ちっちゃいおじさん
ちっちゃいおじさん
ある日、妹が泊まりに来た。
翌日の朝、夫はすでに家にいなかった。
出勤すると言っていたし、私はいってらっしゃいと言って二度寝したから、家に私と妹だけなのは間違いなかった。
しかし、家の中から、かすかに中年男性の声がしていた。何を言ってるかは聞き取れなかった。
妹を起こさないように気をつけながら、携帯を取った。すぐに夫にLINEした。
私『家の鍵かけた?』
夫『かけたよ。どうしたの?』
私『家の中から、男の人…ていうか、おじさんの声がするんだけど』
もし、誰か知らない人が入り込んでたら、警察呼ばなきゃと思った。
心臓がバクバクした。
携帯を握りしめたまま、私は足音を立てないようにして、声の先に向かった。
この時点では、まだ勘違いもあるし…と思ってた。
でも、夫の部屋の中から、呟き声が聞こえていることがハッキリ分かった。
静かにドアの前まで近づいて、耳をそばだてた。
それが…なんだか、変なことを言っていたのだ。
「ま〜た汚くしやがって!」
「俺がこんなに頑張ってるっていうのに〜!」
「あいつ、本当にしょーがないなあ!」
「なんで俺の気持ちが伝わらないんだ〜!」
…って…。ぷりぷり怒ってるのだ…。
声が小さくて、不思議に感じたのをよく覚えてる。
私は、ずっとこのままではいられないと考えた。
妹はまだ寝てる。私が守らなきゃと思った。
心を決めて、ガチャッとドアを開けた。
「あ、やべ!」
と、おじさんの声が聞こえた。
とてもとても小さな何かが、床に落ちてた夫の服の隙間にジャンプして入ったのが見えた。
本当に一瞬だった。
私はすごく怖くて、びっくりして、後ろ向きに飛びずさってしまった。
その物音で、妹が「どうしたの?」と起きてきたのだ。
私は今あったことを話した。
妹は、「それって、『ちっちゃいおじさん』じゃない!? 」と目をまん丸にしていた。
ち、ちっちゃいおじさん…!?
なにそれ…!?
私は知らなかった。
妹はよく知っていて、都市伝説のひとつだけど、有名人も見たことある人いるんだよと教えてくれた。
本気で不審者とか泥棒かと思ってたから、冷や汗めちゃくちゃかいた。
その後の私と夫のLINEが、以下だ。
私『部屋にちっちゃいおじさんいたよ♡♡』
夫『よかったね!』
のんき〜〜〜!(笑)
ちなみに、妹と一応探したけど、ちっちゃいおじさんは見つからなかった。
これが、この冬にあった一番のびっくりなお話。
後日談としては、ネコちゃんが夫の部屋にめちゃくちゃ入りたがること。
何も無いところに向かって駆けていったり、じっと見てたりすることです。
おじさんと遊んでるのかな?(〃ω〃)
1作品目なので、眠れないくらい怖いのはやめました!