六話 いつの間にか使えてました
モフモフっ娘とメイドを連れてスローライフするにはどうするべきか真剣に考えた。商売をするかギルド経営をするか……。
で、考え抜いた結果町を出ることにした。
だって、このまま町にいて宿屋やギルド経営をするのも良いけれど、成功する気がしない。
もともと才能があるやつが成功するのだ。そんなの商売の才がないやつなら店を潰してしまうのが関の山だ。
大自然で一から開拓するのはどうだろうか。大学生のときキャンプをしていたからある程度はできるはずだ。何もないところから作るのは何事もワクワクする。秘密基地を建てたり、オーシャンビューが毎朝見れるの方が良いかもしれない。
メイドとモフモフっ娘には迷惑かけるかもしれないがキャンプ生活をしたい、と思った。
職業にもキャンパーがあったことはメイドから聞いていた。さっそく初級の本を町で買って使ってみることにした。
きれいで中には色々な絵が描かれてある。でもそれだけで、どうしたら使えるのかまったく書いていない。
「使い方わかる?」
「分かります。初級の本ですよ? 勇者様はこんなことも知りませんの?」
うぅ、僕のHPをどんどん削ってくる。勇者様って絶対いやみで使ってるだろおぉぉ!
「本の中に絵があるます。これを引っこ抜くだけです」
「すごくシンプルな答えだったな。お前面倒くさくて大分説明省いてないか?」
引っこ抜くだけってまずどうやって手を入れたんだとツッコミたくなったが、「いいえ」の答えにそれが常識らしいことが分かった。
不安はあるけれど仕方ない、やってみるか。
本の中に手を入れる。不思議な感触だ。水の中に手を入れてるみたいだ。あ、なにかあった。これを外に持ってくるのか。
引っこ抜くと勢い止まらず尻もちをついてしまう。出てきたおもちゃは一つにとどまらなかった。何個も何個も溢れ出ていてすぐに地面が見えなくなった。
「何をしたのですか!?」
いや、わかんねぇよ。何なんだよこれ。おもちゃは止まることはなく、無限に出ていた。
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勇者の加護から生産力がUPしました。
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耳に鳴り響く甲高いロボットみたいな声。二度も繰り返し響く。ようやく僕は理解することができた。
勇者の加護って色んな効果があるんじゃね? 結構チートなんじゃね? ――と。