんな話をしながら荷物をまとめる。

「寮今日部活は?」俺が聞くと

「今日休みー。久しぶりのオフだぜ」

「じゃあ帰ろうぜ。よしゆうどうせバト部今日もいかないでしょ?」

「行かないけど今日用事あるから先3人で帰ってていいよー」

「あそーなん?じゃあ先帰ってるわ」

「おうまた明日―」3人で教室を出る。

駐輪場のほうに向かう。

「明日からチャリ止める位置変わるのかー」

「えそーなん?元それ誰が言ってたの?」

「さっき富田が言ってたよ。哲平何も聞いてないやん」

「あいつの言ってること聞く気にならんやん」

「明日からどこ置くか確認しとかね?」

寮にそう言われ場所を確認する。位置がだいぶ変わった。だが少し去年より昇降口から近くなった。

「場所忘れそうだなーこりゃあ」元が心配そうな顔で何度も確認していた。

「元すぐ忘れるからなー」寮がからかうように言う。

「大丈夫っしょさっき確認したし。とりあえず早くラーメン行こうぜ。」

この時もし元と同じように何度も置き場所を確認していたら、運命は変わっていたかもしれない。



次の日俺は朝一人で登校していた。学校に着き新しい駐輪場にチャリを置き教室に向かう。教室に着くと、もうみんな来ておりよしゆうの席の周りで何か話している。

「おはよう何話してるん?」

「哲平聞いてよこいつ昨日用事あるって言ってたやん?」さっき起きたみたいな顔した寮が俺に言ってくる。

「言ってたな何だったんだ?」

「その用事女の子だったんだよ!俺らと帰る約束無くしてこいつは、こいつは女の子と遊んでやがったんだよ!」

「寮声でかいやめて」よしゆうが冷静に寮を止める。

「許せない、俺らが暑苦しく男3人で帰っている中許せないぞ!」隣にいる元も寮と同じく怒っている。「たしかにそれは許せない俺らに内緒で」俺が言うと

「違うよ話すタイミングがなかったんだもん」

「で、その女の子は誰なんだ?このクラスか?」元が聞いた。

「そう」

「なにー!」全員で目を丸くした。


去年の2月にバレンタインを貰ってからずっと連絡を取り合っていて始業式の日に遊ぶ約束をしていたらしい。

「まさか同じクラスになるなんて思わなかったよ」

「どの子なんだ?」寮が聞く

「今前のドアの横で話してる女子たちの一番右にいる子」

「あの子見たことあるぞ!部活やってるとき!」

「加奈も言ってたよ。寮の事見たことあるって」

「え、まじで!認知してくれてるの!」

「いつもボール拾いしてる人で覚えられてたで」

「おいふざけんな加奈」

「結構可愛いじゃないかよ加奈ちゃん」元が小さめの声で言う。

俺も加奈ちゃんの方を見ていると隣にいる人と目が合った。

会った瞬間何かを感じた。

そのまま3秒ほど目が合ったが俺からそらした。何か起きそうな予感。不思議な感触があった。


あっという間に朝の時間が終わりチャイムが鳴る。午前の授業を受け終え昼休みになった。

寝ている寮を起こし食堂に向かおうとすると今朝自転車のハンドルにお弁当袋を引っかけたまま教室に持ってくることを忘れたことに気づく。

「先行って席取ってて」と3人に言って急いで駐輪場のほうに行った。昼休み終わりの混雑した廊下をかき分けながら向かいなんとか駐輪場に着く。お弁当袋は無事でハンドルに引っかかっていた。お弁当を取り食堂に向かおうとした時

「あなたですね!」急に声を出されてびっくりした。8歩前あたりに朝目が合った女の子が立っていた。「はい?」

「お弁当をこの時間に絶対に取りに来ると思ってました。あなた自転車置く場所間違ってますよ。」

「まじですか」僕は慌てて番号を見る。

「まじですよ。そこじゃないです。あなたが止める所は」

番号を確認すると全然違うところに止めていた。朝寝ぼけていたのか。

「あなたのせいで朝困ったんですけど」彼女は鬼の目でこっちを見てくる。そんな怒ることかと思いながら俺は謝り自転車をあるべき場所に戻した。

「明日からは絶対間違えないように」彼女はそう俺に言って去っていった。


毎週水曜日に投稿するので次週も良かったら続き見に来てください!

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