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黄色の部屋 その1

今回のお部屋のご説明は長くなりますので、途中に休憩が、入ります。


 おはようございます。またいらして下さって、ありがとうございます。弊社に関心を持って頂き、大変感謝致しております。

 

 はあ。 なんだか疲れた様に見える? そうでございますか。お客様には、どのような事でもご説明するように、弊社の社長から申しつけられておりますので、宜しければ、ご説明いたしましょう。


 弊社には、お話を書いてほしいと願う、実に様々な方々がお見えになられます。とはいうものの、社長にも好みがおありになりますし、ご自分の実力では、ハッキリクッキリ書けないとわかっている物もございます。


 例えばですか? そうですね、痛い話、怖い話、恋愛話、詩、高尚な文学、最近の流行を取り入れた話、それから長編でしょうか。私が伺っているのは、このくらいですね。


 え? 殆ど全部じゃないか? 私もそう思うのですが、社長ご自身は、軽いノリなら大丈夫かも、と妙な、いえ前向きなお考えを、お持ちの様でございます。私自身が、社長から生まれてしまった存在ですので、それは書けると言えないですとか、やめた方が世の中の為ですとか、電気代の無駄ですとかは、言えないのでございます。


 はい? 今言っている? そんな事は、ございません。もしかして、ひょっとして、万に一人でも、社長の書かれるお話を楽しまれるお優しい方が、いないとも限りませんから。先行き短い社長の為にも、希望の光は必要だと思っております。


 先程のお話に戻りますが、ここにお出でになられます全ての方のご希望を、叶える訳にはいかない事は、ご理解いただけましたでしょうか。


 それとは別に、叶えてはいけない方々もお見えになられます。


 例えば、他の作者様の作品の方や、現実に存在していらっしゃっる方、それらの方々は、ご希望があってこちらにお見えになられた訳ではなく、無理矢理連れてこられた方が殆どで、社長曰く、“萌え”ですとか“癒し”ですとかおっしゃられておりました。


 こちらの方々には、大変ご迷惑な事かと思いますが、社長ご自身が満足されれば、元の世界にお帰りになれますので、しばらくの間、お付き合いいただく事となります。エッセイですとか、感想欄ですとか、メッセージですとか、コメントとかいうものに社長が書いた時点で、お帰りになられる方々です。


 無理矢理連れてこられた方々に、ご説明申し上げたり、お慰めするのも、私のとても大切な仕事でございます。 


 いいえ、大変ではございません。確実に戻られる事がわかっておりますので、私自身安心してご案内できる方々でございます。それに、心からご同情申し上げておりますので。


 もちろん、その方々の為のお部屋もございます。いずれ、ご案内できるかと存じます。なるべく、居心地がいい様に、誠心誠意、対応させていただいております。



 元の話に戻ります。社長がご希望を叶えられないと、わかっている方々ですね。ここにお見えになられる殆どの方が、これに当てはまります。社長の創作力の限界は、私にも社長ご自身にも、どうしようもない事でございますから。


 才能のある無しは、生まれ持った物が殆どだとお聞きします。技術の向上は、できるかと思いますが、いかんせん、弊社の社長には難しいかと存じます。ですから、叶えられない方々には、速やかにお帰りいただいております。そうしないと、ただでさえ小さな社長の脳内が、一杯になって、社長が社会生活を送る上で、問題が発生致しますので。


 ええ、まさにその通りです。創作活動をしていなかった時にも、ぼーっとしていたり、話しを聞いていなかった社長でございます。想像するのも恐ろしい状態になることでしょう。


 中には、叶えたいけれど、今は時間が無いという、ものすごく少数の方もいらっしゃっいますが、その方々には、お待ちになられるかを確認して、先程のお部屋とはまた別のお部屋にご案内しております。


 長期滞在用のお部屋ですが、個室も大部屋もございます。ご希望に添うように対応させていただいております。



 ご説明ばかり、長くなって、申し訳ございません。お時間は大丈夫でいらっしゃいますか? これまでのご説明でご理解賜れたでしょうか。社長がご希望を叶える気の無い方々の事、つまり、全く書くつもりの無い方々ですね。 この方々が、実は私にとって、一番多く接し、対応に苦慮し、今回疲れた原因にもなられる方々です。


 まだまだ長くなりそうでございます。ひとまず休憩をいたしましょう。休憩室がございますので、そちらの方へどうぞ。


 ゆっくりと休憩されたら、残りのご説明をさせていただきます。それでは、一旦失礼致します。



次回に実際のやり取りをお見せ致します。

それまで、どうぞごゆっくり

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