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【無限の器の冒険譚】  作者: 荒木刑
第二章:リーオ、器に至る
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【最後の一欠片。リーオの竜化】

皆様、この10連休となったゴールデンウィークをいかがお過ごしでしょうか?


今回の物語は、この物語の中核を担うともいえる『竜化』が登場します。

リーオが一体どのように進化するのか、楽しみにしていてください。


ゴールデンウィーク中は出来るだけ多くの話が書けるように頑張ります!

最後の契約を結ぶためにシェランとともに栄地竜グラン・エータがいる森の奥を目指して生い茂る森の中を進んでいく。森の奥に入っていく毎に、周囲の様子が変わっていくのが見えてくる。緑が生い茂る森を進んでいくと、森の中に満ちる生命力が強くなっている。




「......何だか、先に進みづらいな...。」


「そうね...前に来た時よりさらに命の力が強くなってる...まさに『栄える大地』ね...。」


「...スゲェもんだな...。」




グラン・エータの呼び名ともなっている『栄地』とは栄える大地という意味だ。エータがいる地は、どんな枯れた大地でもすぐに生命が満ちる生きた大地へと変わるという言い伝えがあるのだ。




「アイツがいる土地はこうも命が満ちるのか...神にも等しい力を持ってるんだな、原初の竜ってのは...。」


「伝承に残っているのも、神みたいな話ばかりだもんね。」


「だなぁ...なぁ、ヴァール。」


”......何ですか?”


「...神々の戦争に、竜は参加したのか?」


”......いいえ、竜達は全くの無関心でした。その御蔭で地上への被害が最小限に抑えられたんですよ...。”


「...へぇ...?」




...そういえば、俺が契約している『賢竜シャラオン』という、此奴は原初の7竜ではないのだが、そいつも言っていたことがある。




『神々の戦争に私たちは無関心だった。というより、参加する利益がなかった。無理に戦争を止めようとすれば面倒なことになるのは明らかだったし、私たちのほうだって余計な火の粉が降りかかるのは御免だ。だが、私たちに危害を加えるつもりなら、全力でお前たちを潰す。』




と神々に向かって言っていたらしい。何とも最強種の竜種らしい発言だ。まぁ、自分たちなら負けるわけがないという自信からきている発言だろうけどな。




主神と言われる体系の中心の神、ハーモニクスやアムネスティなら竜種と何とか戦えるが、他の神々では攻撃すら硬い鱗を貫くことすらできない。




それだけ、神と竜種との力の差は大きすぎるのだ。




「...まぁ、世界の始まり、創世の時代から生きていた生物だからね。その後に生まれた神なんかが相手になるわけがないよねぇ...。」


「...流石は、最強の生物なだけあるな...。」




シェラン、ヴァールと竜についての談義をしながら森を進んでいく。生命が満ちた森は前が見えないほど木々が茂っており、それを何とか掻き分けながら記憶を頼りに目的地へ向かっていく。




暫く無心で前へ進んでいくと、唐突に開けた場所へ出た。その瞬間、今まで感じていた生命エネルギーの何倍ものエネルギーを感じた。吹き付けられるようなエネルギーの奔流に、まるで強風にあおられているような錯覚すら覚える。




「ッ!...この感覚、久しぶりだ...!」


「っ!......栄地竜、グラン・エータ...!」




吹き付けられるエネルギーになれた頃、ようやく目の前に広がった光景が見えてきた。大きな老木を中心に広がった空間、その老木の根がむくっと動いたかと思うと、大地が震え、木がゆっくりと浮上してくる。




地面を割って出てきたのは、金に近い鱗を持つ巨大な一匹の竜だった。巨大な角を持ち、大きな牙を口の端から覗かせる竜は、目の前にいるリーオたちにまるで朽ちた大木のような荘厳さが滲み出た声でこう語り掛ける。




『......来たか、無限なる子よ。』




彼が声を発した途端、大地に強い衝撃が走ったように大きく震え始める。それは大声を上げたり、自らが震えているわけではない。彼の存在が、圧倒的な生命エネルギーが、世界の根幹を振るわせているのだ。それは、世界が彼を恐れていることを意味していた。




放たれる圧倒的な存在感に圧し潰されそうになるのを堪えながら、声の震えを抑えて声を張り上げる。




「...っ...あぁ、来たぞグラン・エータ!約束を果たしになぁっ!」




俺の答えに満足したのか、小さく笑ったグラン・エータはまた厳かな声で語り掛ける。




『...無限なる子よ、約束は果たしたようだな。これでようやく、本当の意味での竜を教えることができる。...森の子よ、『見せて』くれ。』


「...分かりました。」




シェランは、グランエータにそう言われると上に羽織っていたマントを脱ぎ、いつもの狩りに着ていく袖のない軽やかな服装になった。




「...なんだ?」


「......見せてあげるよ、リーオ。これが、『本当の意味』で竜の力を使うってことだ...!」


『よく見ておけ、無限なる子よ。竜との真なる契約の賜物を。』




シェランが全身に竜力を漲らせると、身に着けていた水色の石が填められた耳飾り『水竜の耳飾り』が眩い光を放ち始めた。その光が全身に満ちていた竜力と混ざり合い、シェランの姿が見えないほどの眩い光を放ち始める。




「真なる、竜の力...?一体どういうことだ!?」


『黙ってみていろ、無限なる子よ。あれが、お前が辿り着かなければならない領域、その入り口だ。』




周囲を照らしていた眩いほどの青い光が徐々に薄れていき、シェランの姿が段々見えるようになってくる。




しかし、見えてきたシェランは普段見ていた姿とは大きく異なっていた。水色に変わった髪の間から覗く白く細長い二本の角、腕や服の間から見える肌には水竜ウォーバイトと同じ鱗が生えていた。




まるで、自身の身体の半分を竜に変えたような...。




「......これが、真の竜の力...?」


『...そうだ、これが真なる竜力の使い方だ。』


「......フゥー...どう?私、カッコイイ?」


「...あぁ、カッコイイよ。ウォーバイトみたいだ...。」


「うん。ちょっとだけウォーバイトの力を借りたからね。リーオもできるんじゃない?」


「......俺にも、出来るのか?」




実際、シェランが竜力を使い始めた辺りから心臓が締め付けられるような感覚を感じていた。竜の力を感じて自分の中で何かが暴れ出そうとしているような感覚を覚える。




こんなのは初めてだ。身体の震えが止まらない。




『......どうだ、無限なる子よ。お前の中で、高まるものを感じるだろう。』


「...あぁ、自分でも不思議なくらいだ...。」


『...なら、手を出せ。仮だが、契約を結んでやろう。』


「本当か!?頼む。」




グラン・エータに言われた通りに右手を出すと、そこから燃えるように熱い、迸るほどの竜のエネルギーが流れ込んでくる。段々エネルギーが流れ込んでくるに応じて、心臓の痛みが大きくなってくる。ドクドクという動悸に紛れ、全身に竜力が満たされる感覚を覚える。




「ぐぁっ...なん、だこれ?身体が...熱い...胸が...苦しい...っ!」


「リーオ、大丈夫?」


『契約の女神よ、離れておけ。危険だ。」


”...分かりました。”


『森の子よ、備えておけ。死ぬなよ。』


「...努力はするよ。」




全身に満ちた竜力に、契約した竜全員の力が混ざりこんでくる感覚と、自分の身体が『何か』に変わっていく感覚に、久方ぶりの恐怖を感じる。




怖い。だが、俺はこの感覚を知っている。そうだ、夢だ。昨日見た、夢。






自分の身体が竜に変わっていく感覚。燃えるような身体の熱と、頭を支配する破壊衝動。自分のものではない意思と、ずっと心の奥に巣食っていた感情が頭を支配していく。




____鳴呼、思い出した。俺は、あの時___




パリンと、自分の中で何かが音を立てて壊れたような感じがした。昔感じた、自分の心が壊れる感覚によく似ていた。




それと同時に、自分の中にあった破壊衝動がまるで栓が抜けたように溢れ始めた。




「_____ギャガァァァァァァァァッ!!」






まさか、暴走しないといいなとは考えてたけど...その反対を思いっきり突っ走ってくれるとは、考えたくなかったなぁ...。




リーオの身体中に様々な色の鱗のようなものが生え、頭には歪で左右不対称な鋭い角、背中には左右で不揃いな大きな翼、長い尻尾と鋭い爪が生えてくる。目は真っ赤に染まり、口の歯は鋭い牙に生え変わっている。




その姿はまるで、様々な竜が混ざり合ったような、物凄く歪な、痛々しい姿をしていた。




瞳からは完全に正気の光が消え去っていて、全てを破壊し尽くすまで止まることはないと断言できるほどのオーラを放っている。遠目で見ているだけの私でも、これだけは分かる。



あれは、マズい。



リーオのあの姿を見れば、どんな素人でも悟るだろう。もしも、あれに一歩、いや半歩でも近づいたら、訪れる未来は『死』だけだ。




「......ねぇ、あれはマズくない...?」


『......あぁ、少し想定外だ。ここまで、無限なる子の竜力が強いとは...!』


”止めましょう!あのまま放っておいては、自分の心を壊しかねませんっ!”


「...分かった。」




空間から魔導弓『紅』を取り出し、しっかりと構える。変異している途中のリーオも唸りながら姿勢を低く全身に力を込めながら、空間から適当な一本の剣を取り出し、腰もとに構える。



あの姿勢は...来るか?



そう考えた直後、目の前からリーオの姿がフッと掻き消える。瞬間、目の端に銀色の光を捉えた。一瞬で反応した身体を思いっ切り逸らし、銀色の閃光が目の前を空気を切り裂きながら通り過ぎる。




「...ッ!あっぶなっ!」




予想通りだ。恐らく縮地に翼で空気を掻くことで加速をしたのだろう、いつものスピードの2倍以上の速さで懐に入り込んで、一閃を振り抜いてきた。



それを直感で避け、心眼を併用してその後の追撃を避けようとしたが、それを察知したのかそのまま身体を回転させて昇流で追い打ちを仕掛けてくる。




「うっそまだやってくんのッ!?」




暴走していても、自分の身体に刻まれた戦闘経験値はなくならないようだ。一切の無駄がない動きで、本気で殺しに来ている。



何とか紅で受け止めたが、力で段々押し込まれてくる。自分の竜力を総動員して剣を抑えようとするが、リーオの竜力のほうが強すぎて抑えきれない。




「...おっもいなぁ...!グラン!まだ!?」


『しばし待て森の子よ。後もう少しの辛抱だ。』


「結構っ、きついんだけどッ!」




攻撃全てに魔力撃(龍)が乗ってるのか、全部の攻撃が物凄く重たい。



流石に、受け止めるだけじゃこっちが危ない。攻撃に転じていかないと。腕に竜力を込め、リーオの剣を弾き、ある程度の距離を取る。



魔導弓に魔力を注ぎ、弓の端に魔力の弦を生成させる。それを魔力を込めた指で引くと、弦と弓の間に魔力の矢が生成される。




これが、魔導弓の使い方。弓の本体に魔力を注ぐことで弦を作り出し、それを引くと魔力で作られた矢を打ち出すというもの。他にも魔導銃のように弓の藤頭のところに魔法陣を形成し、矢を撃ち出すと同時に様々な魔法を付与することができる。




「...ちょっと痛いけど、我慢してねっ!」




突っ込んで来ようとするリーオの胸を狙って矢を放つ。藤頭のところに『麻痺』『魔力撃(龍)水』『加速』の魔法陣を展開し、矢に魔法を付与していく。




放たれた矢が、真っ直ぐな軌道を描いてリーオに迫る。しかしリーオは暴走しているとは思えない精密な動きで、凄まじい速度で迫る矢を一刀の元に叩き落とした。




「んなっ!?」




それだけではない。刀を振り抜いた体勢からぐるんと一回転し、勢いをつけながら竜力を込めた刀を思いっ切り横一閃に振り抜く。それと同時に、刀に込められた竜力が衝撃波の要領で飛んでくる。剣術(技)の攻撃スペルの一つ『流閃』、刀に込めた気力を衝撃波の要領で相手に飛ばすこの技、気力ではなく竜力を使うリーオの場合は、『竜閃』というべきだろう。




リーオから放たれた黒い竜力の刃がシェランに迫る。




「っ...(...ちょっとあれは避けられそうにないなぁ...)...ッ!」




そう判断したシェランは、下げていた紅を瞬時に構え、魔力の矢を引きながら藤頭の前に『魔力撃(龍)水』『加速』『威力倍増』の三つの魔法陣を展開し、飛んでくる黒い刃に照準し放つ。



放たれた矢は、綺麗な弧を描きながら黒い刃とぶつかり合い、激しい光を放ちながら双方相打ちの形で消えた。




「......さっきので相殺か...真面に受けたら真っ二つだね...。」




リーオの放つ一撃一撃が、真面に受ければ死に直結するということを感じ取る。それと同時に、今の自分の力では相殺はできるがリーオの身体に傷一つ付けることが出来ないと直感する。




「......ちょっと、頑張るしかないねっ...!」




シェランが全身に竜力を漲らせて、目の前にいるリーオに集中する。


それまで、まるで波に揺られるようにふらふらとした様子で立っていたリーオの姿が、ブンッと空間にブレるようにして消える。




「ッ!?」




その瞬間、シェランは何かを感じ取り、素早く後ろへ飛ぶ。その直後、空間を切り裂くほどの速度で放たれた一撃が、まるで豆腐を斬るように地面を大きく抉る。




「あっぶな...いッ!!」




続いて放たれた黒い刃を矢で相殺しながら、技を放った直後で硬直するリーオの胸を狙って矢を放つ。




『麻痺』『魔力撃(龍)水』『加速』を付与した矢がリーオの胸を貫く。胸を貫かれたことで一瞬、リーオの動きが止まる。唯一出来たこの隙を逃すわけにはいかない。




「グランッ!」


『よくやった、森の子よ。...大地よッ!』




グランがそう叫ぶと同時に、リーオの下の地面が盛り上がりまるで檻のようにリーオを閉じ込める。その直後、リーオの身体が動き出し自分を閉じ込めた大地の檻を攻撃しだす。




リーオが攻撃を放つ度、様々な属性が混ざり合っているのが分かる。それも、攻撃に最適な属性を無意識のうちに重ね合わせているようで、檻の属性『大地』に強い『風』を纏っている。



剣を振る度、凄まじい勢いで放たれる緑色の風が周囲の木々を薙ぎ倒していく。



だが、少しの足止めは出来ている。やるなら、今しかないっ!




「ヴァールさん!」


”...荒ぶる心に神の祈りを...!”




ヴァールから放たれた光が、暴れ続けるリーオの身体を包み込む。もがくリーオに光はそのままリーオの身体を抑え込もうとする...が、




「____ガルァァァァァァァァァァッ!!」




けたたましい咆哮とともに放たれた強大な竜力で、身体を縛り付けていた光を弾き飛ばす。



その衝撃でリーオを封じ込めていた大地の檻が崩壊してしまい、衝撃で周囲の大地が捲り上がる。リーオが纏う、ありとあらゆるものを破壊するほどの強大すぎる力は、檻だけには留まらず周りの森と大地すら簡単に破壊していく。




「......本気で言ってるこれ?」


『...無限なる子の力を、甘く見ていたか。』


”......これは、本当にマズいですよ...!”




さらに、先ほどの放出がトリガーとなったのか、リーオの竜化がさらに進行していく。今まで全体の4割が竜となっていたリーオが、先ほどの咆哮により7割が竜となってしまった。



もしも10割、全てが竜になってしまったらどうなってしまうかは分からないが、グランがここまで焦っているということは、取り返しのつかない事態になることは容易に想像できる。




「......何とか、しないと...!」




仕方ない。随分久しぶりだけど、ここは本気を出すしかない!ウォーバイトの力を100%まで使う。紅を空間に仕舞い、全身に竜力を収束させ、身体をさらに竜化させる。



耳飾りから溢れ出た水色の竜力が全身を包み込む。まるで水色の炎が燃えているように、ウォーバイトの竜力が私の身体を強く優しく包んでいく。




「...ちょっと...キツイ、なぁ...!」




水色の竜力が収束した部位が、完全な竜になっていく。今まで全体の6割を覆っていた鱗が全身に広がる。それに応じて、今まで生えていなかった尻尾、翼、爪、牙が生え揃い、身体の構造が竜に近くなっていく。



背中から尻尾にかけて薄い膜のようなヒレが生え、指が全体的に細長くなり、抉り取るように曲がった爪が生えそろう。髪も伸び、全体的に竜の要素が増え、全身が竜になっていく。



ミシミシと身体の構造が変わっていく感覚、痛み、それに必死で耐えながら目の前で破壊の限りを尽くすリーオを強く睨み付ける。




「......リーオ、死なないでねッ!」




足に少し力を入れて踏み出す。さらに翼で勢いをつけ、檻を壊し外に出たリーオの顔面を掴み勢いそのまま後ろへ投げ飛ばす。いきなりのことで反応できず、成すが儘に吹き飛ばされるリーオに追いつき、再び顔面を掴んで今度は魔力撃(龍)を乗せて投げ飛ばす。




「ガハァッ!?」




凄まじい勢いで吹き飛んだリーオは、背後の木を薙ぎ倒しながら苦しそうに呻く。しかし、その目から破壊衝動が消えた様子は微塵もない。


それどころか、翼で勢いを弱め反撃までしようとしてくる。



これは、『あれ』を使うしかないのかな...?




『森の子よ、絶対に殺すなよ。』


「分かってるよ...ハァ、ハァ...借りるよ、ウォーバイト...!」




掌をリーオに向け、そこに水色の竜力を収束させる。さらにその前に幾つもの魔法陣を展開させ威力や効果を底上げする。『威力倍増』『魔力撃(龍)』『範囲倍増』『加速』『限界突破』と、そこまで展開した時に頭の中でチリっという痛みが走った。流石に乗せすぎたみたいだ。



でも、これで終わる。リーオの身体を覆っている竜の力を吹き飛ばせれば、あの歪な竜化を止めることができるかもしれない。これは直感だけど、やってみるしかない!



今の私が出来る、水竜ウォーバイトの力を使った最大の一撃...!




「...『水色の咆哮』ッ!!」




手から放たれた水色の竜力の奔流が、立ち上がろうとするリーオを飲み込む。激流は止まることなく周囲の森すら飲み込みながら突き進んでいく。




『...おぉ、流石は森の子だ。あそこまで水の巫女の力を使いこなすとは...。』


”...でも、あんな攻撃をしたらリーオさんが...!”


『心配はいらん、契約の女神よ。無限が、無限なる子があれくらいで死ぬわけがない。』


”......そうですね...。”




放たれた水色の奔流は周囲の森を割りながら真っ直ぐ突き進んでいき、段々と細くなりながら最後は空間に掻き消えるようにして消えた。




「...はぁ、はぁ、はぁ......りー、お...っ!」




...流石に使いすぎたみたい...もうバテバテ...でも、リーオの無事を確認しないと...!




リーオが生きているか心配になり真っ直ぐ貫かれた森の中を飛ばして進んでいく。水竜の翼は小さく空を飛べないため、空気を掻いて加速をするようにスピードをつける。



暫く進んでいくと、ボロボロになったリーオが遠くの岩肌に打ち上げられていた。遠目だが、胸が微かだが上下しているのを確認できた。恐らく気絶しているだけらしい。良かった、生きてた...!




「リーオっ!」




何とか竜化は止まったようだ。しかし、リーオの胸を見てみると先ほどまでは小さかった紋様のようなものが大きくなっているのが見えた。



前までは小さな蛇のようなものが円に囲まれているものだったのが、その円を覆うように大きな蛇が丸く、円を描くようにして蜷局を巻いているようなものに変わっていた。




「......やっぱりこれは、竜のものだったんだ...。」




気絶したリーオを抱き抱え、木が薙ぎ倒された道を戻っていく。ボロボロの身体で、か細い息で、胸を上下させているリーオに治癒魔法をかけながら、




「......ごめんね、リーオ...。」




小さく謝ることしか、私にはできなかった。



次回は五月一日、二日、三日と連続投稿いたします。

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