五話 いつの間にか加護持ちです
「この世界ではステータスの確認が出来るのか」
「はい、いつでもできます」
と言われさっそく開いてみる。
【ステータス】
レベル ???
職業 なし
攻撃力 ???
防御力 ???
MP総量 ???
魔法攻撃力 ???
運 ???
器用さ ???
魅力 ???
加護 勇者の加護
「見えにくいな。つーか職業なしって、勇者じゃねぇーの?」
「いえ、加護があるかないかが判断基準なので職業は関係ありません」
そうなのか。異世界って職業で全部決まるもんかと思ってたわ。それより少し前から気になっていたが……。
「言葉遣いきれいでやりやすいな、何かあったの?」
「自分より上の人だと見直すといつもの自分は抑えております(立場的意味で)」
「下だと判断されていたのかよおぉぉぉ!!」
このメイド、辛辣すぎかよ。辛いよもう。
町を歩いているとある異変に気づいた。
ガヤ、ガヤ
ガヤ、ガヤ
「どうしたんだ? 人いっぱいだぞ」
「獣人族のオークションですね。今回は有名な商品なのでしょう」
そういうのがあるのか、気の毒そうだけど関わったらダメパターンだ。
「噂だと犬のモフモフ女の子が出るそうですよ」
僕の足は自然とオークションのところへ向かった。犬耳モフモフっ娘なんて買うに決まってる。
「ちょっと待った! 僕もオークションに参加する」
「お兄ちゃんはどれくらい出せるんだ」
「ここにあるお金全部だ」
「ちょっと! 全部でいいんですか? 買い物は?」
「半分は預けてあるしいいの」
「すいません、どこぞの領主様でしたか。それぐらいあれば大丈夫でしょう。皆さん、これ以上出せる者はいるかぁ」
誰も手を上げる人はいない。
「決まりだ。すいません、どうぞこちらへ」
連れられてきたのは檻の中。一番小さい扉を開けて中に入る。
「ルシアン、新たなご主人様だぞ。挨拶しろ」
「ぼくを買ってくれてありがとうごさいますぅぅ」
おぉ、いい買い物したわ。犬耳ぼくっ娘はやっぱ魅力的だよね。異世界もので奴隷も定番だし。
「家すら買えなくなったけど、どうすっか」
今使ったお金で家が買えなくなってしまった。
これから家なし、土地勘なし、商売の才もなし。
「いやどうすんのこれ! 今からでも王宮まで行って泣きついた方が良いんじゃねぇのぉ!」