表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【無限の器の冒険譚】  作者: 荒木刑
第三章:無限の器、竜を廻る。
21/54

【久々の再会。俺の中の竜】

今回からリーオが竜となるための修行期間に入ります。暫くはその内容で進みます。というか進めます。


リーオや他の人間が竜化する、というのはとあるゲームをやってから思いついたことで、始めの内は全くそんなこと考えてもいませんでした。


ですが、書いていくうちにそうしたほうが面白いかな?といった思考に至り、今書いているわけです。

前回、リィムの町を占拠していた勇者候補率いる盗賊団を殲滅し、ボスである勇者候補

『ラミ=レイマス』を処刑しようとしたことを、シェランとヴァールの二人からメッタメタに攻められていた。



「____全く、何してるのっ!?」

「......悪かった。」

”確かに、彼女が悪いのは明白ですが、それを『破滅』まで使って消そうとするなんて...

アゲハさんが止めなければ危ない所だったんですよ!?”

「......反省している...。」

《ボクが止めなきゃ危なかったんだから、感謝してよね?ご主人?》

「......あぁ、ありがとう。」



何という滅多打ちだ...町を救ったって言うのに、こんな仕打ちありかよぉ...。


そんな風に、内心落ち込んでいるリーオの元に、先ほどの『助けに来たぞ』という問いかけに応えた少女、茶色の短髪で、活発的な雰囲気漂う少女はリーオの肩に手を添えながらこう紡ぐ。



「...あ、あのぉ...。」

「あれ?君は?」

「あ、私『リン=ユードリック』って言います。」

「リンちゃんね?で、どうかしたの?」

「あ、あの...リーオ君のこと、そんなに怒らないでください...確かにやり過ぎな気もしますが、彼がいなければ今の私たちはいなかったんです...!」



彼女の言葉に同意するように、周囲の人々が首を縦に振ったり、口々に感謝の言葉を言ってくる。その様子に気圧されたのか、そのままシェラン達の説教は静かに終わった。


その後、この宿の店主である『ベルモンド=ユードリック』が出てきて開口一番謝罪の言葉を口にした。


聞くところに寄るとベルモンドさんは盗賊団にこの町が占拠際に、宿の一室に拘束されてしまい、国への救援依頼を出せなかったことをとても後悔しているらしい。


必死な謝罪をする彼を宥めながら、その日は宿に泊まることとなった。せっかく野営の準備をしたのに、無駄になったな...。


異様な疲労感と、胸の疼きを感じながらその日は用意されたベッドに潜り込んだ。

しかし、ベッドに入ったはいいが眠れる気がしない。というかむしろ、目が冴え、身体が熱くて仕方がなくなり、ベッドを抜け出し、外に出る。


......一体どうしたって言うんだ?身体がおかしい...?熱い...燃えるようだ......炎が、体の中で燃えてるような...いや、違う...俺が、俺自身が『炎になってる』んだ...!


その瞬間、全身が一気に燃え上がるように熱くなる。心臓の部分を抑えながら必死に呼吸をする。息苦しさに倒れ、地面を這うように移動し、出来るだけ人目につかない場所へ移動する。


......これを抑えるには、行くしかない...ノヴァの元に、急ごう...!


宵闇が満ち、全く見えない道をフラフラと覚束ない足取りで進んでいく。目指すは大陸最大の火山、イグニート火山。


半分意識がない中、何かに導かれるようにフラフラと道なき道を歩いていく俺の周りを黒く光る妖精が飛び回る。まるで俺が何処かへ行くのを止めようとしているように。しかし、今の俺はそんなことに構っている余裕はない。


全身が燃え上がるような感覚を覚えながら、虚ろ気な目で何も見えない暗闇の中をゆらゆらと歩んでいく。


...早く、早く急がなければ...俺が俺である内に...!ノヴァの元へ...っ!




_____次の朝、目を覚ました私は、目の前に広がった光景に目を見開いた。昨夜、隣で寝ていた筈のリーオの姿が見当たらない。それに、リーオが通った魔力の痕跡すら追えない。


何があったって言うの?それにいつも一緒に行動してるヴァールさんも置いて...でも黒揚羽は持って行ったらしいね...取り敢えず、町に出て情報を集めよう。



「...ヴァールさん。」

”えぇ、急ぎましょう。何か大変なことがあったのかもしれません。”



珍しく少し焦った様子のヴァールさんとともに朝になった町へ出る。町の様子は昨夜のようなまるで人の気配がなかった静寂の町とは違い、町民の賑やかな声が響き渡る活気に溢れる町に変わっていた。往来する人々は口々に「昨日の冒険者には本当に感謝してもしきれないな」と言っていた。


リーオに聞かせてあげたいなぁ...よし、それなら早く彼を探さないと。



「ヴァールさん、リーオのこと追える?」

”...それが、出来ないんです。普段は、どんなに離れていてもリーオさんのことを感じられるのですが...何故か今は、それが出来ないんです...何か強い力に邪魔をされているような...。”

「......少し、町の人に聞き込みをしてみよう。何か分かるかもしれないよ。」

”...そうですね。頑張りましょう...!”

「うん...!」



ヴァールさんの援護を受けて、町の人々に昨夜リーオを見ていないかの聞き込み調査を開始した。しかし、いなくなったのが深夜だったのもあって目撃情報は一つもなかった。


しかし、とある町民からこんな情報を得ることが出来た。


得られた情報はこういうものだった。



「昨日の、深夜くらいですかね......トイレで起きたとき、外の...町からちょっと行ったところですかね...黒い、何か光のようなものを見たんです。まるで、妖精が舞っているような...。」



妖精...リーオについている妖精ってことはアゲハのことだよね...ってことは深夜にどこかへ行った?でも一体どこへ......まさか...!


やっと答えに至った。だったら早く行かないとっ!



「...急ぐよっ、ヴァールさんっ!」



手に持っていたヴァールさんを腰に差し、町の門目掛けて走り出す。いきなりのことにヴァールさんが驚きながら質問してくる。



”っ!?何か分かったのですか!?”

「うん!忘れてた!昨日リーオ、竜に飲まれかけてたんだ!こんな大事なことを忘れてたなんて...!」



町の門へ向かって走りながらヴァールさんに今の状況を、私が至った答えを説明する。



「...昨日、リーオが敵の勇者候補に向けて『破壊』の魔法を撃とうとしてたでしょ?その時に、私たちの仲裁を聞いてなかったんだよ。その時、リーオから『竜』の気配を感じたんだ...。もし、あの時リーオの中に居る竜が未だに暴れているっていうのなら、もっと強い竜...『火竜』のところに行ったのかもしれないっ!」

”...あり得ますね...行きましょう!......ですが、どうやってそこへ行くのですか?私たちだけではその場所へ行くことなんて...。”

「...ある。方法は...!」



シェランは、ヴァールをしっかり支えるとそのまま町の門へ向けて駆け出す。町を出て暫く行った、人気のない開けた場所を探しそこで自分の身体を竜力で包み込み、竜化させる。



「...貸してもらうよ...『嵐竜』...!」



シェランが身に着けている白の外套から桜色の竜巻が舞い上がり、彼女の身体を包み込む。周囲の風を巻き込みながら空高く舞い上がる竜巻の中で、その身体は竜に変わる。


髪が白の透き通るような色になり、鱗、尻尾が生え、大空を舞い、嵐を巻き起こす程の大きな翼と体の至る所に羽衣のような飛膜が生える。


竜となったその姿は、天を舞う竜『嵐竜アマツミネ』に酷似していた。特徴的な羽衣の如き薄く美しい飛膜をはためかせ、ふわりと泳ぐように空中へ浮いていた。


腰に差してあるヴァールが、先ほどとは纏う雰囲気すら変わったシェランへたった一言、こう呟いた。



”......きれい...!”

「____...ふふっ、ありがとっ...!」



そう答えるシェランの顔には僅かに疲れが見えていた。やはり、慣れない竜の力を使うのは体力の消費が大きいのだろう。水、風、雷の3属性を備えている嵐竜は、今現存する竜の中でも上位に位置する強さを持っている。


ただでさえ竜との契約は危険だというのに、その契約先が最強竜の一角でもあるのなら、コントロールの難易度は飛躍的に上昇する。


今のシェランは、強大なアマツミネの力を抑え込むのに大半の力を割いている状況だ。しかし、竜の中でも特に感知能力が高いアマツミネの力を借りれば微かに残ったリーオの痕跡も感じることが出来る筈だ。


そうこうしている間に、朧気だが何処かへ続く線のように残ったリーオの竜力を感知することが出来た。



「......っ!見つけた!この方角は...火山に向かったのかな...?」

”火山ということは...『火竜』のところですか?”

「たぶんね。まぁ、行ってみれば分かるよ!」



そういうや否や、シェランが軽く地面を蹴る。すると、まるで水中を泳ぐ大魚ようにふわりとシェランの身体が空へ舞い上がる。



「...よし、行こう!」

”...えぇ、絶対に見つけましょう!”



しかし、行くと言ってもここから火竜の住むイグニート火山まではいくら急いだとしても人間の足では最低でも三日はかかる距離にある。ただでさえリーオは、内に秘める竜の暴走でまともに技が使えない。


それを考えれば、そう遠くへは行っていないはずだ。そう思い、空の上を泳ぐようにして移動しながら地上を見るが、リーオらしき人影は全く見当たらない。


それどころか、進んでいくうちにリーオの残した竜力の痕跡が突然途絶えてしまった。



「...?ここで終わってる...!?」

”...一体、どういうことでしょうか?”



リーオの痕跡が消えた場所は、昨夜町への襲撃前に立てておいた野営地だった。燃え尽きた焚火が寂しげな雰囲気を醸し出しているその場にも、リーオが残した痕跡は何一つ存在していなかった。


まるで、この世界から存在自体が消えて無くなってしまったかのように...。


二人は何の成果も得られないまま、行く当てもなく空中を泳ぎ続けるしかなかった。




次回は6月15日までに投稿します。


では、次回もお楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ