2PEACE
あの後、夕方になるまで少女と遊んだ。
どこで、なにで遊んだのかは不思議なことに覚えてはいない。
やっとのことで家に着くころには夜になっていた。
鍵をポケットから取り出し、ドアを開ける。
今は一人暮らし。
実家から高校が遠いこともあり、一人暮らしということになった。
今ではこの生活にもなれ、料理も上手くなった。
ありがとう、一人暮らし。
彼女の真弓も、食べさせてあげると、おいしいといつも言ってくれる。
真弓は3歳年上で、今は銀行員という立派な職についている。
出会いは真弓からの誘いだった。
俺が夜まで男友達と遊んでいたその帰り道、真弓に逆ナンされたのだ。
最初は戸惑った。
見ず知らずの人と付き合うなんて。
しかも年上。
でもだんだん会っていくうちに好きになった。
この話はこれぐらいでいいかな、諸君。
話しているうちに恥ずかしくなってくる。
って、誰に言ってるんだ?俺。
今日の真弓の帰りは、残業があるから…えっと、8時ぐらいとか言ってたな。
早速冷蔵庫にあるものを一通り見ると、夕食に使えそうな材料を引っ張り出した。
「やりますか!」
□ □ □
■コ コ ロ ノ カ ケ ラ■
□ □
「ただいま〜」
8時丁度に玄関を開けると同時に聞こえてきた声。
今考えれば一人暮らしじゃないなこれ。
真弓と一緒に住んでるんだし。
「おかえり」
真弓は首に巻いていたマフラーをはずすと、コタツの中に潜り込んだ。
「あぁ〜暖まる〜やっぱコタツ、サイコー!涼ちゃんも一緒に」
「大げさだな〜俺はいいよ」
「もぉ、涼ちゃんはこの時間帯に帰ってくる人のこと知らないから、そんなこと言えるんだね」
真弓は口をとがらせた。
「そうかも」
「もぉ〜それより今日の夕食は?」
気体に満ちた目で見つめてくる。
「今日は真弓がこんな寒い中働いてきたご褒美に、デーデン!!鍋で〜す!」
真弓は目をきらきらとさせている。
「ちゃんとわかってるじゃん!」
そこから楽しく、夕食が始まった。
今日あったことを話しながらの鍋は別格!
「へぇ〜そんなことがあったんだ。っで、その子の名前は?」
「さぁ…そういえば聞いてなかった」
「まぁいいけど、またそのこと会っちゃったりしてね?」
「まさか…」
そのまさかだった…
これから何が起こるか、この時はわからなかった。
今思えば、この時が今より一番の幸せな時だった。
誰か来て欲しい…助けて欲しいと思う今よりは…