七話 いつの間にか辺境へ出発
どうすんだよっ! これ!
止まらることの知らないおもちゃ、もといくぎみたいなモノが路地に入りきらないほどある。
ヤバイ! ヤバイ!
まさか自分がやったことで危険になるとは予想外すぎて考えになかった。異世界に来てから僕は楽観的になりすぎたと反省する。しかし、今悔いても仕方ない。
今、目の前にあることだけに集中する。面倒ごとはその後、それが僕のモットーだ。
「クッソ! 移動しても移動しても本がついてきやがる」
くぎみたいなモノが飛び出す本を動いてどかそうとするのだが、効果が全然なかった。
「これっ、どうすんのよ!」
都合が良すぎるほどの他力本願。自分で自分が嫌いになる。メイドが答えを知っている、と幾分かの期待があった。
「何もかもが異常事態です。でも、本がモノを出し終わるまで発動者の側を離れることはないです。それは理解して下さい」
メイドの回答により、無残に妄想は砕け散った。自分が解決しなければならない問題だ。そもそも他人に相談するほうが間違っていると判断した。本を押さえ込もうとしたり、燃やそうとするが、これはそもそも燃えるものではないらしい。
だいぶ大事になり、人が集まってきている。路地だったのが不幸中の幸いだが、それも次期にくぎみたいなモノに埋まって意味はなくなるだろう。
――町を出るしかない。
「このままじゃ埒があかない。町の外に出るぞ!」
「は、はい」
ここ数日、冷静な態度をしていたのに不遜な出来事が起きると焦り具合が半端でない。
そんなメイドの焦りが現状の不自然さを物語っている。
町の路地をつたって走る、走る、走る。土地勘がないのでメイドの後ろを付いていく。が、それしかできない。できないからこそ歯がゆい。危機的状況になってからしか自分を振り返れないのは自分の欠点だ。でも、今は、頼るしかない。
「上に、行きますよ!」
「うわぁおぅ!」
勢いのまま空中に飛んでいく。マジかよ、結構メイドさんハイスペックなんだなと感心していた。
「町を出て、どうするのですか?」
「そのまま人のいない、辺境に行ってくれ」
自分が関わると厄介事が多いのを理解し、町を出ることを決定する。その前に宿に預けたモフモフっ娘を回収しなければならないと目的が増える。
「目的地、どこかもわからない辺境。そこで一から始まる生活。ワクワクするじゃねぇか。」