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気が強い高嶺の花は夢の中では僕の恋人  作者: nite
夢と現実の彼女の話

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自分で答えが出ないなら、他人に意見を聞くのもよい

 最近のひうちゃんは恋する乙女だ。周囲の男子は、ひうの顔とかばかりを見てるせいで気づかないけど、ひうは確実に彼氏くんに恋している。

 いや、恋をしようとしてる。でも、ひうの家の事情もあってか踏み出すことができてないみたい。


「あれで付き合ってないなんて嘘でしょ」

「覗き見はよくないですよ」


 コノちゃんに怒られるけど、私は目を離すことができない。あんなに幸せそうなひうの顔、見たことがないから。

 ひうちゃんは、実際のところ私たちにも一歩引いた距離で話している。彼氏くんは気が付いていないけど、私たちよりも彼氏くんの方が断然距離が近い。


「行きますよりんりん」

「…はーい」


 私たちの方が長い付き合いのはずなんだけど…なんか、悔しいなぁ。


……


 去年は夜にひうに連絡しても、それなりにちゃんと返ってきていた。でも、最近はひうが寝るのが早いみたいで、返事がない。

 少なくとも、ひうちゃんは寝てるって言ってる。でも、本当は彼氏くんと連絡してるんじゃないかなって思ってる。前は落ち込んでる日とか、機嫌が悪い日とかあったのに、最近はずっと上機嫌な日が続いている。彼氏くんがメンタルケアしてくれてるんじゃないかなー。


「悔しいよー!」

『このためだけに通話をかけてこないでください』


 今はコノちゃんとお話し中。前はグループ通話でひうも一緒に話してたんだけど…今夜も、返信も既読もなし。

 だから今夜もコノちゃんと二人っきりで会話をする。でも、そもそもコノちゃんは勉強してるせいであまり話してくれないからつまらない。


『いいじゃないですか。ひうの現状を憂いていたのはりんりんも一緒でしょう』

「そうだけどそうじゃないんだよー。もちろん彼氏くんがいてくれるのはいいけどさ、できるなら自分たちで支えてあげたかったじゃーん」


 ひうとよく話すようになってから、ひうを取り巻く環境について知る機会があった。それを知って、私もコノちゃんもひうを助けたいと思うようになった。


 学校で話しているだけで助かってるってひうは言ってたけど…やっぱり足りなかったんだと思う。だって、私たちはまだひうの家を知らないし。


「それにさ、彼氏くんっていつから彼氏くんになったか知ってる?」

『さあ。ひうはあまり話しませんので』

「そうなの!あんなにラブラブになるタイミングなんてなかったはずなのに、どんどんラブラブに…」


 ひうと男子が知り合うルートは、告白以外だと私たちからの紹介くらいしかない。ずっと告白を断っていたひうなので、彼氏くんに限ってオーケーする理由はないはずなんだけど…


 もしかして一目ぼれ?でも、ひうは他人のことをあまり信頼してないから、一目惚れなんてそうそう起きないと思うんだけど…


「一目惚れってあると思う?」

『ひうの話をしているのなら、ほとんどありえません。正直、私は彼にそこまで魅力を感じてないので』

「淡泊だねー。私は彼氏くんのこと気に入ってるよ。優しくしてくれそうじゃん」


 特に、ひうには共依存に近い関係のほうが安定すると思う。ひたすら甘やかしてくれるような彼氏とは相性がいいはず。

 でも、ただ甘やかすだけなら今までの男子にも存在していた。お金でひうを釣ろうとした人もいたくらいだ。


「実はひうが催眠に…」

『馬鹿な話をするのなら切りますよ』

「ごめんごめん」


 そんなことするような人じゃないことは、今までの関わりからわかってる。催眠なんて存在していたら、今頃ひうはどこかの悪い人に催眠されてる。


「でもさ。やっぱりおかしいよ」

『何がですか?』

「どう考えても、彼氏くんとひうちゃんの知り合う方法がわからないよ!」


 ぽっと出すぎる。


 土日は、結構私はひうと遊んでいた。あまり家にはいたくないっていうから、結構な頻度で出かけた。それなのに、二人はまるで毎日会っていたかのような仲の良さだ。


『他人の恋愛事情にあまり首を突っ込むものではないですよ』

「わかってるけどさー」


 私たちはひうのことを大切に思っている。悪い男に捕まるくらいなら、私たちがひうのことをもらうくらいには大切にしている。

 だからこそ、彼氏くんの見定めはしっかりしたいのだ。ひうはたまに自分自身のことが分からなくなることがあるから、私たちが見極めてあげないといけない。


『そこまで気になるのなら本人に尋ねてみればいいでしょう。ここでどれだけ議論したところで、答え合わせをしてくれる人はいませんよ』

「…それもそうだね!明日ちょっと聞いてみる!」


 一応彼氏くんの連絡先も知ってるけど、多分ひうと同様に対応してくれないと思う。


 正直な話、私もコノちゃんも彼氏くんのことは信用してるけど、全部を信用してはいけないってことを理解してる。

 ひうの親がいい例だ。親の仕事はしているけれど、それ以上に闇の部分が多いのだから、ひうは他人を信用できてない。


 そんなひうが、心から信用している彼氏くんのことを疑うのはあまりしたくないけど…ひうを不幸にはさせないんだから!

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