第9話孤児院
そうあれは俺がまだ物心つく前だった。
俺は生まれてわずか数カ月で孤児院の前に捨てられていたのをおばあちゃん先生と慕われていた先生に拾われた。
これは俺が中学生になって聞いた話だが最初来た時は泣きやむことがあまりなかったらしいけど、おばあちゃん先生がちゃんと世話をしてくれていた。
来る日も来る日も泣きやまない俺のためにおばあちゃん先生は色々な事をしてくれた。
そして段々と成長していく俺を見ておばあちゃん先生もうれしかったのだろうか。
小学校の入学式にこう言われた覚えがある。
「元気に育ってくれてありがとう。」
と桜が咲く木の下でハグされ言われたこと。そして中学に上がり、色々なプレゼントをもらったこと。
この施設を出るまでに恩返しができればなと色々と考えていた矢先にあんな事件が起こるなんて思いもよらなかった。
ちょうど部活から急いで孤児院に帰るとそこには立ち入り禁止のテープが孤児院の周りに貼られており警察と消防隊が現地で消火活動などを行う中、俺は立ち入り禁止のテープを潜り抜けて燃えている孤児院に入ろうとしていたが警察官が「危険だから下がって」と体で取り押さえられた。
あの炎の中に俺を大事に育ててくれた先生がいるのに...
どんだけ手を伸ばしても届くことなんてなかった。
自分の愚かさを実感した。
燃え尽きた孤児院の残骸の中でひたすらに探した。
探しているとその残骸から先生が大事に着けていたペンダントがあった。
そのペンダントを開くとそこにはちいさな白い紙がはさまっていた。
その紙を開いてみるとそこには俺の事をつづっている文章が書かれていた。
その文章に目を通していると目から大粒の涙が流れた。
その手紙を握ったまま泣いていると背中をそっとなでる男がいた。
その男は俺に向かってこう言った。
真実を知りたければ刑事になれ、そしてこの事件の犯人を必ず自分の手で捕まえろ
そう言い男は立ち去った。
To be continued