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【無限の器の冒険譚】  作者: 荒木刑
第三章:無限の器、竜を廻る。
35/54

【上位魔族との邂逅。魔剣砕ける】

皆様お久しぶりです。ローテーションで今回はリーオ編となります。

万全ではない状態で魔族と戦うことになるリーオとアゲハは、このピンチを脱することが出来るのか?

次回はシェラン回です。


三月は色々ありまた投稿が遅れると思いますが、気長に待っていただければと思います。

_____『一閃(いっせん)』ッ!


居合で引き抜いた黒い刀身が、目の前にいた魔物の身体を袈裟に切り裂き、さっきまで命だったものが辺り一面に広がっていった。


その上を縮地で通り抜けながら、俺は森の中を見える黒い魔力の線に従って進んでいた。その途中では、先程のように魔物をすれ違いざまに切り殺したり、黒銃で脳天を撃ち抜いたりしながら線を辿っていた。



《ねぇ、ご主人?》

「ん、なんだ?」



肩に捕まっているアゲハの問いかけに応えながら、周囲に魔力感知を張り巡らせ、少しでも黒い魔力の強い方、魔物の多い方へと進んでいく。



《今使ってる剣で上位魔族を斬れるの?》

「……正直、キツイな。」

《ならどうしてそれを?》

「…今俺の手持ちにはコイツ以外に使えそうなものがないんだ。」

《…え?》



今使っているこの≪魔剣レムレース≫は、過去に一度刀身が砕けたことがありそれを修復し、付与されたスキルが使えるまでになっている。しかし、一度壊れしまったからか付与スキルのランクが下がり≪不死殺し≫から≪魔物殺し≫に下がってしまっている。


アゲハが心配する理由は俺にもわかる。正直な話、魔族と戦う時、さらに言えば上位魔族と戦うとなればヴァールのような神剣クラスの力が必要になる。しかし、今俺の手元にヴァールはいない。

ならば他に使えるものをと空間の中を探ってみたが、残念ながらこのレムレース以外に使えそうなものはなかった。


そのことを説明するとアゲハは…



《……そっか…じゃあ、ボクが頑張らないといけないね。》

「……そうだな。魔法が飛んで来たら頼むぞ。」

《うん。》



そう二人で役割分担をしながらすれ違う魔物の首を撥ねていく。飛び散る汚らしい魔物の血が頬にピピッと筋になる。縮地でその場を離れながら頬に付いた赤黒い血の筋を手の甲で拭う。


にちゃっという嫌な感触と共に鉄臭いような生臭いような、そんな嫌な臭いが鼻を突いた。



……やっぱり、魔物の血肉は臭ぇな。



少し顔を歪めながら、それでも前へ進んでいく。地面を這う蛇のような低い姿勢で草木の生い茂る森を突き進んでいくと、ようやく今まで見えていた黒い魔力のたまり場にたどり着くことが出来た。



「ッ!着いた…!」



そう気づいた俺は直ぐに『隠蔽』と『消音』を自分とアゲハに掛け、近くの茂みに身を隠し、様子を窺うことにした。



…いや、少し遅かったか?



そう感じた俺は、こちらへ飛んでくる黒い魔力に向かって黒銃を撃ち放って、茂みから転がり出た。その直後、つい先程まで俺がいたところが突如爆発を起こし、周囲の木々を薙ぎ倒した。



「…おぉ、あれが『黒魔法』ってやつか…。」

「_____正解だよ、器君。」

「ッ!」



いきなりかけられた声に反応して腰のレムレースを抜き放ち、眼前に構える。嫌でも分かる。今目の前にいるこの者どもが≪上位魔族≫なのだと。


人間と同じ、いや近い容姿、額から伸びる黒い角、竜のような翼の生えたその姿はまさに『魔』を具現化したような姿だった。


肌で感じるどす黒い魔力、そして肌を刺す冷たい氷獄の様な殺気。流石は魔族の中でもごく少数しかいないと言われる上位魔族、そしてそれが目の前に三体も…いや、うち一人だけだな上位魔族は。後の二人は通常の魔族か…。



「君の魔力を感じたときはまさかと思ったけど、本当に会えるとは思いもしなかったよ。」

「…やっぱりそっちでも【無限の器】ってのは有名なのか?」

「まぁ、ある程度はな。俺たち魔族にとっても竜っつうのは怖い存在なのさ。」

「しかしびっくりしたよ!まさか無限の器が君みたいな子供なんてねぇ!」



……随分流ちょうに喋るな。本来海を隔てた大陸で暮らす魔族はこちらとは別の言語を話していると聞いていたんだが…これは間違いだったのか?



「……なら、俺がここに来た理由も把握してるよな?」



そう魔族に問いかけながら奴らに見えないように膝のホルスターに差してある黒銃に手を添え『隠蔽』と『透明化』を掛けておく。



「…何故、そう思う?」

「俺がこの場所に来たことを、アンタらは把握していたわけだ。ならその理由まで算段がついている可能性が高いだろ?」

「……確かに、考えはしました。が、それらしい答えは見つからなかったんです。」

「そうか、ならざんねn」

「だっておかしいじゃないですか。ただ『転移』に干渉されただけのアナタにここに来る理由も何もあるわけないでしょう?」



……そこまで分かってやがるのか。本当に厄介な奴らだな。さて、言葉での駆け引きはこの辺で終わりにしようか。



「……そこまでバレていちゃあ仕方がない………ッ!」



俺は低い姿勢のまま『縮地』を使って一呼吸の内に一番近かった小柄な魔族との距離を詰め、『魔力撃(龍)』、『一閃』、『心眼(真)』を組み合わせた横なぎで先手を打つ。



「_____フッ!!」



完全に隙を突いた一撃。普通なら反応もできずに首を撥ねられてくれるものなのだが、やはり上位魔族は格が違った。



「おっと!」



俺が視界から消えたことを認識すると同時に魔族が生まれながらにして持つユニークスキル『魔眼(まがん)』で危険範囲を測定し、その範囲から完璧に出られるだけの距離を取る。


そうすることで俺の初撃を完璧にいなした。



「チッ!」



初撃を躱された俺はすぐさま身体を回転させ、『魔力撃(龍)』、『昇流』を組み合わせた二撃目を放とうとした。


_____しかし次の瞬間、俺の身体は宙を舞っていた。


完全に理解できなかった。先程まで次撃を放つ態勢になっていた俺の身体は空中に放り出され、身体の自由が利かなくなっていた。


さらに脇腹に感じる強い衝撃と鈍痛が俺の頭をさらに混乱させた。



「_____ガハッ!?」



口から血の混じった息を吐きながら、攻撃を受けたであろう方向に目を向ける。そこにはやはりもう一体の魔族がいた。あの一瞬で俺の行動を把握したのか?いや違いな。アイツ、視やがったんだ、『未来』を。



「ぐぁッ!ぐぅぅ…!」



吹き飛ばされた勢いのままに地面を転がる最中、必死に頭を回転させる。



_____状況を把握しろ。周囲の状況を理解しろ。そしてそこから次に打つべき最善の策を探し出せ。



「_____そこ。」

「ッ!!」



眼鏡を掛けた魔族がそう言うと同時にパリンッと何かが砕ける音がする。安定しない姿勢のまま状況把握を急いだ。



……やられた。完全に先を読まれたか。



展開しようとしていた極小の魔法陣を綺麗に撃ち抜かれた。使用しようとした魔法は初級魔法の『放出』に火竜の炎をプラスした複合魔法、『焦熱(しょうねつ)弾丸(だんがん)』。

それを少し改定し、ただの炎の弾丸を中心に小規模な爆発を起こすものに変えている途中だったのだが…いやはや未来を見る魔眼を欺くのは少し骨が折れるな。



手に持ったレムレースを地面に突き刺して勢いを弱め、なるべく三人全員が見えるように位置取る。一人に集中していては先程のように周りの二人からの攻撃を受けてしまう。



少し無茶な気もするが、やるしかない。女王には借りがある。返すならこれくらいしないとな。



「……アナタも結構な無鉄砲ですね。この状況でも尚、一人で戦うおつもりなのですか?」

「当たり前だ。この森にお前らみたいのがいられると困る。それに…。」

「…それに?なんだ?」



獣に近い気配のする魔族の問いかけに、ゆっくりと、手に持った武器を構えながら答える。



「…困っている奴がいるって知ってしまったんだ。苦しんでいる奴がいるのに知らん顔何て、俺には出来ない。」

「……随分、高尚な考え。」

「これでも一応勇者候補なんでな。理想が高くなきゃ勇者候補にはなれねぇ、よッ!」



手始めに邪魔な未来視の魔族から片付けるか。

竜の力を少し借りながら全身の筋肉を強化しグンッと加速した俺が通り過ぎた場所に突風が吹き抜ける。



「____速いッ!」

「…悪いな。」



加速すると同時に構えたレムレースの刃にスペルを詰め込んでいく。魔族の首を飛ばすには、この組み合わせしかない。


『一閃』、『魔力撃(龍)』、『心眼(真)』の組み合わせに火竜のエクストラスペル『火焔(かえん)』を足し、黒いレムレースの刃が紅い火竜の炎が纏うことにより成立する、今の俺が使える最も威力の高い攻撃スペル…!



「______『竜穿火(りゅうせんか)』ッ!!」



爛々と紅い弧を描く黒い刃が魔族の首を捉えると同時に、纏った炎がまるで爆発したかのように広がり、周囲に魔族の黒い血と紅い火の粉をまき散らせる。



「カッ……」



刎ねられた魔族の首は数回地面にバウンドした後、包まれた火焔によって灰すら残らずに消え去っていった。身体も同様に、首が刎ねられた場所から引火し、地理一つ残らず風に攫われていった。



「………竜穿火、ですか…厄介な技ですね。」

「竜の炎と…あれは剣術(技)か……警戒しておくべきだな。」



仲間がやられたのにも関わらず、冷静に状況分析か…随分薄情な奴らだな。



二人の動きに終始気を配りながら黒銃のトリガーに指を掛け、レムレースをしっかりと構えなおして、『透明化』と『消音』をあらかじめ掛けておいたアゲハに小さく問いかける。



「……アゲハ。」

《何?》

「…あいつ等が魔法を使う素振りを見せたら即座に撃ち落としてくれ。」

《了解。》



今の俺が集中すべきはあの上位魔族ではなく隣に居るいかにも近接戦を仕掛けてきますよと言っている魔族の方だ。恐らく実力的に見れば今の俺と同等か、それ以上の格闘センスを持っていると初め見た時に直感した。


あの上位魔族は恐らく接近戦を得意とはしていない。

奴から溢れてくるのは殺気や熱気などの格闘を扱う人間が発するようなものではなく、先程の未来視が出来る魔族と似通った気配だ。



即ち、今警戒すべきは近接ではなくその最中に飛んでくる魔法の方だ。



「……さて、どうした?そっちから来ないなら俺から行くぞ?」

「お?なんだ、やろうってのか?面白れぇ奴だな、お前!」

「早く構えろ。魔族との戦いは俺も久々なんだ…楽しませてくれよッ!」



そう言い終えるのと同時に肉体を竜力で強化し、『縮地』を使ってグンッと加速、魔族との距離を一気に詰める。



「ッ!速ぇなぁおいっ!」



大きく飛び上がりながらレムレースを振り上げ、『一閃』、『魔力撃(龍)』、『心眼(真)』の組み合わせで身体を縦に大きく回転させながら勢い良く袈裟に斬りつける。



「ハァァァッ!!」



防御の一切を捨てた渾身の一撃。今使える竜力を最大限に使用した斬撃は、綺麗な弧を描きながら吸い込まれるように魔族の身体を左肩から両断すると、俺はその時思っていた。


しかし、現実は非情だった。



「_____…『魔天毅麟(まてんこうりん)』ッ!」



魔族がそう唱えると同時に、俺と魔族の間に黒い鱗のようなもので形成された障壁が現れ、俺の渾身の一撃を軽々と防いで見せた。

さらにその鱗の盾は反撃と言わんばかりの勢いでその形を変形させ、形成された無数の黒い鱗が弾丸のように攻撃した俺の方へ放射される。



「ッ!鱗が…ッ!?」



いきなり現れた鱗に少し面喰いながら、弾丸のような勢いで飛んでくる鱗を『受け流し』を使って何とか空中でいなそうとレムレースを構えた。


しかし次の瞬間、パリンと何かが砕ける音と共に黒い破片が俺の目に映った。そして間髪入れずにまるで巨大な槌で殴られたかのような凄まじい衝撃が俺の腹部を襲った。



「ガハッ!!?」



一瞬、何が起こったのか理解できなかった。目の端に映る黒い破片。少し紫掛かって若干透けた珍しい黒色のガラスに似たそれが何なのかを理解しようと頭を回転させる。


吹き飛ばされる最中、何故かスッキリしない頭のまま無理やり現状を理解しようとする。


宙に舞う体と腹部に感じる熱く重い衝撃と鈍痛、そしてあのガラスが砕けた時のようなパリンッという甲高い音。そうして、俺の頭はようやく答えにたどり着いた。



______そうか、レムレースが砕けたんだ。



何度も背中を地面に叩きつけながら、何とか勢いを殺し、転がるようにして飛んでくる鱗による追撃を躱す。


俺の行動の先を読んで動いてくる鱗を全身のバネを最大限に利用してギリギリのところで避けるが避けきれずに掠った傷口から鮮血が噴き出る。



「いってぇっ!」



掠っただけでこの痛みか?どんな材質なんだよあの鱗!見た目的にはただの黒光りするでかい鱗だが、鮫肌のようにざらざらした表面なのか?あの痛みはそうしか思えないな。


とんとんっと躱していく俺を見ながら鱗の軌道を操る魔族が笑いながら問いかけてくる。



「おいおい!逃げてばっかじゃただの一方的な暴力になっちまうぜ?」

「…チッ!」



その声に舌打ちをしながら、飛んでくる鱗の群れから『縮地』と『心眼(真)』、『直感』を駆使し、必死に逃げ回る。


逃げ回っている最中、何か武器になるものはないかと空間の中に手を突っ込んで探って、取り敢えず取り出した武器で鱗を迎撃しようとするが、鱗に触れた武器の全てがことごとく打ち砕かれ、出しては壊れ出しては壊れを繰り返し、ただただ必死に鱗の軍勢の突撃から逃げ続ける。



「ぐっ…何なんだよあの鱗!?」



軽口をたたいている暇はないが、これくらい言わないとやってられないほど今の俺には余裕がない。空間の中には幾らでも武器はあるのだが、どの武器を使ってもその全てがことごとくあの鱗に砕かれてしまうだろう。


あれを切り裂くことが出来る可能性があるとすればヴァールか、あるいはあの時の『刀』か、そのどちらかしか存在しない。


しかし、今ヴァールは手元にない。さらに『刀』もあの時と同じように幾ら空間の中を探っても見つからない。あるのはダンジョンなどで見つけた武器や人から譲り受けた武具だけ。


あれは一体何だったのだろうか。そんなことを考えている俺の頬を鱗の軍勢が通り過ぎていく。



「いっつ!……仕方ない、アゲハッ!」

《ッ!了解、ご主人!》



鱗の攻撃を避け、着地すると同時にホルスターに仕舞っていた黒銃を抜き放ち、鱗を操る魔族に照準、引き金に指を掛ける。



「?おいおいなんだ?そんなちゃっちいもんで俺を殺せるとでも?…とうとう焼きが回ったみたいだなぁ無限の器よぉッ!」

「……あれは、魔導銃?」



煽りに煽ってくる魔族を無視し、構えた銃口の先に『加速』の青、『貫通』の緑、『必殺』の紫と魔法陣を順々に展開し、アゲハが黒銃の精霊石に収まったと同時に飛んでくる鱗に向かって迷わず引き金を引いた。



キンッ!



引き金を引いた時に出る甲高い音と共に撃ち出された魔力弾が展開された魔法陣を通り、魔弾と化す。


綺麗な直線を描き飛んでいく魔弾が鱗と衝突し、その瞬間何かが砕けるパリンッという音と共にあれ程までに硬かった鱗の群れをまるで飴細工のように簡単に次々と魔弾が貫通していく。



「ッ!なんだよそれッ!?」

「…ッ!」



容易に砕かれていく自分の鱗を見て焦った様子の魔族が残った鱗の群れを発動時と同じ一枚の盾のように展開する。しかし、それは今の俺にとってむしろ好都合だ。



「…ラッキー…!」



構えた黒銃の銃口の先に『加速』の青、『貫通』の緑の魔法陣を一つずつとそれを挟むような形で『破滅』の黒い魔法陣を二つ展開し、限界まで魔力を溜めた黒銃の引き金を二回続けて引く。



……これで、チェックメイトだ。



キンキンッ!という金属音と共に撃ち出され、展開された魔法陣を潜り抜けた二発の魔弾の一発目が魔族の前面に展開された黒い鱗の障壁と衝突する。


弾かれるかと思われた魔弾は、あれだけ強固だった鱗の盾をガラス板のように砕き、貫通してきた二発目の黒い魔弾が無防備になった魔族の心臓部を撃ち抜いた。



「ウグッ…な、んだ…ただの魔力弾じゃねぇか!ビビらせんなよ!」

「……。」

「なんだぁ?そっちはもう打ち止めか!?ならこれで終わらせてやるぜッ!」



獣のような魔族はそう言うと、周囲に残っていた鱗を両手に装着させ、巨大な鱗の籠手を創り出し、凄まじい速度で加速し、俺との距離を詰めてくる。



「喰らって吹っ飛べ!『魔天毅麟』ッ!」



両手に鱗の籠手を装備した魔族が、渾身の一撃を叩き込もうと全身に魔力を込めたその瞬間、ピキッという音と共に魔族の身体にひびが入る。



「ッ…!?なっ…にが…?」

「…知らないのか?お前等魔族の身体には常に強い魔力が流れている。何かでその流れを断ってしまえば魔族はその身体を維持できなくなり、やがては…砕け散る。」



俺の言葉に導かれるようにピキッ、ピキッと魔族の身体に入ったヒビが広がっていき、ボロボロと零れ落ちる魔族の肉体が風に攫われて散っていく。



「ガッ…アァ…アァァァァアアアアアーーーーッ!!」



最後に魔族は大きく断末魔の叫びを上げ、風に攫われた砂の城のように跡形もなく消え去っていった。



………フゥ、これで二体目だな。後は一体だけだ。案外楽に終わるかもな。



そう心の中で呟きながら残った上位魔族に向き直ろうとした俺の耳に、アゲハの絶叫が響き渡る。



《ご主人!危ないッ!》



その声が俺の耳に届くと同時に背後からガラスが割れたかのようなパリンッという甲高い音が周囲に響き渡る。


驚き振り返ると、『破滅』で魔法陣を破壊した時に残留する光の粒子がパラパラと零れ落ちていた。



「……これは驚いた。」



少し状況の整理が終わっていない俺の耳に、少し驚いた様子の上位魔族の声が入る。

ようやく頭が追い付いてきた俺に、そいつは手で口元を隠し、興味深そうに問いかけてきた。



「それは妖精ですか?それにその力は…こちらの黒魔法に近いですねぇ…何という魔法なのですか?」

《……。》



警戒してか口を開かないアゲハに代わって俺が魔族からの問いに答える。



「お前に教える義理はない。」

「……そうですか…なら、仕方ありませんね。」



魔族は残念そうにそう呟くと、右に創り出した魔法陣から漆黒の刃を持った片刃の剣を一振り創り出し、その切っ先をこちらへ向けてこう言った。



「…なら、貴方を殺してからその妖精を頂くことにしますかね。」




次回は三月中...お楽しみに

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