fragment-2
信号で止まった彼。
話しかけるチャンスは今だけだ。
けれどもなんて話しかければいい。
もうすぐ青になってします。
どうにかして引き止めなくては。
その一心で彼の服を掴んだ。
■ココロノカケラ■
「どうしたの?迷子?」
違う、私は…
「…違う…」
「じゃあ何?どうしたの?」
何かいわなくちゃ…
「…遊ぼう…」
彼は少し困惑していた。
けれども首を縦に振ってくれた。
「ちょっとだけだよ?」
うれしかった。
そして何故だか頬が赤くなった。
うれしくてうれしくて、走り出してしまった。
夕方になるまで遊んでしまった。
彼が望めばこの体だってささげてしまう。
けれども、彼は望まなかった。
だから今回は幼稚な遊びだけだった。
夜、彼の住んでいるアパートに向かった。
彼の家にちょうど誰か女性が入っていった。
「…誰?アイツ…」
玄関の前で耳を傾け中の様子を聞く。
楽しそうな会話をしている。
なんだかむかつく…あの女がむかつく。
殺すのは簡単。
でもそうしたらあの人が悲しんでしまう。
今日は家に帰ることにした。
翌日、彼の下校道をついていった。
途中本屋に入り、不審な動きをしている。
すると本をバックの中に詰め込んだ。
「そうか…お金がないから困ってるんだね…」
本屋を後にした彼を追いかけた。
「…涼君」
彼が振り向いた。
「今日も、遊ぼう」
とにかく言葉が思い浮かばなく、そう言ってしまった。
「ねぇ、今日は無理なんだ。もしも…もしもだけど、これからずっと遊ぶ気でいたいなら、いつもは無理なんだ」
そんな、私ふられちゃったの?
そんな…
「じゃっ、じゃあ…毎週土曜はどう?」
っえ?
私のこと嫌いになったわけじゃないの?
そう思うと自然に笑顔がこぼれた。
「ウン!いいよ!!」
そういい残すと人ごみの中に紛れにいった。
そうだ、今度会う時はプレゼントをしよう。
お金がないなら、その分私がプレゼントで補ってあげる。